あらすじ
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一〇八歳で逝った世界的美術家の未公開画文集。
美しく老いるとは、こういうことだ.。
2021年に亡くなった世界的美術家・篠田紅桃氏。
彼女が知られざる「人生の弟子」に託していた、
未公開の作品と言葉による、最後の画文集。
人生とは、芸術とは、老いとは、死とは。
「心に宿るもの、心にきざすもの、思い、
それを『可視のもの』にしたい。
『かたち』を創りたい。
私の若い心からの願望、到達点のない、
生ける限り続く、ねがうかたち。
しかし現実には、晩年になってしまった。
心中の『真にうつくしいもの』は、
いつも逃げ水のように、
少し彼方から、私を招いている」(本書より)
本書に収録されている作品は、
大半は桃紅氏が80歳を過ぎてからのものだ。
人生百年時代と言われるいま、
「どう老いるか」
「どう死ぬか」
「死んで何をのこすか」
は、すべての人の関心事となっている。
本書は、その問いに対する、
世界的美術家からの「答え」とも言える。
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Posted by ブクログ
本作品集は書家であり芸術家である篠田桃紅(しのだとうこう)氏の80歳を過ぎてからの未発表作品や肉声、言葉、表現が詰まったものである。
墨の抽象画とは、なかなか見られない表現である。墨との余白が美しく洗練されているのが窺える。
「人生とは」「老いること」「死ぬこと」「何を残すか」をテーマとし、100歳を越えて尚衰えることなく、今と未来に繋げる表現者として生き続けるだろう。
Posted by ブクログ
画集だけなら手を出さなかったんだけど、タイトルと中をぺらぺらと読んだ詩的な文面が目から染み入り最後まで読んで(見て)見たいと思った。ほんとに線だけを生涯描き続けた人の言葉には深みがあります。一歩間違えると落書きにしかならない作品を延々と描き、またその画に惚れ収集され続けた人がいることにも驚きで、ページをめくる毎の書き始めの強調文字が良い。表紙の丸い絵は”線”と違うやんって突っ込みたくなるが、該当ページを読むと思わず笑ってしまう。ああ、わかるって。
こういう本をおすすめコーナーに置く図書の係りの人のセンスって光ってると思う。
Posted by ブクログ
書
書はできるもの、絵は創るもの。 偶然できるものの偶然を待つ。
羊毛
柔らかい、ふぃにゃふにゃの筆で描いた強い線くらい美しいものはない。
アート
人の精神のなかに、何か美しい、いいものを絶えず送り込んでくるもの。
次の作品への誘い
今、つくっているときに湧く。
つくっているということは、続けるということになる。
ここで終わるということがない。
心
目に見えないから、
心というものに浮かんでいるものを目に見えるようにしようと思った。
私の抽象の根になるものは「心」にしたかった。
言葉や文学に置き換えられないから抽象にしている。
印刷文字が出しゃばり過ぎている
注目していたアーティストの作品集。絵も文章も素晴らしい。
しかし、その文章の印刷文字が出しゃばり過ぎて、煩わしい。
例えば絵本であれば、絵は文字が入ることを前提として描かれ、絵と文字が一体になっている。良い絵本は絵と文字が互いに引き立て合っている。
しかし、この本は、元々印刷文字が入ることを想定していない絵の中に、あるいはそれと隣接して印刷文字が、それもデカデカと入っている。印刷文字が絵を侵食し、絵を殺している。いちおう絵に掛からないように、あるいは掛かるとしても空白部分にと工夫はしているようだが、そもそも本来そこには無いはずの印刷文字が入ることで絵の空白面は浸食され、作品の完全性は損なわれている。
せっかく素晴らしい絵と文章なのに、それを台無しにしている紙面構成は、なんとももったいない。
そういう意味で☆一つです。