あらすじ
この誘拐犯が、わたしの本当のお父さんだったらいいのに——。
号泣、必至! 最後に待ち受ける驚愕の真相と、最後の最後にもたらされる大きな感動。
同級生はみな幸せそうだ。なのになぜ、わたしだけが、これほど不幸な目に遭い続けるのだろう。
12月の北海道。中学2年の少女・沙耶(さや)は、自分を日常的に虐待をしてきた両親が、今夜、海で自分の殺害を計画していることを知っていた。ところが下校途中「児童相談所の職員」を名乗る男の車に乗せられ、そのまま誘拐・監禁される。監禁下の交流から、ふと彼女は、男が、じつは「本当の父親」ではないかと疑い始める。一方、男は身代金2000万円が目的の営利誘拐であると犯行声明を北海道警察に送りつけ、粛々と計画を進める。男は一体、誰で、目的は何なのか?
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Posted by ブクログ
[存在の全てを]を同時に読んでいたが同じような状況で、元々の暮らしより誘拐された生活のほうが幸せって辛い。人生で看病される経験が初めて、しかも誘拐犯に看病されるとは。でも誘拐先で楽しいクリスマスパーティーを経験する様子が読んでいて嬉しくなる。病気の時の適切な対処法に、あれ?と思った事が最後につながる。医療ミスで退職し、取り違えたふたりの幸せのため何ができるか考える、そうだったのか。人の気持ちに敏感で優しいドクターだからこそだろう。たまたまだが[存在の全てを]も、この作品も、同時に2件が起こることが原因、その道のプロでも大変なのだろう。
初読み作家さん、とても良かったです。
Posted by ブクログ
「ワタナべさん」はそういうことだったのかとなりました。たしかにビタミンとかやたら言ってたなと伏線回収…。
しかしほんと責任持てないなら子ども作るなと常々思う。子どもも迷惑なのに。まぁその想像力が出来ないくらいの頭ということでしょうけど。想像力は大事。
しかしこの子にとっては救いの神のような人ですよね。「ワタナベさん」は。
Posted by ブクログ
とにかく、虐待の実態が酷い。
身体的なものもだが、愛していない、大事にしていないということをたった14歳の子供に突きつける大人の醜さに胸が苦しくなった。
誘拐犯と人質の優しく穏やかな1週間。
沙耶の今までの日常がどれほど異常だったか、そして生きているとこんなに幸せなこともあるんだと希望の持てる、なんとも奇妙な生活。
そのあたりはサラサラと読めるのだが、なぜだろう、渡辺さんにも沙耶にもそこまで感情移入はできずに読み進んでいった気がする。
さらに後半、まさかの赤ちゃんの取り違えから起こった一連の出来事とわかってからはあれよあれよという間に事が進み、若干気持ちがついていかなかった。
この物語で1番人間味が溢れ、共感し、感情移入できたのは、娘の命をなんとも思っていない徹人と沙都子をぶん殴った、相良巡査部長だったかもしれない。