あらすじ
笹本遼賀、33歳。都内のレストランで働きながら、人並みに、真面目に生きてきた。だが、胃の不調で受けた検査は予想外の結果――突然のがんだった。どうして自分が? 絶望に襲われた時、弟の恭平から荷物が届く。それは遼賀が15歳の頃、故郷の山で遭難した時に履いていたオレンジ色の登山靴で……。「おれはまだ生きたい」、過酷な現実を突きつけられても懸命に前を向く遼賀と、彼を支える家族を通して誠実に“生”と向き合った感動長編!――「弱音を吐かない人は、いつだってたったひとりで闘っている」
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Posted by ブクログ
読んでいて辛い箇所もあるが、それ以上に主人公(遼賀)や周りの人の言葉に勇気をもらえる本でした。
どんな人でも、必ず人生を終える日がくる。
与えられた限りある命を、その人なりに
よりよく生きることが大切。
そして永遠に、周りの人の心の中で生き続ける。
遼賀は、秀でた能力があったわけではない。
しかしここぞと言う時、周りの人を支えて生きてきた。
普段「ありがとう」と言われることは、気に留めていなかったが、「ありがとう」の意味をもう一度考え直す機会にもなった。
この本に出会えてよかったです。
Posted by ブクログ
『きのうのオレンジ』は、死と生に向き合う物語でありながら、不思議と重苦しい雰囲気はありませんでした。主人公や周囲の人たちの葛藤や辛さはしっかりと描かれているのに、現実世界まで差し迫ってくるような苦しさは感じませんでした。
この作品は、死や生を「鋭く突き刺すように」描くのではなく、その部分に優しく触れてくるような印象がありました。その優しさが心に沁みて、気がつけば涙があふれていました。
物語に登場する人たちは皆、思いやりを持っていて、苦しい状況を抱えながらも優しい世界を形づくっていました。その温かさが、作品全体を柔らかく包んでいて、読む私自身もどこか救われるような感覚を覚えました。
『きのうのオレンジ』は、重いテーマを描きながらも、優しさをもって生や死に寄り添ってくれる物語でした。私にとってこの本は、「生きる意味を問いながらも、優しさを見出せること」を教えてくれる一冊だったと思います
Posted by ブクログ
突然がんと言われた主人公が、昔の記憶や思いを大事にしながら生きていく点が良かったです。
個人的にも入院経験があり、登山経験もあるので感情移入しやすかったです。
Posted by ブクログ
やっぱり悲しくて。
所々読むのが辛かった。
遼賀は生きたかっただろうと。
誰よりも優しくて誠実だった遼賀。
周りの人もみんな優しくて、だからこそ辛くて。
そして、どんどん迫り来る病の恐ろしさも感じた。
Posted by ブクログ
これといった特技がなく、また自分をそっちのけに他人のことを考えてしまう遼賀に自分を重ねてしまった。遼賀ほど清らかな心は持ち合わせていないけれど…。
病気や命、生死をテーマとするストーリーは涙なしには読めない…遼賀も、遼賀を支える家族、友人、職場のアルバイトも暖かい人ばかりでそれぞれの視点で書かれていることもあって余計に。
生まれてきてよかった、なんて最期に思えたらそれ以上のことはない。自分らしさを大切に毎日を生きていけたらそう思えるようになるのかな。