あらすじ
カーロッタは人気女優ジェーンのものまねで、ポアロを含む多くの観客を魅了した。奇しくもジェーン当人が、ポアロに奇妙な依頼をしてきた。離婚を拒む夫の男爵をなんとか説得してほしいというのだ。純粋な興味からこの依頼を快諾したポアロ。が、数日後その男爵が謎の死を遂げてしまう……。
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Posted by ブクログ
アガサクリスティー作品によくありがちだけれど、今回はポアロにいつも以上に真相に辿り着くのを焦らされた感じがあった。モヤモヤしながらも続きが気になって読み進めて、最後の最後で全て片付いて一気にスッキリした感じ。ここで一気にアガサクリスティー作品の中でもとりわけ印象に残る一作となった。
最後の犯人による独白で語られていた、「罰しないといけない」という言葉が記憶に残った。こういった独善的な処罰感情(そもそも「罰する」という言葉そのものが独善的な気がする)で犯人が凶行を重ねていくのは、『誰もいなくなった』に通ずるものがあると思う。
今回の犯人はまさしく現代で言うところのサイコパス犯人。「チープでない」(奇行に走り殺人に快楽を求めるようなステレオタイプのサイコパス像はなんか薄っぺらくて個人的にあまり好きではない)本物のサイコパス像をこの年代で描けるアガサクリスティー、やっぱりすごい。
Posted by ブクログ
月1でポアロ。今回も人物が激しく入り乱れる。エッジウェア卿が殺害される。容疑者は複数。卿の妻ジェーン、卿の甥マーシュ、女優カーロッタ。怪しい登場人物が次々現れ、推理を邪魔する。次に女優のカーロッタも殺される。さらに第三の殺人も。今回もポアロとヘイスティングズが後手に回る。卿・カーロッタを殺害したのは誰か?怪しい奴のアリバイは崩せるのか?共犯は誰か?カーロッタが死の直前に妹に送った手紙のトリック。今回も高級感を感じながらミスリードにまんまと引っかかった。このスピード感とポアロの潔さに乾杯!いえいえ完敗。
Posted by ブクログ
⚠️ネタバレ注意⚠️ ※ポアロシリーズ過去作のネタバレもあり
著者の得意とするこの手のテクニックにまた騙されちまった。むしろお前が見抜ける作品あるのかよと思われそうだが。もう流石に"この技"はないだろうと油断していた。悪く言えば過去作の使い回しであるが、それが連続すると見事に決まる。
今作はわざわざモノマネ女優までフェアに登場させているのだから、このトリックにも実現可能性が保証されているし、成功したかを電話で確認までしているのだからリスクが極めて低い。実際に○○○○○に気付いて殺された奴もいるわけだし。
トリックは見事◎で動機も前例なし◎(自分の読んだ中で)。ミスリードは本サイトのレビューを見ると引っかかってる人は少なめなので微妙か△ 最後の獄中からの手紙、自信に満ちた狡猾な犯人の造形もよし◯
Posted by ブクログ
数冊クリスティ小説を読んだもののどうにも世界観に入りこめず、今回は事前にドラマ版を少し視聴してから読んだら各登場人物像がイメージとして頭に入ったせいか面白かった。今後は同シリーズ抵抗なく読めそう。
離婚して別の男と結婚したい妻・ジェーンに対し、夫・エッジウェア卿は断固拒否する。ものまねタレント・カーロッタのショーを見に来ていたポアロに、口添え願えないかと夫人から依頼される。
いざ、ポアロが卿を伺ってみると、最初は拒否していたがあんな女仕方ないと思い直して承諾する旨の手紙を夫人宛に出して既に受け取っているはずだと卿。
呆気にとられながら夫人に報告しに行くと、そんな手紙は受け取っていないが、承諾してくれたのなら良かった!ポアロさんありがとうと、話は解決したがどこか引っかかるポアロ。
翌朝、卿は首を刺されて死亡。
卿の執事や秘書は、昨夜ジェーンが訪ねてきたというものの、ジェーンには確かなアリバイがあった。(パーティへの出席)
カーロッタを訪ねに行くと、ベロナール薬の過剰摂取により既に死亡していた。
〆が手紙で、自己顕示欲・自己愛の強さが強いのが面白く、すっきりした終わり方だった。
