あらすじ
【映画化原作】マーティン・スコセッシ監督×レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、ジェシー・プレモンスら出演【2023年10月20日(金)全国の映画館で公開/Apple TV+で後日配信予定】1920年代、禁酒法時代のアメリカ南部オクラホマ州。先住民オセージ族が「花殺し月の頃」と呼ぶ五月に立て続けに起きた二件の殺人。それは、オセージ族と関係者二十数人が相次いで不審死を遂げる連続怪死事件の幕開けに過ぎなかった――。私立探偵や地元当局が決定的な容疑者を絞れず手をこまねくなか、のちのFBI長官J・エドガー・フーヴァーは、特別捜査官トム・ホワイトに命じて大がかりな捜査を始めるが、解明は困難を極める。部族の土地から出る石油の受益権のおかげで巨額の富を保有するようになったオセージ族を取り巻く、石油利権と人種差別が絡みあった巨大な陰謀の真相とは? 米国史の最暗部に迫り、ニューヨーク・タイムズ他主要メディアで絶賛された犯罪ノンフィクション。『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』として刊行された作品を文庫化・改題。
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Posted by ブクログ
2024年1冊目
映画を見て、レビューからこの本に辿り着いた。
3つの時代に区切られてて、オセージ族、FBI、現代の構成になってる。翻訳者も書いてるけど著者の取材量がすごい。この原作からあの映画へ構成したスコセッシ監督もすごいな。当初、ディカプリオはトム・ホワイト役をやる予定だったらしく、あの脇役?と思ってたからこちらを読んで納得した。
ヘイルだけが主犯ではなくこの町全体がそういうことをしてて、これが現実にあったのが信じられないぐらい理解不能な状況。でもこれが実際にあったのか、、お金の価値ってなんなんだろう。
生きるにはお金が必要だけど、必要以上なお金っているのか?人を殺してまで手に入れるお金ってなんなんだろう。この時代のオセージ族に対する入植者の視線は差別的なものも感じる。それだけこの時代は貧しかったってことなのかな。
Posted by ブクログ
映画のほうは評判良いらしいし、題材も連続殺人でミステリーとしても面白そうだなと軽い気持ちで興味持って読んだら打ちのめされた。これが人間のやることか。絶望する。
面白かった。と軽々しく言えない。読むべきではあるが、安易に楽しんではいけない辛さがある。
1章。語り口は小説というよりドキュメントで、読みやすい。事実に付随して最小限の脚色(表情や仕草)で読みやすい。犯人はあの人かなあ、みたいなぼんやりとした想像は出来るけど、とにかく何が起きていったのかを追っていく感じで面白かった。そして結局わからずじまい。
2章。FBIとトム・ホワイトの掘り下げが面白かった。トム・ホワイトの人柄が良い。不正に加担しない人物であると信頼できる描写。
そして、捜査と裁判。途中、裁判よりも殺してしまえとリンチ(私刑)に走る気持ちがおさえられなかった。刑務所に入れても更正しないだろう、なぜなら悪いと思っているわけではなく、たまたまバレてしまっただけである、という精神なのがわかるので。
3章。そういえば、あの殺人は?という感じで、作家本人がそれ以外の殺人について調査し、恐ろしい事実が浮かび上がってくる。医者、葬儀屋、警察所長、市長、地元の有力者、弁護士、銀行家、みんながグルになっている。恐ろしい土地だ。毒殺多すぎ。
お金のためならどんなことでもやるのか、という感想を見かけたが、それよりも、オセージ族の彼ら彼女らを自分と同じ人間であるとみなしていないから行えた、という感触が強い。ヘイルはビジネスだったと言っている。それ以外の犯人も殺害はお金を得るための手段であり、オセージ族はただの障害で人間だと思っていなかったのだろうなとうかがえる。恐ろしい。
トム・ホワイトはオセージ族を差別をしない公平な人間だと人からも自分でも認識していたと思うが、でもやっぱりオセージ族を軽んじていたから、その他の殺人にまで目を向けられなかったのだと思う。あとたぶん空気感的にそれ以上調べられなかったとも思う。だとしたら、その後悔が残っていても良かったのに、残っていないから、気付かなかったのかなあ。結論、やっぱり軽んじていたので気付かなかったし後悔も無いのだろう。
