【感想・ネタバレ】わたしに会いたいのレビュー

あらすじ

『くもをさがす』の西加奈子が贈る、8つのラブレター。
この本を読んだあと、あなたは、きっと、自分の体を愛おしいと思う。
「わたし」の体と生きづらさを見つめる珠玉の短編小説集。

わたしを生きるための言葉。#Imissme ――わたしに会いたい。

コロナ禍以前の2019年より、自身の乳がん発覚から治療を行った22年にかけて発表された7編と書き下ろし1編を含む、全8編を収録。
・「わたしに会いたい」――ある日、ドッペルゲンガーの「わたし」がわたしに会いに来る。
・「あなたの中から」――女であることにこだわる「あなた」に、私が語りかける。
・「VIO」――年齢を重ねることを恐れる24歳の私は、陰毛脱毛を決意する。
・「あらわ」――グラビアアイドルの露(あらわ)は、乳がんのためGカップの乳房を全摘出する。
・「掌」――深夜のビル清掃のアルバイトをするアズサが手に入れた不思議な能力とは。
・「Crazy In Love」――乳がんの摘出手術を受けることになった一戸ふみえと看護師との束の間のやり取り。
・「ママと戦う」――フェミニズムに目覚めたママと一人娘のモモは、戦うことを誓う。
・「チェンジ」(書き下ろし)――デリヘルで働く私は、客から「チェンジ。」を告げられる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「くもをさがす」を読んだばかりだったので、余計に西さんご本人の闘病などが反映された作品だと強く感じました。
8作の中で3作、主人公が乳がんに罹患しているし、特に「あらわ」の乳首の話や、「Crazy In Love」はそのまんま西さんのご経験の話じゃないか!と。
ふみえの「例えば自分の経験をベースにした小説を書く場合、私は、出来る限り登場人物と距離を取ろうとする。」という言葉を読んで、これも西さんのやり方なのかなあと思った。
やっぱりカナダの女性の言葉が関西弁に聞こえるっていうのが面白い!

「わたしに会いたい」以外の作品はすべてジェンダー感というか、女性性に関するメッセージがかなり強かった。
性的に見られるのを嫌悪する人が多いと思うが、「あらわ」のようにエロく見せることに誇りを持つ人もいる。人間一人一人、考え方がそれぞれ違うということを忘れて「男」「女」といったものに区切りがちになるのは気をつけないといけない。

時間がなく駆け足で読んでしまったので、また改めて落ち着いて読み返したいと思えた作品です。

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2025年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2作目「あなたの中から」
1人の女性の半生を淡々と綴ってる作品なんだけど、なぜか本当に涙が出そうになった。
女として消費され続け、自分の価値を自分で認められなかった人が、病気を通じて自分の価値を見つめ直す話。
がん細胞の目線から話が展開するのがユニークだし、希望の見えるラストだったので読後がとても清々しかった。

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2025年03月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み始めたとき、正直なんのはなし?って少しなったけど
読めば読むほど、大切に思える作品だった。

女性ならば1つは共感できる話があるだろうし
男性ならば女性を知るという意味で読むのもいいかもしれない。

乳癌を経験した西さんだからこそ
治療の辛さや、大変さ
周りからどう見られるかがリアルに表現されていた。
看護師さんとのやりとりが「くもをさがす」と一緒で
西さんの経験が生かされている素敵な作品なんだなあと改めて感じる。


生理や痴漢の被害、ルッキズムでの偏見や差別に
強く立ち向かっている女性が多く登場してきて
勇気をもらえる話が多い。

少し刺激的な話もあるけど
中学生や高校生にぜひ読んでほしい作品でした。
身体の特徴はみんな違うけど
みんな自分の身体を好きになれればいいなと思いました。

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2024年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

西加奈子さんの性的に生々しい描写は時として苦手なこともあるが、その独特な感性と語り口にいつも感心する。
「VIO」の主人公リナが、脱毛レーザーを照射された瞬間に〈とんでもない殺人兵器〉を思いついた…というくだり。 黒い色だけに反応し燃やすレーザーが存在するのだから、黒い髪、黒い瞳、黒い皮膚を持つ人間だけを殺す兵器が開発されていてもおかしくない、という発想にハッとさせられた。 どこかの国が狂信的な白人至上主義・人種差別に傾倒したら、そんな恐ろしい兵器が使われる日が来るかもしれない…なんて。

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2024年12月09日

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