あらすじ
バブル期に180億円で落札されたゴッホの『医師ガシェの肖像』。だがその十数年後、この絵は厳重に警備された倉庫の中で、モネやルノワールなど134枚の世界的名画とともに眠っていた。同じ頃、荘介と茜は投資詐欺に遭い、膨大な借金を背負う。追い込まれた二人は絵画強奪を持ちかけられ……。息つく暇ない騙し合いの末、最後に笑ったのは!? 痛快な大どんでん返しが待つ傑作美術ミステリー。 ※電子版には、カラー口絵はつきません。(解説・村上貴史)
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Posted by ブクログ
最初のオークション場面で血が騒ぎ、興奮して一気読み。話の切り替わりが多いのだが、どれも面白いし、繋がって解決した時の爽快感はたまらなかった。
Posted by ブクログ
バブル期にイギリスのオークションで日本人に180億円で落札されたゴッホの『医師ガシェの肖像』・・・日本でのバブルが弾けると共に、この絵は銀行の担保物件となって誰の目に触れることもなく倉庫の中に眠っていた。
時を同じくして、デザイナーの荘介とスナックオーナーの茜は、それぞれが多額の借金の挙句、投資詐欺事件に巻き込まれ、さらに膨大な借金を背負う。追い込まれた二人は絵画強奪を持ちかけられ……息つく暇ない騙し合いの末、最後に笑うのは・・・!?
痛快な「コン・ゲーム」小説で、テンポのよい流れで、物語はどんどん進んで最後の最後で大どんでん返しがあり、読者をあっと言わせるのがミソ。
※「コン・ゲーム」とは、コンフィデンス・ゲーム
の略。標的とする人物を信用させて働く詐欺のこと。
ただ登場人物が多く(冒頭に人物一覧表があるが、そこにも書かれていない人物も登場します)、ストーリーは緊張感がありテンポよく話が進み、注意して読んでいないと話の筋を見失って、あれっ?と思うこともあります。
ただ、最後の方で、黒幕となる人物が解説するように話をするので全体が分かる仕掛けになっています。
〈追記1〉
贋作問題やヨーロッパでの絵画の流通の価格設定の裏側や、ゴッホの事についてもいろんな事実が披露されます。
ゴッホについては、「彼は生涯、社会から孤立していたが、生活に困ったことはない。孤独な魂の放浪と言われる彼の人生は、実家の財力に支えられて、自分探しをし続けた自意識過剰な男の収拾のつかない時間経過でもある。名を残した者には必ずドラマとそれらしい解釈が与えられる。その衣装を脱がしてしまえば、彼に何が残るだろう・・・ゴッホはその1枚の絵が180億円の価値を持った不遇の天才だったのか、400フランの絵をたった1枚売っただけの無能な人間だったのか・・・」と著者はいろんな問題提議もしています。
〈追記2〉
冒頭に「ポール・ニューマンとロバートレッド・フォードに捧ぐ」とあり???
全部読み終えると、映画での「コン・ゲーム」の代表作であり、二人が共演した「スティング」のことだと分かりました。
〈追記3〉
Wikipediaで、「医師ガシェの肖像」を調べてみると、この小説の元ネタになった背景があるのが分かります。
Posted by ブクログ
話の内容が好みではなかった。
画廊や画家、アートの裏社会が題材になっている。
お金に困っている金持ちの息子、銀座で働いていたが銀座から逃げてきたスナックのオーナー。どちらも詐欺に引っ掛かり、お金が必要となった。
ある人物と知り合い、銀行の倉庫にある絵画を盗む計画を立てる。
そこにはバブル期に異常な値段で購入され、会社の担保となった絵画たちがある。
絵画の値段のあげ方、画商でのやり取り(若手つぶし)など
社会の裏の話も多く、こんなことあるんだろうか・・という目線で読んでしまった。
最後の種あかしは読んでいて楽しかった。
画商の日野が仲間だったというのが驚きだった。
表紙にもなっているゴッホの「医師ガシェの肖像」は初めて知った。
調べてみると、小説同様バブル期に最高額の125億円で日本人に落札されていたようだ。小説きっかけにこのような歴史を知るのは勉強になった。
Posted by ブクログ
この方の小説はじめて読んだけど面白かったー。
『医師ガシェの肖像』は本当にいま個人所蔵で行方はよく分かってないのか。でも水面下でサザビーズとかはちゃんとどこにあるか掴んでそう、、。
絵画は描かれた時代背景、作者の人生、絵画の来歴、いろんなものが絡み合って1枚の絵それぞれにロマンが生まれて惹きつけられる。
印象派が出てきた時ってほんとうに世界に激震が走ったんだろうな。ヨーロッパとアメリカの絵画を見る視点とか、ほんとうに絵画って面白い。
ところでこの小説、騙されるのが読んでてしんどくて。最後にまた騙されるのかと脱力しそうになった。『三度の飯より警官の小芝居が好き』ってなんだよ、爆笑。
ぜんぶ分かった上で再読したいお話でした。