【感想・ネタバレ】アシンメトリーのレビュー

あらすじ

結婚に強い憧れを抱く女、朋美。結婚に理想を追求する男、貴人。結婚に縛られたくない女、紗雪。結婚という形を選んだ男、治樹。朋美は、親友の紗雪が幼なじみの治樹と突然結婚を決めたことにショックを受ける。心から祝えない朋美だったが、ふたりの結婚パーティーで出会った貴人に次第に魅かれていく。しかし、紗雪と治樹の結婚には隠された秘密があった……。アシンメトリー(非対称)なアラサー男女4人を巡る、切ない偏愛ラプソディ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

・『はるがいったら』が面白かったので、同じ作家の本ということで読んでみた。
・本書も面白く、読みだしたら止まらなくなり2日くらいで一気に読んでしまった。
・今回は男女2人ずつ、4人のキャラクターでどれも非常に魅力的で、全員に入り込めた。
・特に女性2人については対照的で、お互いの視点で話が語りがなされるときも、自分が「当たり前」に思っていることと、相手が「当たり前」に思っていることのすれ違いの会話が非常に面白かった。
・自分的には完全に考えて気には「紗雪」派なので、何にせよ「それが普通でしょ」で行動する朋美はただのアホな女(言葉悪、1)としか思えなかったが、最後の方で覚醒していくのはかっこよかった。
・だが、やはり普段の会話や行動は紗雪が断然にかっこいい。これほど芯があり、言いたいことをすぱっという人には憧れる。
・また、今回話のエピソードの1つとして差し込まれていた貴人の仕事(先輩の八木の成果で仕事を取れる話)も非常に心温まる話で良かった。あまりこういった仕事に焦点を当てたエピソードは小説として扱われることは少ないような気がして、大変面白く読めた。普通に仕事をこなしている社会人であれば、身につまされることがあり、自分のことに引き寄せて感動できるのでは無いかと思う(2)。
・作者の得意技なのか、最後に近い箇所で、自らの嫌らしさに自覚する山場のくだりが今回もあり、非常にドキっとさせられる(4)。

***
1.
> こだわってるわけじゃ……。だって、普通じゃない?クリスマスにデートは」 あの後輩たちみたいに、彼氏じゃない人におごってもらったりプレゼントをもらったりなんて図々しいことは思っていない。でも、彼氏とだったらデートやディナーぐらいは普通するはずだ。こだわっているわけでも、贅沢をいっているわけでもないと思う。

> 私には「彼氏」がいる。この子たちより、勝っている。

2.
> いいの、いいの。元々、換えるときは八木君にお願いするつもりだったから。こんなこと言うの何だけどさぁ。こういう商品って、正直、会社によって品質に大きな違いがあるわけじゃないでしょ?」「まぁ、それは」「だったら、感じのいい営業さんが来てくれるところと契約したいからさ。あちらさんとは、それなりに長い付き合いだったけど、しょっちゅうご機嫌伺いに来てくれてたのに、僕が辞めるって知った途端に、顔見にも来ないもんね。会社には来てるのにさ。後任の奴にだけ挨拶して、それで帰っちゃうの」 越川さんは笑っていたが、俺は反応に困ってしまった。「だから、まだ僕に権限があるうちに、お宅と契約させてもらおうと思ってね。八木君は、本当に何度も足運んでくれて、忙しくて僕があんまり相手できなくても、嫌な顔もしなかった。本当に感じのいい人だよね。夏川君だっけ? 君もこんな遅い時間に、自分から来るって言ってくれて、ありがとうね。ああ、でも八木君、年内はもうう出勤しないんだね。最後に挨拶もできなかったなぁ

3.
>はそもそも、人と人との関係なんて、そういうものだと思っている。「付き合いましょう」なんて宣言し合ってから関係を築きはじめるなんて妙だ。関係性なんてものは、気が付いたらできあがっているものなんじゃないだろうか。

4.
>確かに、ある。治樹と結婚することを伝えたときだ。治樹のことが好きだから、驚いて動揺して、でも必死に取り繕って「結婚パーティーが楽しみ」と言った朋美に向かって、私は朋美の心の動きを全部悟った上で、「ありがとう。朋美が私たちの結婚を祝福してくれて、嬉しい」と言って笑った。思いきりきり意地悪な顔で。確かに私はあのとき、はっきりと朋美に対して悪意があった。

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2019年06月01日

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ネタバレ

*結婚に強い憧れを抱く女、朋美。結婚に理想を追求する男、貴人。結婚に縛られたくない女、紗雪。結婚という形を選んだ男、治樹。朋美は、親友の紗雪が幼なじみの治樹と突然結婚を決めたことにショックを受ける。心から祝えない朋美だったが、ふたりの結婚パーティーで出会った貴人に次第に魅かれていく。しかし、紗雪と治樹の結婚には隠された秘密があった…。アシンメトリー(非対称)なアラサー男女4人を巡る、切ない偏愛ラプソディ*