ポアロの仕返しも面白い。該当者じゃなくても気が気ではないだろう笑
「殺人狂でなければ、とおっしゃるのかな?ところがそうでない、実際にあることなのです。最初の殺人はーー犯人も、非常な、良心の呵責に苦しみます。発見される危険も、ある。だが、二度目の殺人は、精神的にはずっと楽になる。さて、それで嫌疑がかからないとすれば、犯人は今度は気軽に第三の殺人にとりかかるのです。そして、しだいしだいに、芸術家的な誇りが芽生えてくるーー殺人の方法に凝りだすーー最後には、ただ楽しみのためにさえ、人を殺すのです」p199
Posted by ブクログ
"入れ替わり"はどのように行われたのか?が事件の肝。犯人・トリックを何となく予想していたら、当たったのでニンマリした。ヘイスティングズの地の文がまあ惑わせてくる。クリスティの術中にまんまとハマっている…。
Posted by ブクログ
「アガサ・クリスティ」の『エッジウェア卿の死』を読みました。
『親指のうずき』に続き「アガサ・クリスティ」作品です。
-----story-------------
自宅で殺された「エッジウェア卿」の妻は、美貌の舞台女優「ジェーン・ウィルキンスン」だった。
彼女は夫との離婚を望んでおり、事件当夜屋敷で姿を目撃された有力な容疑者だった。
しかし、その時刻に彼女はある晩餐会に出席し、鉄壁のアリバイがあった… 数多の事件の中でももっとも手ごわい敵に立ち向かう名探偵「ポアロ」。
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久しぶりに読む名探偵「ポアロ」モノです。
1933年に発表された作品。
「ポアロ」の冴えた推理(本作では失敗もありますが… )や「ヘイスティングズ」のイライラするような言動は健在で、ある意味、安心感のある作品でしたね。
さてさて、物語の方ですが、、、
夫との離婚を望んでいた女優の「ジェーン・ウィルキンスン」は、離婚に応じない夫「エッジウェア卿」を説得してくれと「ポアロ」に依頼。
「ポアロ」は「ヘイスティングズ」とともに「エッジウェア卿」を訪ねるが、「エッジウェア卿」は離婚を承諾する手紙を6ヵ月前に発送したと言う… その後、「エッジウェア卿」が自宅で殺害されます。
離婚を望んでいた妻「ジェーン・ウィルキンスン」に容疑がかかりますが、彼女は殺害があった時間は晩餐会に出席しておりアリバイがはっきりしていたことから、容疑を免れます。
また、「エッジウェア卿」が離婚を承諾した手紙を発送していたが、「ジェーン・ウィルキンスン」が、その手紙を受け取っていないことが謎を深めて行きます。
その後、第二、第三の殺人が起こり、益々謎は深まるばかり… 怪しい人物ばかりで、読んでいると誰も彼も犯人なような気になってきますが、真犯人は意外かつ動機がはっきりした人物でしたね。
なかなか読み応えのある450ページでした。
作品中、「ポアロ」が「ヘイスティングズ」の稚拙な推理に対し、
「だめ、だめ、それじゃだめですよ。
あなたのやり方は、探偵小説を読むのに、登場する人物を、韻も拍子もなしに、片っ端から疑ってかかる読者の考え方です」
と窘めるシーンがあります。
読んでいると、まさに「ヘイスティングズ」と同じような状況に陥っていたので、耳が(目が?)痛い発言でしたね。
≪ちょっとネタバレ≫
最も疑わしい人物が真犯人だった… ってパターンでしたねぇ。
でも、鉄壁なアリバイや、本人の言動等から、その人は犯人じゃないとミスリードさせられちゃいました。
人物模写を得意とする女優「カーロッタ・アダムズ」が事件の鍵を握るのですが、、、
殺害があった夜、「カーロッタ・アダムズ」が「ジェーン・ウィルキンスン」に変装して「エッジウェア卿」を訪ねたものとばかり思っていましたが、
「エッジウェア卿」を訪ねたのは「ジェーン・ウィルキンスン」本人で、晩餐会に出席した「ジェーン・ウィルキンスン」が「カーロッタ・アダムズ」の変装だったとは… 本当に騙されましたね。
