あらすじ
高校までどん底の成績だった天然少女、凜田莉子。沖縄から上京後、感受性を学習に役立てるすべを知り、わずか5年で驚異の頭脳派に成長する。次々に難事件を解決する莉子のもとに、怪しげな招待状が舞いこんだ。絢爛豪華な宝石鑑定イベントに潜む巧妙なトリックを解き明かせるか。1年半で200万部を突破した『面白くて知恵がつく人の死なないミステリ』。初めての方も是非この作品からお読みください。Qシリーズ最高傑作登場!
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Posted by ブクログ
事件簿・短編集に続く万能鑑定士シリーズ第一弾。
彼女が上京時や瀬戸内店長から学習法を教わるシーンなどの過去のエピソードからの掘り下げのパートでシリーズのおさらいをしつつ、事件簿12巻で出てきた「コピア」と呼ばれる贋作者の登場などこれからの展開を予期する部分も多くとても面白かったです。
ストーリーも過去のエピソードや角川社内で起きた事件の伏線を回収する所がとても気持ちよく、莉子の台詞の「鑑定は過去の価値を問いません」「いまどうあるかです」にもあるように、失敗してもまたやり直せるというメッセージが強く感じられた回だと思いました。また莉子と小笠原の恋路の行方もこれからもっと進展していきそうで楽しみです!
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
凜田莉子:佐藤聡美
小笠原悠人:寺島拓篤
葉山翔太:中村悠一
荻野甲陽:平田広明
宮牧拓海:福島潤
瀬戸内陸:三木眞一郎
瀬戸内楓:鬼頭明里
関根智貴:菅生隆之
槌谷廉:西田雅一
舛井蘭:中上育実
庵原陽輝:天﨑滉平
古閑碧人:桐本琢哉
浪滝琉聖:山寺宏一
蓮木愛美:瀬戸麻沙美
宇城颯馬:斉藤壮馬
峯野咲耶:三澤紗千香
塩崎正宗:小杉十郎太
桐島百華:阪口周平
浅倉絢奈:花澤香菜
コピア/弧比類巻:関俊彦
Posted by ブクログ
〇 総合評価 ★★★★☆
『万能鑑定士Q』の別シリーズ。莉子が上京するシーンから描かれている。全体の作りは、このシリーズらしく、短編集のような構成。序盤は、莉子の状況から、チープグッズでの修行のシーンが描かれる。それから角川書店での騒動を解決し、後半は宝石鑑定トーナメント、それからアパレル業界の流行色を利用した詐欺へと続く。
宝石鑑定トーナメントのメイントリックが、『万能鑑定士Qの事件簿Ⅸ』のモナ・リザの鑑定の際に莉子が陥った罠と同じである点は、ややマイナス。あと、少し詰め込み過ぎとの印象がある。その分、展開はスピーディ。『万能鑑定士Qの事件簿』シリーズを1から12まで読むのは大変という人には、シリーズ入門として良いかもしれない。そういう意味では、事件簿シリーズで最も好評であるⅨのメイントリックを流用しているのも、作者の計画のうちなのかもしれない。
自閉症の娘という部分は、マジシャンにつながる部分もある。全体的に見て、傑作とは言えないが良作。槌谷廉、浪滝琉聖、蓮木愛美、宇城颯馬などの登場人物は、もう少し掘り下げてほしかったところはあるが、それなりに魅力的ではある。雨森花蓮が「絶対に関わるな・」と莉子に言っていた、孤比類巻(コピア)という贋作士がちらっと出ているのも面白い。
トータル評価としてはギリギリ★4。『万能鑑定士Q』シリーズ全体を俯瞰する作品としておすすめできる作品
◯ メモ
◯ プロローグは、凜田莉子が沖縄から東京に上京する飛行機のシーン。飛行機は、危険物を積んでいるという謎のMDからの音声の影響で、東京ではなく北海道にフライトする。莉子はこの飛行機で槌谷廉という人物に出会う。
〇 上京したばかりの凜田莉子。就職活動に失敗し、チープグッズでアルバイトを始める。チープグッズで成長していく様子が描かれる。
〇 現在の沖縄での事件が描かれる。沖縄で、槌谷と再会する。莉子は槌谷の悪事(ガリウムのナイフと郵便を利用した強盗)を暴く。さらに、上京するときのハイジャック騒ぎの犯人が槌谷であることも暴く。
