あらすじ
小説は教わって書けるようになるのか? 小説はどう発展してきたのか? 小説にとって重要なのは、ストーリーか、キャラクターか、それとも、描写なのか? こうした疑問に答える、刺激的で実践的な教室。さまざまな文体を比較して、練習問題も豊富。「先生」と「生徒」の対話を追ううちに、小説とは何か、が見えてくるだろう。
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Posted by ブクログ
小説の書き方の指南書ではない。上手な文章を書く方法でもない。小説を書くということは学校でお勉強をするのとは真っ向対立するものなのだから。
小説を書きたいなら、まず小説を書くこと。
では、何を書くか? 自分がよく知っている事を書く、本当に知っていることを書く。いきなり書き出してはいけない。書く前の沈黙を味わう。
そして次に小説と遊ぶ・つかまえるレッスン。
どんな文・考え・ことば、が飛んできても受け止めるレッスン。
この著書の中にはとうてい受け入れがたい文章も例として出てくる。でも目を背けてはいけない。
ことばの直球、変化球も捕る。ただ一人が持つ一つの専用道路を走る小説を拒否しない。
そして遊ぶ、何がおもしろいか考える。自分とズレを感じる作品ほどそのズレを楽しんでみる事だ。
また、飛んでくる球から、自分の恋人をみつける。好きにならずにいられないものをみつける。
そして赤ん坊のように真似る。心酔したものを真似る。母親の真似をしてことばを覚えるように。
小説の楽しみ方、味わい方が書かれた本。これからはより「たいせつに」「あじわいながら」「あそびながら」、そしてどんな強い球でも受けることができるような読書をしたいと思う。
小説を書いてみたい人にも、小説をよく読む人にも効いてくる本。
Posted by ブクログ
小説書きに行き詰まったので拝読。
まず、ずっと高橋源一郎先生の語り口が柔らかくて、かわいらしい。読んでいて、ここまで暖かさがある文章は初めてかもしれない。面白さもあり、楽しみながら読んでいたが、これも最後まで読んで振り返ると、小説(広い意味で)を先生自身楽しく遊んだ結果なのではないかと思う。その楽しさがこちらにも伝わってきたように感じられ、面白い。
飛んできたボールを楽しみながらキャッチするのはなかなか難しい。それを面白いと言っていいのかわからないこともあり、抵抗してしまったところもあった。素直に楽しみ、遊んでいきたい。
自分が書く小説も同じように、楽しみながら遊びながら書いてみたい。読んでくれるかもしれない他者を思いながら書くのも決して悪くはないと思うが、まずは小説という子どもと真剣に遊びたい。そうしたらいいものが書けるかもしれないと思う。