【感想・ネタバレ】子どもへの性加害 性的グルーミングとは何かのレビュー

あらすじ

子どもへの性加害は、心身に深い傷を残す卑劣な行為だ。なかでも問題なのが、顔見知りやSNS上にいる〝普通の大人″が子どもと信頼関係を築き、支配的な立場を利用して性的な接触をする性的グルーミング(性的懐柔)である。「かわいいね」「君は特別だ」などと言葉巧みに近づく性的グルーミングでは、子ども本人が性暴力だと思わず、周囲も気づきにくいため、被害はより深刻になる。加害者は何を考え、どんな手口で迫るのか。子どもの異変やSOSをいかに察知するか。性犯罪者治療の専門家が、子どもを守るために大人や社会がなすべきことを提言する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

次々と法令が改正され、新たな罪状が追加されていく性犯罪について、現状を徹底的に理解できる一冊です
例えば、ひとりの子どもの性被害を一本の樹とすれば、それを取り巻く加害者や法令、その人たちを治療する立場の医療従事者が、密集した樹海を感じさせる情報の濃さです
被害に遭う、というリアリティが、生々しい湿度と熱気を感じさせます、それは多数の加害者に治療の場で接した著者だから文章を通じて感じさせるものだと思いました むしろ著作の中では、具体的な被害については、ニュースの被害状況の報道のように、多くを語らない形で書いているのにです
知識として、男性でも大学生ぐらいまでは、女性と同様に性被害に遭うということは、犯罪白書から知っていたのですが、男児たちが性被害に遭うのは、芸能界のごく一部の話ではなく、むしろ子どもへの性被害の一般的なケースだと伝えてくれている貴重な読書体験となりました
今、読んでおかないとマジでヤバイですよ って感じさせられる本は久しぶりでした なんだかんだ専門外の読書って余暇の消費にしかならないじゃないですか それを令和になって、男児を取り巻く実情が、やっと法的に保護されたのだなぁということが分かります
かえって、これまでの男児への性加害が、どれだけ見過ごされていたのかという驚愕がありました
純粋な読書として、著者が誤解を招かない表現を心掛けた読み物としての魅了があります こういう、文章の細部から、誤解を生じさせない息遣いを感じた本は、人生で四度目ぐらいです それだけ性犯罪について語ることは、慎重な表現が求められるのだと思いました
この先、社会的に男児への性加害や不同意性交が関わる価値観が揺れ続けるのは、目にみえています 読むのが早ければ早いほど、次世代の価値観へ脳みそをアップデートできるので、オススメです!

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2026年01月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「包括的性教育」の勉強をしていて、性被害を防ぐには「性加害者」について学ばなければならないと思い、この本を手に取りました。

以下、勉強になったことメモ。
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グルーミングとは、子どもと親しくなり、信頼関係を築き、その信頼を巧みに利用して性的な接触をすることです。オンライン、面識のない間柄、面識のある間柄の3パターンがありますが、オンライン、特にSNSでの接触が増えているようです。
(この本を読むとわかりますが、出会い系だけではなく、ゲームで有料アイテムのプレゼントなどから親しくなることもあるようです。)
2022年の内閣府の行なった16−22歳向けアンケート(6224人)のうち、26.1%に相当する人、つまり子どもの4人に1人が性被害にあっています。被害届を出したのはわずか14%。
子どもの容姿と被害のあいやすさは関係ない。
グルーミングの被害者である子どもは被害を認識できないし、加害者に洗脳されていることもよくある。
被害者が年月を経て加害者になることもある。加害者が刑務所で自分のライフヒストリーを書き出すことで初めて子どもの頃に被害に遭っていたことに気づくこともある。

加害ケースを読み、加害者の供述を聞くと、吐き気をもよおしました。加害者はいわゆる変態的な人ではなく、「大卒、サラリーマン、家族持ち」といった優しいその辺にいる人が加害者であることもよくあるようです。

グルーミングの5つのプロセス
①被害者の選択→自尊心が低い、孤立、貧困、物理的に父親がいない子ども(母子家庭)が典型のようです
②子どもにアクセスし、分離を進める→家族や友人から引き離し、「みんな君のことをわかってくれていないね」などと声掛け
③信頼を発展させていく
④性的コンテンツや身体的接触に鈍麻させる
⑤虐待後の維持行動→口止め、小遣いなど

「根底にあるのは男尊女卑の価値観ではないか」
小児性犯罪者が語る「かわいい」が質的には違う。
日本ではかわいい存在は、小さくて弱くて守るべき存在。日本では「男性は女性よりも優れていなければならない」という価値観が根強くあり、女性は「控えめで思慮深い」「やさしい」「思いやりがある」「気遣いができる」などを求められる。「女性が未熟であること」を評価する大人と、「絶対に脅かさない存在」である子どもの無知や弱さを巧みに利用する小児性犯罪者は男尊女卑という価値観において地続きの存在ではないか。(p.97)

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2025年07月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

性的グルーミングの手口、加害者の思考、被害の実態、支援・治療・法律まで、多角的に学べる内容でした。

信頼関係を利用して子どもを取り込む過程は「洗脳」にも似ており、加害者が「かわいい」と言う言葉に潜む支配欲には強い憤りを覚えました。

一方で、被害者の親が加害者となるケースへの言及は本書では確認できず、その視点は今後さらに議論が必要だと感じました。

命の安全教育や包括的性教育など、大人自身が学び直す重要性を改めて痛感させられる一冊でした。

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2025年09月20日

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