あらすじ
情報部からナチの大物スパイ〈NかM〉の正体を秘密裡に探るという任務を帯びたトミーは、妻のタペンスには内緒で任地へと赴いた。だが、タペンスとて一筋縄でいく女ではない。騙されたふりをして先回り。かくして二人は、大規模なナチ・スパイ網のまっただなかへと飛びこむことに……スリル満点の冒険ミステリ
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
トミー&タペンスシリーズ。今回の話し、タペンスやりすぎ~。ドイツ・ヒトラーの進行、それに伴う恐怖。イギリスでもその恐怖が蔓延る。内容はイギリスにドイツのスパイ(NとM)がいるのではないか?それをトミーとタペンスが「無憂荘」に潜入捜査する。怪しい住人が複数。トミーとタペンスが住人から話しを聞き、色々トラップを仕掛ける。住人の幼女誘拐、トミーが拉致されるなどドキドキの展開。そこで犯人予想。Mを完全に当てた!久しぶりにクリスティーに勝利。戦時中ならではの暗い内容だが、トミー&タペンスの温かい夫婦に癒された。
Posted by ブクログ
トミー&タペンスものですが、ドイツとの戦争状態での話しです。
ドイツ側からみても、納得できる部分もありますが、
一面的なところがあるのはやむをえないかもしれません。
皮肉もところどころあるので、イギリス人の考え方に陶酔しているのではないことが伺えます。
違和感のある事項がでてきたので、話の途中で、関係者が分かりました。
首謀者はわかりませんでした。
解説に、映像作品についての紹介がありました。
ポアロとマープルもの以外は診たことが無いので、かならずしもピンと来ていません。
ながらくポアロものの映像作品を見てきました。
最近、英語の勉強のためにマープル物のDVDを揃えた際に、
ポアロものと同じ著者だと知り、著者に興味を覚えたため、
全作品を読もうと読み出したところです。
アガサクリスティの題材は、映像作品にしやすいのは、
「プロット」がしっかりしているからなのでしょうか。
Posted by ブクログ
戦史を勉強してから読み直すとまた違った味わいがある。
フランス降伏後の、フランス海軍艦艇の帰属が戦局全体に影響するという見解は正しいんだけど、クリスティ個人の見解なのかな。新聞とかラジオの受け売り?
とても気になる。
Posted by ブクログ
トミー&タペンス、今度は大物スパイの正体を暴く!
いつのまにか双子が大人になっていても、トミーとタペンスは相変わらず国際的陰謀に首を突っ込んでいる。とはいえ、冒頭で二人は、自分たちがまだまだ役立ているはずなのに、必要としてくれない社会に不満をこぼしている。舞台は第二次世界大戦のイギリス、1940年の春といえば、なかなかに厳しい状況である。パリが落ちるかもしれない、ロンドンも直接攻撃されるかもしれない。そんな不安の中の話である。サスペンスというよりもアドベンチャー寄りのトミー&タペンスも、どことなく緊迫感を帯びている。それでも、トミーがタペンスにしてやられるところは面白いし、冗談を言いながらもお互いのことを思いやる二人の姿に心がくすぐられる。トミーが踏み込みすぎて生命の危機に陥るのも、単独行動のタペンスが勇気を示して大きな成果を得るのも、このシリーズのお約束。
舞台となる〈無憂荘〉は高級賄い付き下宿、ゲストハウスということで、管理人も含めここに滞在している人の中に大物スパイ〈NとM〉がいるらしい。この時代の典型的イギリス人とか様々な国の人々のステレオタイプをあまり知らない私でも、どの人の怪しく、その姿は演技ではないかと疑い、誰が祖国を売る卑劣なスパイなのかわからないまま、はやる思いでページをめくった。
近所の〈密輸団の巣窟〉という建物に住むヘイドック海軍中佐は、パターンでいうと、ちょっとブラウン氏に似ていて、信頼できる人と思っていたのに実は、という展開。トミーに関して、切り抜けた、と油断したところでやられるのは、ちょっと見えていたかも。
スプロット夫人に関しては、タペンス同様、子ども連れでスパイ活動はないだろう、という前提を崩せずにいたので、銃撃の腕には絶対素人じゃないと引っかかりを覚えたのに活かせなかった。言われてみれば、ぼろぼろの絵本に重要な機密を隠すってありそうな手だ。誘拐犯を撃てた理由は、そちらが本当の母親で、ベティは実の子ではなかったから。タペンスが母親の愛情を強調していて、それこそ証明はないけど諸々のことに対して雄弁な理由づけになると思っていたけど、こういう形で出てくるか。でも、顔が似ているって小説では示しにくい伏線では。それともどこかにそういう描写があったのかな。
私はこの第二次世界大戦の結末を知ってこの話を読んでいる。コピーライトが1941年とあるので、まだ大戦中に、クリスティーはこの話を発表したということだ。戦争批判ともとれるし、政府への批判と読まれそうなところもあるし、愛国心についての台詞もあるのが、なかなかロックだなと思った。この話が封じられる世界でなくてよかった。