あらすじ
「感動、アホか。そんなもんはいらんのじゃ、暈け。これは効いた。効きまくった」(選考委員・町田康)。美帆、25歳。買い物依存で性依存――。第60回文藝賞優秀作。
「私に明日なんて必要ないし、夜は明けないほうがいい。」(本文より)
スマホで消費者金融のアプリとマッチングアプリを交互に見る生活を送る、美帆、25歳。今を生きるため人生を手放し、地獄の底の絶望と希望へと爆進する、衝撃の問題作。町田康、喝采!
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面白い。「おかしい人」の思考回路もその当人にとっては自然で真剣なんだろうね。感情の大きな振れ幅、漠然とした諦観、人を見下して起こる嫌悪。主人公の心情はころころ変わりまるで一貫性がなく、ずらりと並べてみれば突飛なものばかりだが、本人の中ではあくまで自然な流れに則りうつろっていく。
すらすら読めてしまうので、自分もいつの間にか主人公の激しい感情の移り変わりに馴染んでしまいそうで不安になる。
そういえば。気分が落ちてにっちもさっちもいかないと思い込んでいた時、この主人公みたいに突飛な考えが浮かんでは消え次の瞬間には正反対のことを考えている、みたいな経験をしたことがあるなぁと思い出した。
病んでるとこうなる、というと平たいけれど、沈んだ時にこういう思考になる可能性は誰にでもありそうで、だから他人事じゃない空恐ろしさがある。
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迸る破滅願望に共感した。破滅願望は人の応援とか温かい言葉だけで簡単に融解するものなのに人生の中でたまたまそれを受け取れなかった場合の話だった。
人は「死」に意味や救いを見出そうとするが、「死」にも「生」にも、そのままの事実のみが存在している、というような話だと感じた。
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借金、買い物やセックス依存、更には、、、あれよ、あれよという間に、どん底に落ちてゆく美帆から目が離せなかった。自ら破滅の道へ進む美帆に、はじめは疑問を感じていたが、見当識が機能しておらず、自分でもどうにも止められないことが伝わってきた。
そして、なんと言っても、ラストが衝撃的だった。
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安直な救済はなく地獄の状況でありながらも一筋の希望があって良かったし、こんな状況でもまだ現実のあれこれはそんな都合良くいかないよなぁとも思ってしまって辛い
あれこれ好き勝手やるのは良かった
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文章が面白く設定だけで覗き見したくなりどんどん読んでゆくうちに地獄と天国にゆくジェットコースターみたいな作品。
こんなにも実在しなさそうな依存に満ちた主人公だけど私の身の回りにも実在するタイプでした…。
今期最大の問題作!
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第60回文藝賞優秀作。泣いた。人生の底にいるときに読む本。
お母さんの考えも好き。結局女で勝負しなきゃ生きられない。同じ土俵に立って勝負しようなんて間違っている。
生きるの辛いけど読むとなんかちょっと生きれる気がする本だった。
「人にたくさん迷惑をかけて生きてきた結果がこれ。自分のことしか考えてなくて、明日からも生きていこうなんて甘いことを思って。」
「要するにどっちでもいいのだ。生きようが死のうが。そんなことは私の知ったことじゃない。運命が勝手に決めればいい。迷惑しかけない娘が最後まで迷惑をかけているわけだけど、そのすべてを受け止めてみろ。」
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自分はごく平均的に生きている型にハマった人間だと思うので、主人公の理解できない行動、正反対の人間性に(良い意味ではないと思うのだけど)妙に惹かれるものがあった。
まさか家族愛のお話だったとは。
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終始救いがない。
でも見ててどこかスッとする場面もある。
主人公のことをどうしようもないなと思いつつも、自分がぜったいこんな風にならないという自信は無い。
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美帆はセックスと買い物依存症で、経験人数も借金の金額ももう分からない。日給7500円のバイトに遅れそうなのに、コンビニでカフェオレとフィギュア付お菓子を買い、2000円のタクシーに乗る。生活習慣の一部のように、アプリで出会った男とセックスをし、着ることもない服をたくさん買う。なかなかぶっ飛んだ25歳だ。
