あらすじ
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小さなヤモは戦争にいったにいさんのかわりに市場へさくらんぼを売りにでかけます。戦争の中でも明るく力強く生きる人々を描きます。
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Posted by ブクログ
もとは自分のために買った絵本ですが、最近子どもに読んであげて、読んで良かったと思いました。
物語の舞台はアフガニスタンのパグマンという小さな村。春になると、たくさんの果実が実り、美しい風景画広がる。夏には収穫し、ロバの背に果物を乗せて売りに行く。
中東は乾燥地帯で日本のような四季の変化や、花が咲き乱れる風景などはなさそうなイメージだが、そんなことはない。人々は収穫を喜び、村は幸せに包まれる。少年のヤモは、父を手伝って町にさくらんぼを売りに行く。村の人がいってらっしゃいと声をかける。そこに「お兄さんが戦争に行っているから父を手伝う」という記述がはさまれ、ただ明るいだけの物語ではないことにハッとさせられる。
最初はドキドキしてうまく声を出せないヤモだが、「パグマンのさくらんぼ、懐かしいな」と買ってくれる人が現れ、無事にすべて売り切ることができる。そして夕方、村に帰る前にお父さんが「びっくりすることがある」とヤモを連れていったのは、ひつじの市場だ。父子は、その日の稼ぎを全部使って、羊を一匹買うのだ。あぁ、このようにして、人々は強く、一生懸命に生きてきたはずだ。どこの国でも。どこの地域でも。多くを望まず、自然の恵みに感謝し、一匹の家畜に希望を感じ、ささやかに、ひっそりと、世界の片隅で生きてきたのだ。
と、感動するのだが、その後、戦争が始まり、パグマンという村は破壊され、もうないのだ。
絵本の最後に、突然、何の説明もなく、この村は戦争で破壊されなくなったと描かれ、言葉を失います。戦争の悲しさを、最後の1ページで強烈に訴えかけてくる絵本です。
Posted by ブクログ
戦争の恐ろしさを感じさせられる絵本でした。残り1ページになるまでは、戦争とかの話が出ているのに物語は平和なんです。最後の1ページ、絵も何もなく文字でたった一文。”この としのふゆ、村は せんそうで はかいされ、いまは もう ありません。”絵本を読んでいた時の穏やかな空気も、暖かさも一瞬で消え去ってしまう、ぞっとさせる1文でした。