【感想・ネタバレ】何年、生きてものレビュー

あらすじ

どこかで別れた大切な人を想うとき、相手もまた、あなたを想っているかもしれない。
――宮島未奈(『成瀬は天下を取りにいく』)


磯貝美佐、39歳。妊活がうまくいかず、母親離れができない優柔不断な夫・要一郎との生活に見切りを付けるべく、家を出た。東京の下町・谷中の六畳一間で、アンティーク着物のネットショップ「蔦や」を一人で切り盛りしている。友人は、恋愛対象が男性の美しき骨董屋、関くんだけだ。
ある日美佐が実家の蔵を整理していると、箪笥に大切に仕舞われた、祖母・咲子のものにしては小さすぎる着物を見つける。そして、抽斗の二重底に隠されていた3冊のノートと、見たことのない美少女が写った古写真も……。
この少女はどこの誰で、咲子とはどのような関係だったのか? ノートを読み始めた美佐はやがて、着物と少女の謎を突き止めた。咲子の生涯を懸けた「思い」を知った美佐は、ある決断をする――。ベストセラー『妻の終活』の著者が贈る、永遠の「愛」の物語。

『花は散っても』改題。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

偶然に入手した祖母の手記から遠い過去が明らかになってゆく。祖母が守りたいと願い生涯をかけて尽くした一人の女性。幼き頃の約束により綿々と続く相思の仲。守る者と守られる者は恋人であり姉妹であり母娘であり侍従という多様な関係性をもって時を重ねる。とある出来事から双方の想いは交差し、強い絆で結ばれていたはずの二人の関係に終焉が訪れる。そして手記を読む私にも自身についての知られざる事実が・・・
戦時の描写が生々しく、否応なく訪れる生死の狭間で生きる人々の姿が想像される。人はなぜ争うのか。当事者には不幸しかもたらさない戦争が繰り返されるのはなぜか。ニュースに流れる他国の争いがやけに身近に感じられた。
人はそれぞれにうねった道を歩み、幸せと思える状況を自らが作るのだと思わせてくれる作品。着物がキーワードになったストーリーは他に記憶がなく新鮮で面白い。


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2024年04月04日

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