「カーロッタ・アダムズ」が妹に送った最後の手紙(一部が破り捨てられていた)や、「カーロッタ・アダムズ」が持っていた何者かの鼻眼鏡、「カーロッタ・アダムズ」が持っていた金の小箱等、小物が効果的に使われていたことも印象に残りました。
Posted by ブクログ
最初にわかりやすく入れ替わり設定が提示され、ひねりで気持ちよく騙されたのが楽しかった。秘書や晩餐会の主人が真実を述べているのにポワロやヘイスティングスを使って全力否定し、読み手をミスリードする小技にも痺れた。「邪悪の家」「バートラムホテルにて」の犯人には無い可愛げで、鮮やかな手口の切れ者感と愚かで愛嬌ある軽薄さが一体化した犯人像も良かった。ただ配役云々の巻末コメントは、増版があれば全削除していただきたい。クリスティ財団はチェックしてないよね?してたら公認取消レベルでしょう。
Posted by ブクログ
ポアロシリーズやはり面白くて一気読み。
登場人物もそれなりに多いし犯人はこの人か?いやこの人か?とわくわくしながら読みすすめてたら、まさかの最初の容疑者のジェーンがほんまに犯人やったんかーい!ってある意味びっくりした。こういうパターンもあるんだ。ジェーンの自己肯定感というかゴーイングマイウェイなところはかっこいいしちょっと見習いたい。
ポアロがヘイスティングスに「わたしは本当にあなたが好きですよ」っていうシーンにやにやしちゃった。ふたりの関係良すぎる〜。
Posted by ブクログ
ヘイスティングスとジャップ警部が出ている、ということで手に取ったのですが、ちょっとこの翻訳は私には合わなかったですね……。新訳版ばかり読んでいたからか、いわゆる「海外モノ」っぽい訳に翻弄されてしまいました。ヘイスティングスがポワロのことを「ゴキブリ同然」と評するなんて!
それでも、やっとたどり着いた手記にはすっかり震え上がってしまいました。うーむ、なんとも恐ろしい。
ジェーン・ウィルキンソン。彼女は、ポワロシリーズのみならず、これまでに読んだあらゆるミステリーの中で5本の指に入るほど、強烈な魅力を放つ犯人です。
Posted by ブクログ
入れ替わり、手紙破ってshe→he
ナイフ、ヴェロナール
エッジウェア卿→マートン公爵と結婚するのに邪魔(不倫ダメ、未亡人ならギリOK)なので殺害
カーロッタ・アダムズ→夫殺しに利用しただけなので用が済んだら殺害
ドナルド・ロス→夫人本人と夫人になりすましたカーロッタ両方に会ってたので入れ替わりトリックばらされないように殺害(とばっちり)
Posted by ブクログ
夫を殺してでも離婚したいと言った女優は、果たして犯人なのか?
ポアロはエッジウェア卿との離婚を望む女優のジェーンと関わり合う。ポアロが訪ねた日の夜にエッジウェア卿は何者かに殺された。犯人はジェーンか、秘書か、娘か、甥か、それともそのほかの人物か。ジェーンの人物模写をしていた駆け出しの女優カーロッタも不審な死を遂げ、ポアロの推理も迷宮行き——?
何も考えなければジェーンが犯人だけど、そんなことはなかろうと思って疑っていき、結局ジェーンが犯人。ポアロが警察に何も言わなかったら第三の殺人は起きなかったのでは、とか言ったらポアロに厳しすぎるか。何も考えていなさそうな女優が、実は用意周到に演技して周囲を欺いていた、というのは『火曜クラブ』の中にもあったパターン。クリスティーの好きなパターンなのかも。
人物模写のできるカーロッタの存在が曲者。そんな人が出てきたら当然アリバイ作りの片棒を担いでいるのだと思ってしまう。実際そうだけど。しかし、最初に誘導される「屋敷に現れた」のが偽物ではなくて、「アリバイを証明するパーティに出席していた方」が偽物なのである。なるほど。あまり描写がないのでわからないがカーロッタの方は、自分が何の片棒を担いでいたのか知っていたのだろうか。知っていて、大金に目が眩んだのかもしれない。
一番強い存在感を見せる舞台女優ジェーン。最後の手紙までまったく悪びれない。得体の知れないものを感じる。解説で、この物語を日本で実写化するならジェーン役は大竹しのぶと書いているが、納得である。大竹しのぶではなくても、とにかく得体の知れない、突き抜けた明るさを感じさせる闇を演じきれる女優でないと。