〇 角川書店のパーティで、騒ぎが起こる。クロークのスーツにナイフを突きつけられたという騒ぎと、専務のネックレスが無くなった事件。警備員をパーティ会場に連れてくるのが目的。警備員がいなくなったところを狙い、HDDのデータとコミックの見本本などを盗んでいた。オクタゴン習志野店という店が黒幕。莉子の機転で犯行を暴く。
〇 莉子は、ゴールデン・プログレス協会の宝石鑑定トーナメントに参加することになる。浪滝琉聖が黒幕。蓮木愛美という女性鑑定家を日本一の宝石鑑定士の座から引きずり落そうとしている。
〇 宝石鑑定トーナメントのルールはカプセル入り玩具販売機を使ったもの。出てきた宝石を30秒で鑑定するというルール。愛美と莉子は誤答ゼロで1回戦を突破する。
〇 愛美の部屋でのトラブル発生。不穏な空気。小笠原は謎の暗号文を見つける。莉子は、このトーナメントのからくりを見つける。カプセル入り玩具販売機は、出てくる順番を調整することができる。例えば、先行(本物を選ぶ)に全て本物が出てくるようにすれば、先行の人が選んだ皿には本物のみ出てくることになり、正解率は100パーセントになるというからくり。
〇 莉子は愛美を説得するが、愛美は聞かない。決勝で莉子と愛美が対戦する。莉子が勝つかと思われたが…愛美が誤答ゼロで優勝する。
〇 莉子はロンドンである御前鑑定に罠があるかと思い、ロンドンに向かう。国境で足止めされそうになるが、浅倉綺奈に会い、綺奈のラテラルシンキングで救われる。莉子達がフェリーに駆け込み乗車をしたために、チケットを購入した時間が、出港した時間より後になっていたことが疑われていた。
〇 愛美は御前鑑定で宝石をイミテーションと鑑定する。トーナメントは愛美から正確な鑑定眼を奪うための罠だった(『万能鑑定士Qの事件簿Ⅸ』のモナ・リザのときと同じトリック)。莉子からの説得を受け、愛美は御前鑑定にもう一度挑戦し、参加を許される。
〇 愛美を失脚させるという浪滝琉聖の計画は失敗。浪滝琉聖は自閉症の自分の娘のために、莫大な金が必要だった。そこで、アパレル業界を利用した計画を仕掛ける。グレーの生地を買い占め、日本流行色協会のアンケートをすり替え、グレーを流行色にするという計画だった。オクタゴン騒ぎの黒幕も浪滝琉聖。印刷業界全体に揺さぶりを掛け、データを差し替えさせることが目的だった。
〇 浪滝琉聖は、偽の宝石づくりを、孤比類巻(コピア)に頼んでいた。複製とは一つだった本物が二つに増えることに過ぎない、とうそぶく男。
〇 莉子は、オクタゴン習志野店の店長のもとに送られていた100万円の札束の帯紙から、浪滝琉聖の居場所を暴いた。
〇 最後は波照間島での宴会。莉子、小笠原、宇城、愛美が参加している。莉子と小笠原はいい雰囲気。
Posted by ブクログ
角川文庫のデーター盗難事件、宝石鑑定トーナメント、浪滝が企てた流行色をコントロールした事件など、テンポ良く莉子が解決していった。しかしあまり大きく心に残るようなストーリーではなく読んだ先から忘れていってしまいそうな内容であった。実際の事件や出来事も登場するのでどこまでがフィクションでどこからがノンフィクションなのかよく分からなくなってしまうのだが、英国女王の前で宝石の鑑定をする意味がよく分からなかった。
多分、細かい点を気にせずに読み進めていくのが正解なのだろう。
Posted by ブクログ
雑学いっぱい。
勉強ができない主人公が学んでいったところの描写をもっと見たかった。
このカップル、行ったり来たりしながら付き合うんだろうな。しかし、リコさん苦労しそうだ。
Posted by ブクログ
前シリーズとどうコンセプトが違うのかよくわからなかったけど、いつもどおり面白かった。
万能鑑定士になる前の莉子が登場して、ちょっとかわいい。
Posted by ブクログ
シリーズの名前は変わったけれど、内容にさほど変わりはないような…。今回莉子が見抜いたトリックもモナリザ贋作の時と似ている。特等添乗員とコピアこと弧比類巻の初登場とロイヤルファミリー登場が目を引く。「鑑定は過去の価値を問いません…いまどうあるかです」。そう、人間いつからでもやり直せる。