あらすじ
演劇する集まりを立ち上げ、「FICTION」と名付けた。人が入れ替わりながら、わたしは残り、十六年つづけ、小説も書くようになった。仲間のひとりは夭逝し、もうひとりは体が半分しか動かない身で小説を書こうとしている。二度の大病をしたわたしは回顧し始める。死と生、芸術を奔放なスタイルで思索する連作短篇集。
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山下さんの作品の中では読みやすい。創作を実践し、記憶を辿り、いくつもの書物を引用することで、生のありか、死のありか、【わたし】のありか、創作のありかなどを探っていく。その思弁的な文章に、山下さんの独特な哲学がいくつも混ぜ込まれていて、考えさせられる。おそらくエッセイ的な要素もあり、山下さんの人柄が直に感じられる。とても温かく、励ましてもらえる本。何度も読んでしまう。