【感想・ネタバレ】魔術の殺人のレビュー

あらすじ

旧友の依頼で、マープルは変わり者の男と結婚したキャリイという女性の邸を訪れた。その家は非行少年たちを集めた少年院で、異様な雰囲気が漂っていた。キャリイの夫が妄想癖の少年に命を狙われる事件が起きたのも、そんななかでだった。しかも同時刻に別室で不可解な殺人事件が発生していた!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ミス マープルものだと知らずにテレビで見て、それから数年たってから小説を読んだ作品です。

本を読むときには、結果を知っていたので、映画と文学の違いを楽しみながら読みました。
結論がわかっていても、そこまでの筋を文学としてはどのように記述するのかということを楽しみました。
細かいところはもう忘れていたので、あ、そうだったんだと思いながら、読みました。
事前に見ていても、登場人物が覚えきれずに、何度も表紙の裏の登場人物一覧をみながら読み進みました。

ps.
ミス マープルものの種明かしは、最後の最後が多いので、もう少し最後は書き込んでほしいものもあります。
英語の表題の鏡を生かして「鏡の魔術」という方がいいように思いますが、いかがでしょうか?

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2011年08月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

依頼を受けて、旧友の妹が住む邸宅に赴いたミス・マープル。その邸には旧友の妹キャリイとその夫だけでなく、キャリイの以前の夫の連れ子や養女の娘など様々な人たちが暮らしていた。それだけでなく、隣接する施設には精神病の子どもたちも暮らしている。
ある夜、妄想に囚われた青年エドガーがキャリイの夫ルイスを撃とうとする事件が起こる。ルイスは無事だったものの、その間に別の殺人が発生。
騒動の裏で起こる本物の殺人、警察が一人一人事情聴取をして動機から犯人を探っていくスタイル、見え隠れする遺産相続問題と命を狙われるキャリイ、散りばめられたヒント、と王道のクリスティ作品。
ミス・マープルの観察眼が遺憾無く発揮される。

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2024年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

珍しくトリックと犯人は見当がついた。片付いた後のキャリイの態度が印象的だが、最初から何となく勘付いてたんだろうなとも思う。1回殺人を犯した人間は2回目以降止まらなくなるってなはクリスティでは徹底してるなあ〜。

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2024年02月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

クリスティの長編ミステリー。
マープルシリーズ。古典作品の読みにくさがこれでもかと詰まった作品だ。(笑)
女主人、現在の夫、1番目の夫の継子と実子。そして養子の娘、2番目の夫の子供二人、ここに付き添い人や使用人、医者等中々難しい環境設定のため序盤は苦しんだが、後半迄に何とか整理して読み進める事が出来た。さらに、舞台設定が非行少年たちを集めた少年院であり、すべてが作用しながら非常に面倒臭い、異様な世界観を漂わせている(人間関係の設定の難しさも作風に合わせている様に思っている。)
 マープルの旧友であるルースは自身の妹であるキャリイをとても心配しているが原因がわからない。マープルは昔から空気感をよむ鋭さがある為、キャリイの住む邸に赴き(マープルに生活苦を演じる様にすればキャリイはきっと招待してくれるという、何とも屈辱的な依頼だが)不穏な空気の原因を探る様に依頼される。
 (現在の少年院とは少しイメージが違うが、生まれや生い立ちなどにより罪を犯したり精神的に不安な少年達を改心させ、優秀な仕事や役割を与える住み込みの学校の様なものだ。)
そんな環境下においてエドガーという一人のおかしな青年が、キャリイの夫であるルイスに陰謀論等をふっかけて部屋に立て篭もり銃を発射する事件が起こる。結局、実際に弾は発射されるが空騒ぎに終わり、事なきを得るが、実は同じ邸の別の部屋にて銃殺された死体が見つかる。
 マープルシリーズ特有の特殊な殺害現場、方法であり今回は安楽椅子探偵ではなくマープルが自ら乗り込んでいる点が面白い。マープルシリーズでは警察も協力的であり、現代ではありえないが皆んなで考えようの精神があり、捜査で発見された謎は次々と共有される。
 トリックも手の込んだアイデアで、正にそれが一番しっくりくる方法だ。夫ルイスはキャリイを愛している事に変わりはないし、実はキャリイが狙われている場合には犯人の割り出しは彼女の遺産などから検討しなければならない。今回、様々な「魔術」がクリスティによってかけられており、①キャリイが実は狙われているという偽装②キャリイに毒が盛られているのが嘘だという偽装、③ホール内での立て篭もりが実は二人の共犯でありトリックの肝だという偽装。④動機がキャリイに関わるものではなくルイスの横領によるものだという事実。
 つまり幾重にも罠が張り巡らされており、読者を惑わし偽装へ誘う。少なからず世界観もある作品の為引き込まれていく。
 残念な事に最後、犯人の結末が滑稽で勿体ない退場の仕方だ。二人が実は親子だった事や夫婦は少なからず本当に愛し合っていた事等を踏まえ、もっとスリリングな、衝撃的な結末があった様に思う。(終盤にまとめて発見される二人の死についてもおざなりな印象を受けてしまう。死体が一つじゃ足りないから・・・的な印象を持ってしまった。)
クリスティの作品でよく言われるが、夫婦の殺人は相手を疑うはもはや王道であり、結局王道に至るのだがそういう結末だと終盤迄感じさせない描写力が今作の魅力だ。最後、批評にてマープルを魔女と評しているが、今作の彼女はどちらかと言えば友人への優しさが溢れる役回りであり、一瞬で真相を突く恐ろしさは控えめだった様な思う。

