あらすじ
東京証券取引所が運営する「東京プロマーケット」(TPM)は、プライム・スタンダード・グロースに次ぐ第4の株式市場として2009年に開設。グロースなどと比べ上場基準のハードルが低く、売上高が大きな企業ばかりが上場しているわけではないなど、中堅・中小企業が上場を狙いやすいと注目されています。
TPM上場のメリットをいくつか挙げてみると、 信用力・知名度の向上による人材採用・M&A・新規開拓(営業面)への効果、組織体制の整備や個人保証の解除が進むことで事業承継しやすくなる――等々。
中堅・中小企業にとって、即効性のある利点ばかり。近年、そのメリットに気付いた企業達の上場が相次ぎ、2021年末に47社だったTPM上場企業数は、2022年末には64社に、2023年6月末には76社にと、急増中です。
本書では、そうしたTPM上場の有効性を詳しく紹介。上場企業5社の実例を挙げ、TPMを利用した成長戦略の道を示します。
中小企業、特に地方のオーナー企業や金融機関・会計事務所にTPMへの理解を広げ、TPM上場をファーストステップに企業の存続と発展を実現するための、TPM入門書です。
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Posted by ブクログ
今こそ「東京プロマーケット上場」 売上10億円を超えたら取り組む 中小企業の新・成長戦略
著:雨森良治
東証の株式市場といえば、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場という一般投資家も株を売買できる3つの市場についてよく聞く。こうした一般市場と違い、東京プロマーケット(TPM)は機関投資家などのプロ投資家(特定投資家等)向け市場であるとも呼ばれている。
しかし、実際には、プロ投資家による株式購入がなく、それまでの企業オーナーや資産管理会社などを中心とした株主構成のままでTPMに上場するケースも多くある。つまり、上場するにあたって新たに株式を発行したり、既存株主が株式売出しをすることなく上場できる市場ということである。
上場のメリットを活かして、さらなる成長戦略が描ける企業が増えることは、活力ある日本社会の再創出にもつながる。
構成は以下の4章から成る。
①東京プロマーケットとは
②5つの実例にみる 地方でこそ活きるTPM上場の絶大なメリット
③TPM上場、成功へのポイントとは
④経営の未来を先取りするTPM
上場はゴールではなく、通過点である。各市場への目的を持った上場のメリットを生かし、事業をさらに拡大していく。そしてサステナブルな経営を行う中で、市場のメリットを自社のサイクルに取り入れて、社会・顧客へ貢献していくことに活用・利用・共存すべきである。
本書にてメインで取り上げられているTPMは、ここにきて更なる脚光を浴びている。目的・ゴール、企業、代表者の想いにより、本市場を知れば知るほどその恩恵を最大化できる方法を学ぶことができる。
メリットもデメリットも惜しげもなく書かれており、信頼して学びを得る一冊となっている。TPMの役割は今も変化し、進化している。そして、時代の変化に一番に対応しているのはTPM
なのかもしれない。
次へのステップのジャンプ台として捉えることもでき、違ったあるべき姿への活用法としても使えるTPM。まだまだ使い方によって得られるモノは大きく、無限の可能性を秘めている。