両親は不仲で貧乏で、幼馴染の加代子はお金持ちで仲の良くない友達関係で、アプリで出会ったアメは最近仲良くなった美人な友人の彼氏で、バイト先に現れた新人の宇津木は高校の同級生だった。宇津木は元カノをストーカーしている。
買い物依存や、死にたいと口癖のように言う若者や、家庭崩壊など社会問題を提起するような内容ではない。ただただぶっ飛んだ人たちに唖然とする。読む手が止まらず、気が付けば一気読み。
私個人的に、小説が映像化されるのはあまり好みではない。しかし本書は、映像化したらとても面白くなると思った。特に後半の追い込みの映像や俳優までもが目に浮かぶ。
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疾走感のある文体で最悪で幸せで愛と絶望に溢れた日々が描かれる。なんであなたはこんなに生きるのが下手なの?でも、わかる。わたしも地獄の方を選択して生きてきたよ。全部親のせいだし、最低な男たちのせいだし、私たちの選択のせいだよ。落ちてくる彼女を家族ごとみんな抱きしめて一緒に泣きたい。
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そんなに期待していませんでしたけれども、まぁまぁ面白かったですねぇ…(!) 社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
なんか今時の若者の心象風景? みたいなものがよく表れている気がするなぁ…などと思いました…刹那的というか…もう人生投げうっちゃってる感じというか…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
ライトな文体? ですのでスラスラと読めますねぇ…あまり風景の描写とか? 無いように感じましたねぇ…主人公の独白ってか、心情描写が多いな、と…いやまあ、別にいいんですが…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
最後はどうオチをつけるか? と思っていたんですけれども、なるほどそう来るかぁ……とはなりませんでしたねぇ…(笑) 社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
まあ、そんなアレで登場人物同士のちぐはぐな会話とか面白いし、リアリティあるな、と思います…。
さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー
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メンヘラ感がリアルですごい読んでて面白かった。
最初の疾走感もあるし、怠惰な感じもすごい好き。
オチというか後半は好き嫌い分かれると思う。
私はなんか文章が続きが気になる書き方で好きだった。
アメと美帆の頭悪くて、それが故の?自己中な感じはとても人間ぽいなーと思った。
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わけわからん疾走感のインスタント絶望。主人公は愛を理解せず善悪も感情もわからず、可愛さから許されてきたって一点で許されたい人を好きだと思いこんで短期依存繰り返してるし全体的に登場人物最悪。自覚したクズのアメだけは死が救いじゃない、って言ってるのも傷つけた他者に思い入れがないことの証明みたいだった。
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すごい勢いで駆け抜けた。破滅への一直線。
買い物依存で、セックス依存で、借金依存。
ファッションで死にたい。と言い、ファッションで元カレからストーカーされる。
子どもの頃に愛されたかった欲求が、大人になり親から男の人に向かった果てがセックス依存。ひとときでも寂しさを埋めたい。でも本当は愛されたい。
死にたい。と、幸せになりたい。の行ったり来たり。
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これは面白かった。
買い物依存で借金まみれ、マッチングアプリで男を漁ってのセックスと、生きることに絶望しながら刹那的な日々を送る主人公。
クソみたいにどうしようもないのに、ここまでぶっ飛んでると爽快にすら思えた。
文章も読みやすくて結構好み。テンポが良くてあっという間に読めた。
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主人公美帆のどうしようもなさにあきれながら、この話しどこに向かっていくのだろうかと興味本位で読み進む。
