あらすじ
時は戦国。織田の軍に妻子を殺された若き上忍・影正は、信長への復讐を誓い紀州をめざす。付き従うは右腕の朽磨呂、くノ一の詩音ら、一騎当千の七人。だが山中の荒れ寺に辿りついた彼らを異変が襲う。寺の空間が不自然にひき伸ばされ、どうしても脱出できないのだ! さらに一人が、姿の見えない敵によって一瞬で屠られる。それはこの寺に棲む五体の妖怪が仕掛けた、死の五番勝負だった――。時代小説の新鋭による、戦国エンタテインメント!!
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Posted by ブクログ
つい先日読み終えた、和田竜さんの「忍びの国」の記憶も新しい中、同じ天正伊賀の乱を背景にした本作を読んで、全く異なるこの二作が実は繋がっているような錯覚を覚えた。
というのは、全くの私見かつ余談。
本作の話をすると、荒れ寺での精鋭の忍び達と妖達との凄絶な戦いは、確かに凄まじく、どうなるのかとドキドキしながらページをめくる手が止まらなかった。
しかし、ラストまで読み終えたとき、その死闘すら、伊賀忍びたちにとって、真の使命を果たすまでに立ちはだかった障害の一つに過ぎなかったんだと実感した。
かと言って、妖との死闘がつまらないという意味ではない。
忍びたちの己の使命への思いの強烈さが、そう感じさせたということ。
こういう伝奇物も久しぶりに読んだが、とてもおもしろく読めた一冊だった。一気読みやったし。