あらすじ
グローバル・スタンダードにあわせるということを錦の御旗に、導入された「時価会計」。益出しや損失隠しができなくなり、企業の「真の実力」がわかるようになると期待されたが、本当は、いくつもの企業を破滅に追い込むだけでなく、日本経済を滅ぼしかねない「時限爆弾」だった。本書では、株安、デフレ、失業率増加……、現今の不況の元凶である「時価会計」の正体を一つ一つわかりやすく暴いていく。
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Posted by ブクログ
一頁当たりの文字数が少ないせいか、企業会計に素人の方にも非常に分かり易く時価会計を概説し、その導入に異論を唱えています。
近年万能視されている時価会計ですが、1930年代の米国での公社債の例を持ち出すまでもなく、今は時価会計を導入するにはタイミングが悪く、時価=正当な評価というのは一種の擬制ですし、時価主義の採用が新たな粉飾の温床になる等、少数説ながら一つ一つの論拠は妥当で説得力のあります。しかし、同じ説明を何度も繰り返して冗長な部分が見受けられますし、IAS39はともかくFAS115に関する記述は「若干言い過ぎかな?」という印象を受けました。また、時価会計として会計処理せずに時価評価情報を開示しただけで、どれだけの問題が解決するのか、という点については触れていないのが残念です。
ただ、一般の読者にとっては、関心はあれど敷居が高かったテーマなだけに、こういう新書という形で手に取りやすい形で出版された点は大いに評価されて然るべきと思います。