後見人制度を悪用する場面を他でも見る。弱者を保護するためなのに悪用出来てしまうから、ほんとマジでくれぐれも悪用出来ないようにして欲しい。
テーマも読み物としても最高
1920年代アメリカ、埋蔵されていた石油資源によっての資産家になった先住民オセージ族の連続不審死事件を追ったノンフィクション小説。2人の他殺死体発見から話が始まるものの被害者がインディアンってのもあってか捜査が進まない。被害者一族は私立探偵をダースで雇って自力で解決に挑むものの上手くいかず、そこに現れるのが後にFBIになる組織ってこの時点で面白そうなんだけど、この先がまた凄い。この本は3部構成で1部、2部も良いけど3部が本編。当時の空気感や情勢を感じさせてくれるような良い本だった
Posted by ブクログ
映画鑑賞後に読んだので、スコセッシの脚色のすごさ、ドキュメンタリーとしての堅実さ、と様々な角度から読みごたえのある本だった。あとはヘイルの実物写真を見ると、なんだか余計にエグ味が増して本物の闇を感じた。
Posted by ブクログ
なかなかにえぐい。
著者の強い執念が感じられる情報の多さ。
ノンフィクション作品を書く上でまさにお手本のような本。
利益を得るためならクズにもゴミにもバカにもなる近代的合理主義の人間たち。
Posted by ブクログ
映画を観てから原作へ。
1920年代のアメリカで起こった先住民虐殺事件を取材したノンフィクション。
同じ頃、日本では関東大震災。関東大震災といえば福田村事件。
両者には呼応するものがあるような気が。
Posted by ブクログ
1/3ほど読んだところで映画を観た。
ドラマチックに進む206分のスコセッシの力作に比べ、
集められた事実が淡々と述べられるノンフィクション。
事件から長い時間が経ったのちの調査には執念を感じるし、当時の入植者(主に白人)の欲深さがこんな連続殺人まで起こすのかと思うと恐ろしい。
greedyって言葉がぴったり。
(映画の出演者の演技は見事です!)
途中で出てくる『大草原の小さな家』のインガルス一家、
ネイティブ・アメリカンの人たちををこんな風に思ってたのか…と、今になって知るとかなりガッカリ。
子どもの頃、あんなに楽しく観てたのに…泣
人物相関図を、進捗を更新しながら定期的に挿入して欲しい!!
Posted by ブクログ
デイヴィッド・グラン『キラー・オブ・ザ・フラワームーン オセージ族連続怪死事件とFBIの誕生』ハヤカワ文庫。
マーティン・スコセッシ監督により、レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、ジェシー・プレモンスら出演する映画の原作となったノンフィクション。『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』として刊行された作品を文庫化、改題。
オセージ族が保留地から出る石油の受益権のおかげで巨額の富を保有するようになったとは知らなかった。当時のアメリカ人の11人に1人が車を持っていたのに対して、オセージ族は1人で11台の車を持っていたのだ。
オセージ族連続殺人事件の捜査は遅々として進まず、何度も同じ描写が描かれる。殺人事件の捜査がメインなのか、アメリカの歴史とFBI創設の経緯がメインなのかはっきりしない。恐らく、映画はオセージ族連続殺人事件の方を主眼に描くのではなかろうか。
1920年5月、禁酒法時代のアメリカ南部のオクラホマ州でオセージ族のチャールズ・ホワイトホーン、アナ・ブラウンが立て続けに殺害される。その後、さらに殺人は続き、二十数人のオセージ族の人びとが殺害される。
私立探偵や地元当局が決定的な容疑者を絞れず、手を拱く中、後にFBI長官となるJ・エドガー・フーヴァーは、特別捜査官トム・ホワイトに命じて大がかりな捜査を始めるが、解明は困難を極める。
しかし、そこにはオセージ族が手にした石油の受益権による巨額の富に関係する陰謀が渦巻いていた。
本体価格1,360円
★★★