感情タグBEST3
Posted by ブクログ
著者は精神科医で主に統合失調症患者に関して、精神病院に閉じ込めて治療するといった当時の閉塞的な精神医学に反対する運動を展開したとのこと。
ちくま学芸文庫に入っている引き裂かれた自己では統合失調症の患者が正気から狂気に至る過程を哲学的に分析していたが、本書は臨床現場での体験からインスピレーションを受けた詩集だろうか。
読んでいる途中で自分が自分でなくなるというか不思議な酩酊感を味わう瞬間があり、統合失調症患者の脳内を覗き見しているようだ。
知人に統合失調症の人がいて、その人はいつも周囲の何もない空間を手刀で切り裂く動作をしている。
いわゆる正常な側(と思い込んでいる)の私たちからすると不可解なことこの上ないが、本人からすると悪い奴らが近づかないようにそれを断ち切っているそう。
なにをもって正常(正気)・異常(狂気)とするかは疑問だが、人間は誰しも狂気の一部を抱えていてなんらかのトリガーで発症するということなのか。
Posted by ブクログ
インスピレーションを受けたのでポエム書きます
「鏡の世界」
たっぷりの毒水を吸って
ふくらむ林檎ちゃん
若くて美しかったわたしを
どうにかして頂戴
つまらない物語のはじまりは
いつだって妄執の果実だ
光り輝く毒林檎
食べたらしぬ
幸せなキスをしてわたしはいきかえる
つまらない物語がはじまる
わたしの幸せなんてつまらないものだよ
鏡の世界に林檎を育てるときが
いちばん素敵でした
Posted by ブクログ
原題はDo You Love Me? これを… 好き?好き?大好き? と訳す訳者のセンスよ。
英国の精神科医 R.D. Laingによる詩集。患者との対話が根底にあるそうですが、ポテンシャルエナジーを持つかの如く押し寄せるリフレインと言葉の羅列、そこから立ち上がるある種の狂気。
Posted by ブクログ
負けた、と思った。本書の最後に付いていた「解説」を読んだ時だった。
この解説を記したのはシナリオライターの「にゃるら」氏である。にゃるら氏は私が本書を手に取るきっかけとなった人物だ。インディーゲーム『NEEDY GIRL OVERDOSE』の作者で、このゲームは本著に多大な影響を受けているとのこと。私はゲームをプレイしたことをきっかけに、本作を読んだ。
本作は精神科医が記した詩集である。読み進める中で、はてさて、何をどう捉えたらいいのか、詩も精神医学も素人の私は混乱していくばかりだった。
ようやっと辿り着いた氏の解説で、詩で出てくる人物が不思議なスケールの物言いをすることに対し「このチグハグさのなんと愛しいことか」と記されていた。ここを読んだ時に、負けた、と思った。私は詩の中にいる人物に対して、愛おしさを感じることができなかった。人の好意や、恋をしている人間の解像度が足りていないことを痛感した。
そしてこの氏の解像度の高さが『NEEDY GIRL OVERDOSE』の主人公、超てんちゃんを生み出したのだ、と感動を覚えた。解説に記されている詩の人物像、恋でぐらつく女性というものは、彼女のキャラクターそのものであった。
私は彼女の人として欠陥しているところ、アンバランスさが好きだった。過度に高い承認欲求、薬を飲まないと生きていけない不安定さ、彼(ピ)のご飯を作る健気さ……。その愛おしさの根底には、レインの詩と、そこに魅力を見出したにゃるら氏がいたことが解った。
こうして負けを実感したものの、今回、彼女の源流を知ることができて、嬉しかった。
詩に共感できず、ただ一人置いてかれたような感覚でいた私を救い出してくれたのは、間違いなくにゃるら氏の解説であった。
彼のゲームを、超てんちゃんのことを愛することができる私は、詩のこともいつか愛することができるだろうか。
解説は「(……)本書に登場する数多の素敵な人物たちのように、本質だけで喋ることができるほど、僕らは完成されちゃいない」と締めくくられている。(177頁)
この「僕ら」に私も入れるよう、次はただ共感できるか、という物差しで本書を読むのではなく、人間の本質と愛おしさに目を向けて、再度、読んでいくつもりだ。
Posted by ブクログ
詩を初めて読む私にはすごい難しかった、、、
詩ってどうやって楽しむのか、私の教養が浅かったし楽しみ方も分からなかったけど雰囲気を楽しむことができた
詩は難しいと思い続けるけどまたまた何か詩集を読んで楽しみ方を理解してからまた読みたい!!