頼れる家族も仲間も友だちもないと思っていて、買い物とセックスに依存。借金でどうにもならない状態。心を虚無にして、どうでもいいやと思う。自分の心を守るために現実から目を背けるしかない心境は理解できる気がする。でも、加代子を突き落とすことになったことへ罪の意識はあるのかとか、ナムちゃんを自殺へ追い込むことになっていることとか、何となく共感できない部分があってしっくりこない。
最後は、家族の愛情を確かめ合ったり、宇津木くんがすごくいい奴だったり、お涙頂戴的な話になってしまって、話の展開にも少し残念な気がした。
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とてつもなくseize the dayを思い起こさせる小説でした。
崖っぷちで死がちらつく日々を描くものはそれなりにあるけれど明日が無い感じをここまで描くものはなかなかにないよね。
タイトル通り終わりの底が見えたのか?というのは結構読み手次第な気はします。
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カラフルな装丁に惹かれて。
なかなかの衝撃作だったな〜(°_°)
買い物依存で性依存、借金まみれのメンヘラな主人公の美帆。
この作品、美帆ももちろんだけど、その周りの人達もだいぶイカれててヤバかった〜
だけどこういう現状の人って結構いるんだろうな〜ってなんかリアルを感じる。
破滅的で自暴な美帆の生き方は、ほんとなら嫌悪感持つし共感も出来ないのだけど、語りが明るく軽快なタッチだからか、ちょっとミステリ要素もあったからなのか、しんどくならず面白く読めた。
それにしても、出てくる人がみんな不器用すぎた。
母親の『人がちゃんと正しいことができるのは、健康な時だけ』という言葉には、ほんとそうだなぁ〜と妙に納得。
だから素直に愛情表現も上手く出来なくなってしまうんだろうな。
思いがけずラストはウルっときてしまった。
図野さんのデビュー作なんだそう。
なんとなく芥川賞ノミネート作品に選ばれそうな雰囲気の作品だな〜と感じた。
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主人公は破滅に向かって人生を突き進んでいるのだろうか。それとも自滅したいと思って生きているのだろうか。あるいは、そのどちらでもないのだろうか。揺れ動くメンヘラの心理状態がリアルに伝わって来ました。ラストの1ページとタイトルがリンクしている感じがし、好きな終わり方でした。
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こりゃ地獄やなという展開が続いてラストどうなんの?と最後まで飽きずに楽しめた。貧しい家庭に生まれて頼りになる大人がいないっていう、よくある設定ではあるけど、ストーリーは今まで読んだことがない感じで新鮮で良かった。
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遠い昔、『限りなく透明に近いブルー』を読んだ時のような、なんとも言えない倦怠感みたいな、虚無感みたいな説明不能の感情に支配された。しかしながら一気読み。
お母さんの「わたしより先に死なないでね」の言葉は、こういうストーリーの中での良心。ファッションとしての「死」とか、中二みたいに思えてしまう。
p121
一家離散寸前に母親から手切れ金3万円を渡されて「男はいるの?」と聞かれる。
それに対して美帆が「貧乏でバカでなんの才能もない女は男に媚びるしかないの?
?」と言うのに対して母親が
*「それの何が嫌なのよ。あれかしら、女が下に見られるのが嫌、女を敬え、みたいなこと? 最近の女の人たちってよくあんなみっともないこと言えるわよね。そう思わない>どの口で女の権利を主張してんのよと思うわ。男にご飯代を多めに払ってもらいたいし、車の運転は男に任せて助手席に座りたい。そんな女ほど言うのよ、女はつらいだの男に搾取されているだの。お互い利用すればいいだけじゃないの。あんたも、自分でなんとかできるなら頑張ればいいけど、バカなフェミニストになるくらいなら男を利用する方法を考えなさい。体うらなくてもなんとでもなるから。女の強さは男と同じ土俵で発揮するものじゃないのよ」
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一気に読んでしまう世界観の小説。
徐々に小説の世界に引き込まれる話で、一気に読んでしまいました。
あまりにも辛い立場で自分との葛藤に苦しんむ姿に、少し胸が苦しくなりました。
世の中にはこの世な立場の人がいると思うと視野が広がりました。
また、最後の展開の思い切りさは爽快でしたね。
人それぞれ何か感じるものがあると思います。
Posted by ブクログ
意外にも悪い人はあまり出てこないのにとんでもない方向に話しが進んでいくあたりには、なかなか無いレベルの勢いを感じた。キャラ設定は独特だけどエピソードは既視感あったかな。