【感想・ネタバレ】美しき血 竜のグリオールシリーズのレビュー

あらすじ

動かぬ巨竜グリオール。テオシンテ市に横たわる彼の体には、川が流れ村があり、体内では四季が巡る。その巨体には、いまだ解明されていない多くの謎がある。グリオールの血液を研究していたロザッハーは、黄金色にきらめく美しき血に混沌とした多彩な快感を与える効用があることを発見する。四年後、ロザッハーは〝マブ〞と名付けた竜の血から精製した麻薬により巨大
な財を成していた。しかし彼はその代償として、テオシンテに渦巻く権力と暴力、そして決して逃れられぬ巨竜の思念に翻弄されていく――。

〈竜のグリオール〉シリーズ、唯一の長篇にして最終作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

文庫オビにデカデカと書かれている「巨竜美血麻薬」というキャッチフレーズが、パワーワードに過ぎる(笑)
ルーシャス・シェパードの「竜のグリオール」シリーズ、唯一の長編にして最後の作品。このシリーズは、グリオールの邪悪な思念に振り回される人々の不安や不幸を描くことを主題としてきましたが、この作品は他の作品と一味違います。それは、グリオールの思念よりも人間の欲望の方が強い、結局「一番怖いのは人間の心」ということを、まざまざと見せつけていることです。

巨竜グリオールの血を人体に直接投与することで、至上の幸福感に包まれることを知ったロザッハーが、それを売って儲ける、という展開。いつもはここで主人公がグリオールの企みによる(と思われる)不幸に見舞われて不穏な結末に至る、というのがこのシリーズのパターンですが、ロザッハーは違います。まぁ、グリオールの思念を感じさせる場面もなくはないのですが、基本的にロザッハーの行動は、欲望と政治的判断に基づくものです。これまでのシリーズ作品に見られた超自然的な展開は政治の背後に溶け込み、極めてリアルな人間同士の丁々発止の駆け引きがストーリーを牽引します。
元々独創的な世界観をベースに分厚いストーリーが織り込まれ、正にシリーズの掉尾を飾るに相応しい作品です。

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2024年12月01日

Posted by ブクログ

ほとんど死んでいる巨竜グリオールの血液から麻薬を作った男、ロザッハー。彼は麻薬王として巨万の富を築くのだがー。
ロザッハーは悪人で幸福ではなかったが、長命であり晩年は平和だ。グリオールの恩寵をプラス方向に受けた人間だと思う。
彼は記憶が数年おきに飛ぶ。これは記憶喪失中はオートで動いてて、必要な時だけグリオールが起こしているんだろうか。むしろ逆なのかも。

0
2023年12月17日

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