あらすじ
1945年、父が戦死し、聡一は一家を支えるために大学をやめ、鉄道総局の研究所に入所する。そこには戦争中に軍で戦闘機の設計や製作に関わり、多くの命を奪う結果を生んでしまったことを悔いる壮年の技術者たちがいた。平和への想いを込め、不可能と言われながら、東京―大阪間を数時間で結ぶ高速鉄道の開発に取り組む彼らを手伝ううち、聡一もいつしか没頭していく。過去を乗り越え、未来へ向かう様々な人々の、希望の物語。
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Posted by ブクログ
武器を作り、人を死なせてきた贖罪の気持ちから、自分たちの技術を平和のために使いたいと思った技術者たちの苦闘を描いたもの。希望が伝わってくる作品である。
極度の近視のために徴兵検査に落ちたことを引け目に感じている19歳の聡一と、満州から引き上げたときの恐怖がトラウマとなっている19歳の寧子の初々しい関係を並行して描く。
当事者ではない助手という立場の若者の視点で描いているため、苦闘の生々しさは薄い。その分読みやすいのは確か。
ただ、寧子が男ばかりの職場に自ら乗りこんだエピソードには違和感を感じた。そこまで欲張らないほうがよかったのではないか。
資料を読み込んで書いたとのことだが、全体的に消化しきれていない感じがした。