あらすじ
今も親代わりの茂木の話では、彼らが一緒に育てた桐田夏美から性的暴力を受けたと訴えられ、失意のうちに亡くなった阿部轍正の名誉が回復されればみな立ち去るという。孤児たちの暮らしをなぞるように庭を耕し始めた八木沢は、真実を求めて夏美の消息を追うが……。人間の魂の絆を描いた感動の力作長編!
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Posted by ブクログ
うむむーーー!
そうなのか。
きっかけが必要だっただけなのかな。
骸骨ビルを巣立った孤児たちと、ご近所さんや主人公や、それぞれの戦後〜現在に繋がる人生が、それぞれに際立ってて、うーんなんだろう‥
その時その時を必死で生きていた連続が、現在につながってるんだなって。
じゃぁ、「現在」を生きてる私はどうなのかなってちょっと自分を顧みた。
「未来」になって私が年をとった時に、あの頃(つまり今)のことを悔いなく思い返すことができるかなぁと。
パパちゃんの内面は、難しかった。
戦地での語り(聞いた話だけど)の場面は、あれは、私が想像してどうこう言える話じゃないんだろうな。
結局、夏美が自ら嘘だったとパパちゃんに謝罪したりする場面はなくて、お話が終わってみても、事実が事実としてあるだけだった。
パパちゃんともぎさんは、自分は結婚もしないで孤児たち20人以上を育て上げ、その廻りにはほんとうのことを知る訳でもない人たちが勝手に憶測したウワサが広がってて。(それは夏美の事件に関することだけではなくて、パパちゃんが聖人でもなんでもなかったこと、本当は迷ってたこともあったろうってことも全部含めて)
主人公が、単身赴任終わったら大阪に店を買ってオムレツ屋さんをひらきたい、って手紙を奥さんに書いたあとの、夫婦の電話。
これすっごい印象的だった。
わかるんだよなぁ奥さんの言ってることが。すごく。すっごく。
離れていてもそれぞれに「楽しく暮らしているだろう」
楽しく暮らしているのはいいよ。
仕事なのだし、やむを得ない事情なのだし、離れて暮らしていてもそれを受け入れて平穏に過ごして行くのは、寂しがって辛くて泣きわめく生活するよりはいいさ。
だけどそれが目的になってしまうのはおかしいんだよな。
うまく言えないけれど。
離れているけどある程度の寂しさには目をつぶって、うまく暮らしてる。
それを当たり前に思ってほしくないんだよね。
今回のことで、奥さんが主人公にその気持ち(ホンネ)をぶつけられるきっかけができたのはよかった。
奥さんと主人公は別に仲が悪かったわけじゃないし、浮気とか、あったわけじゃないし、だけどそれを当たり前に思ってもらっては困る。
…↑自分の愚痴書いてるのと同じじゃないかこれ?w
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
今も親代わりの茂木の話では、彼らが一緒に育てた桐田夏美から性的暴力を受けたと訴えられ、失意のうちに亡くなった阿部轍正の名誉が回復されればみな立ち去るという。孤児たちの暮らしをなぞるように庭を耕し始めた八木沢は、真実を求めて夏美の消息を追うが…。人間の魂の絆を描いた感動の力作長編。
八木沢とかつての孤児(八木沢と同年代ですが」の交流によって阿部、茂木両名がいかに孤児たちを慈しみ育ててきたかを感じ、その崇高な人柄に感化され自分の人生も考え始めるのであった。
意外と呑気な八木沢。はっきり言って楽しそうに大阪生活を満喫しています。