【感想・ネタバレ】原発「危険神話」の崩壊のレビュー

あらすじ

福島第一原子力発電所の事故は、それまでの「安全神話」を打ち砕いただけでなく、炉心溶融が起こると数万人が死ぬといった「危険神話」をも崩壊させた。放射能の健康被害は、予想よりも小さく、チェルノブイリ事故とは明らかに違った。震災後、マスメディアもネットメディアも放射線の危険を誇大に報じ、多くの人が「リスクゼロ」を求めた。しかし、科学的知見によれば、「100ミリシーベルト以下の健康被害は0.35%以下」であることは確実にいえるという。また、発癌リスクを問題視するなら、喫煙や塩分の取りすぎや飲酒も危険であり、さらに携帯電話や日焼けサロンも危ないとの報告もある。同時に、著者はメディアが煽った「脱原発か否か」の議論も愚問だと斬って捨てる。問題は特定の資源の是非ではなく、市場で多様なエネルギーを柔軟に組み替える必要があると説く。メディアと知識人を名指しで批判した、闘う経済学者の勇気ある言論である。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

本文より
『科学に限界があるというのは原発事故で初めてわかったことではないが、その代わりに人々の実感や安心などの感情に依拠することは、さらに大きな混乱をもたらす。 科学の限界を自覚しながら、論理と事実にもとづいて考えるしか、現在の危機を収拾する道はない。 われわれは安全神話に安住するのでもなく、危険神話におびえるのでもなく、科学技術という厄介なものと共存してゆくしかないのである。』

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2012年03月02日

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