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2023年08月05日

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ネタバレ

マープルもの。
クリスティにしては、かなり平易な仕掛けかな?
ちょっと家系図が込み入っているが、クリスティらしく、登場人物間の恋愛関係等を含めたドラマが中々に面白かった。

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2022年11月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

理由はないけどなんとなく妹に何かありそうで不安だから1ヶ月くらい妹のところに行って不安の正体を確かめてきて、という友達からの雑な依頼でしかも強制参加のやつ

妹の今の夫は3人目で、少年院を開いてる

扉の向こうで言い争っている夫と精神病患者がグルで、口論中に精神病患者の方が殺人現場まで走って行って戻ってくる
不在の間は夫が一人二役で口論の演技
流石にばれるやろ

飛び抜けた善人は極悪人にもなれるとかなんとか

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2024年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

老嬢は欺けない。

寄宿学校で共に過ごしたルースに頼まれて、ミス・マープルはルースの妹であり同じく旧友のキャリィを訪ねる。彼女は未成年犯罪者の更生教育にその身を捧げる夫と共に少年院を営む彼女の屋敷を訪ねた。そこにはセロコールド夫妻の他に、キャリィの娘ミルドレッド、キャリィの養女の娘ジーナ、その夫ウォルター、キャリィの二番目の夫の息子アレックスとスティーヴン、キャリィの付き添い人ミス・ベルエヴァー、使用人エドガー、精神医学者のマヴェリック博士、そして施設に入っている少年たちがいた。突然訪ねてきたキャリィの最初の夫の息子クリスチャンの用件はなんだったのか。エドガーは頭がおかしいのか。ミス・セロコールドは命を狙われているのか。ミス・マープルの推理は——。

嫌な予感がするというルースを否定しないミス・マープル。悪意を認識しないキャリィは何を見ているのか。心配したキャリィは殺されず、死ぬのはクリスチャンであり、トリックに気づいたアレックスであり、誰かを見たと吹聴した少年である。頭がおかしいような描写をされたエドガーは、実は演技であった。不満を抱いていたウウォルターと、アレックスやスティーヴンといい感じに見えたジーナは、依を戻してアメリカに帰る。美しい養女ピパとの扱いに差をつけられていたと感じている実の娘ミルドレッドの隠されていた愛情。すべてキャリィには最初から見えていた。決して惑わされないキャリィ。その本質が学校の頃から変わっていないことを思い返すミス・マープルに、思わず彼女たちの女学生時代のエピソードがあれば、それもまた面白かったであろうと夢想する。

罪を犯した少年を教育するという発想から、善と悪について。悪は生来のものなのか、悪は遺伝するのか。少年たちの更生を望んでいたルイスは、その少年たちが生きる新天地を得るために不正な手段でお金を稼ごうとした。そして殺人まで犯した。しかし彼は共犯者に選んだエドガー(おそらく息子)を救うために命を捨てたのだ。キャリィのことばにあるように「とびぬけた善人になれることのできる人間は、やっぱり極悪人にもなれる」のである。これは面白いことばだ。他の作品で、犯人はとても人間的ということばもあった。善人だけである人もいなければ、極悪人だけである人もいない。では、罪を犯すのは何のせいなのか。環境のせいなのか。

ルイスの夢であり、キャリィの語るところによると、罪を繰り返してしまう一部の成長しない性質をもつ者にとって、現代社会は複雑すぎるのである。だから、流刑者がより単純な新世界で新しいスタートをきるのはある意味で道理なのだと。思わずケーキの切れない少年たちの話を思い浮かべた。ルイスとキャリィが想定している少年たちとは、彼らなのだろうか。この物語が出版された1952年から70年あまり経ち、罪を犯す少年への見方は前に進んでいるのか、足踏みなのか、違う方向へ舵を切ったのか。考えさせるテーマである。

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2021年06月18日

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