【感想・ネタバレ】諸葛亮 <上>のレビュー

あらすじ

ずいぶん『三国志』について書いてきた。だが、そこに登場するひとりを選んで、大きな構想に移植するのは、これが最初であり、最後となろう。そのひとりとは、諸葛亮以外に考えられなかった――(日本経済新聞連載開始にあたっての「作者の言葉」より)
大河小説『三国志』全12巻完結からはや10年。この「作者の言葉」に、宮城谷作品ファンのみならず、日本中の歴史小説愛好家が期待をふくらませているに違いない。
「三国志」にはあまたの個性的な名将、名臣が登場するが、日本で最も名を知られるのが諸葛亮(孔明)であろう。冒頭の「作者の言葉」はこう続いている。
――かれの人気は、おそらく劉備や関羽などをしのいでおり、たぶんどれほど時代がかわっても、最高でありつづけるにちがいない。通俗小説である『三国志演義』が、諸葛亮を万能人間、いわば超人にまつりあげてしまったせいでもあるが、そういう虚の部分ををいでも、多くの人々の憧憬になりうる人物である――
「三顧の礼」「水魚の交わり」「出師表」「泣いて馬謖を斬る」「死せる諸葛、生ける仲達を走らす」といった名言・名句はそのままに、諸葛亮の実像に迫ろうとするこの作品の冒頭はこのように始まる。
――春を迎えて八歳になった。かれは景観から音楽を感じるという感性を備えている――
乱世に生きながら清新さ、誠実さを失わない、今まで見たことのない諸葛亮がここにいる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

諸葛亮孔明を描いた中国歴史小説の上巻。

上巻は劉備の益州入りまでです。
著者の「三国志」は群像劇になっているので、諸葛亮支店での物語はうれしいです。
史料に登場するのは三顧の礼からだと思いますが、それまでの来歴はあまりよく知らなかったので、フィクションとは思いますが面白かったです。
特に叔父がいい人で素直に成長させてもらえたのは、いつもの著者の主人公びいきとしても気持ちが良かったです。
ただ、三顧の礼以降は「三国志」と重なるエピソードが多くなると思うので、諸葛亮視点でどのように描くのか期待したいです。

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2024年06月10日

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