これは・・・予想を裏切る展開でした!もちろん、良い意味ですが。LGBT絡みかな、とは思っていたけど、更にその裏があったり、「普通」に対する概念の違いや、それぞれの持つ歪みも見事にあぶり出され、面白過ぎて一気読み。歪みは歪みのままで収集したラストも好き。

0
2016年10月13日

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ネタバレ

ざらっとした感情。ままならない感情。
それぞれの『普通』『基準』が邪魔をして、会話に行動に心の裡にざらっとした感情が、入り乱れる。

生まれながらにもっているもの、知ってほしいもの、触れられたくないもの、習慣、癖、病気など、育った環境、考え方などみんな違うのに、それぞれの『普通』が、邪魔をして、苦しくなる。
『普通』が幅をきかせて、いつまでも『オンリーワン』は、ほど遠い。
人は比べるし、縛るし、苦しめる。
物語に出てくる人物皆、理解してほしいと思いながらも、相手を貶したり、傷つけたり、受け止めてほしいと思っても、諦めてしまいそうになったり。
勝つ、負ける、あの人よりはやく結婚する、しない、できない。
自分が好きなものをただ好きだといいたいだけなのに、うまくいかない。
自分の人生なのに、比べてしまう、諦めてしまう、外野がうるさかったり。

読むのが大変だった。




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2021年12月02日

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ネタバレ

昔読んで面白かった記憶があったので再読。
女同士の嫉妬具合がリアルすぎます。
ちょっと棘のある言い方をわざとしちゃったり......。


治樹以外の登場人物全員にイライラしてしまう、なのに別視点で見ると、憎めない存在になってくる

特に朋美は紗雪視点で見てると本当になんやこいつ!って思うのに、だんだんこいつ嫌いじゃないと思ってくる

最後の女同士の本音のぶつけ合いは二つとも吹っ切れてて素敵でした。

0
2021年04月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

4人が語り手なので、それぞれ鬱屈していて、他者に対して好意だけじゃない本音が語られる。朋美が最初嫌いだったけど、最後の彼女は好きだな。紗雪にちゃんと本音ぶつけて向き合って、本当の友人になれたのね。貴人て周りにいたら一番めんどくさそう。朋美との関係も変化して、なにかにすがるのもやめられたのかな。紗雪の「アセクシャル」、そういう人がいるのは知っていましたが、言葉は初めて知りました。治樹の元カレとの浮気はげんなりした。

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2019年04月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この作者にこんなに惹かれるのは何故だろうと思ったら、彼女が同世代だからのようだ。
現代を生きるアラサーの心情が痛いほど上手に描かれている。
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結婚に強い憧れを抱く女、朋美。結婚に理想を追求する男、貴人。結婚に縛られたくない女、紗雪。結婚という形を選んだ男、治樹。朋美は、親友の紗雪が幼なじみの治樹と突然結婚を決めたことにショックを受ける。心から祝えない朋美だったが、ふたりの結婚パーティーで出会った貴人に次第に惹かれていく。しかし、紗雪と治樹の結婚には隠された秘密があった……。アシンメトリー(非対称)なアラサー男女4人を巡る、切ない偏愛ラプソディ。

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2015年06月03日

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ネタバレ

アセクシャルを隠れ蓑に、自分が好きな男性(ゲイ)と結婚しようとする彼女は受け入れがたい。ファッション○○として、アセクシャルをいいように使っていて、本当にそれで悩む人たちを軽視しているように感じる

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

秋本朋美
二十四の時から母親と二人暮らし。父親が会社の部下と付き合っていて、彼女が妊娠し、責任を取って結婚するために母親と離婚した。母親と東京に引っ越す。派遣会社に登録し、アパレル系の商社で働く。

辻紗雪
インテリアコーディネーターの資格を取って、インテリアと雑貨の店で働いている。朋美の一つ年上。東京生まれの東京育ち。

藤原治樹
カフェバーの雇われ店長。紗雪の結婚相手。紗雪とは中学校と高校が一緒で一つ年上。

夏川貴人
紗雪と治樹の後輩。複写機や複合機のリース会社の営業。

麻美
朋美の地元の友達。細身で派手顔の美人で、朋美のような地味な朝タイプをバガにしていた代表格の子。

松田
朋美が入社したときに仕事を教えてくれたベテラン社員のおばさん。

文也
治樹が働くカフェバーのオーナー。バイセクシャル同士の夫婦。

尚子
文也の奥さん。バイセクシャル同士の夫婦。

小春
紗雪の二つ年下の妹。

タカハラ
朋美の母と結婚を前提に付き合ってる。

祐輔
治樹が調理師の専門学校に通っていた頃の同級生。

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2024年03月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

4人が途中からガタガタと崩れていくのがおもしろかった。

登場人物が自分に当てはまるところも多く、リアルだなと感じた。

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2020年07月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マイノリティ、マジョリティ。マジョリティにカテゴライズされていたとしても、”普通”という人間はいないということを強く感じさせられた一冊でした。ただ、誰一人として登場人物に共感を抱けなかったのが残念なところ。

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2017年04月25日

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