あらすじ
見つかったのは、ミカちゃんなんじゃないか――
『かがみの孤城』『傲慢と善良』の著者が描く、
瑞々しい子どもたちの日々。そして、痛みと成長。
かつて、カルトだと批判を浴びた<ミライの学校>の敷地跡から、
少女の白骨遺体が見つかった。
ニュースを知った弁護士の法子は、無騒ぎを覚える。
埋められていたのは、ミカちゃんではないか――。
小学生時代に参加した<ミライの学校>の夏合宿で出会ったふたり。
法子が最後に参加した夏、ミカは合宿に姿を見せなかった。
30年前の記憶の扉が開くとき、幼い日の友情と罪があふれ出す。
解説・桜庭一樹
※この電子書籍は2021年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
面白かった。
思わず涙も出ちゃった……
宗教問題…社会問題なのか…難しくて一般人の私たちからしたらタブーな話題な気がする。
最初はただのサマースクールなのかな?孤児院なのかな?という感覚で入ったけれど、なんとそこが宗教団体。
まぁ宗教団体でよくある話だなと思いもしたけれど、ものすごくリアルに書かれてた。親子で入る人もあれば、子を預けちゃう家族も…すごいリアル。そして、ほかの宗教団体と物語と違うのは当事者が、良い思い出と言えているところ。あのころは洗脳されてたとかネガティブではなく、あのころは楽しかったと振り返ってるキャラクターもいるのもリアル。笑
色んな衝撃的な出来事があって、ものすごいスピードで読んじゃった。
のりこちゃんがみかちゃんに生きててよかった、と伝えたシーンが忘れられない。そこが一番好きだった。
その二人の友情は宗教団体で結ばれたとかではなく、純粋な友情だったな、と。
私も長くあってない小さい頃の友達のことを思い出した。
二番目に好きだったのは法子が藍子とつみきで言い争っちゃうシーン。
あれだけ忙しいことを細かく、読者の私たちでもすぐ想像できるような表現の仕方が本当にアッパレ!
そして、リアル。女性が働きながら、今で言うバリキャリでいながら、子供を育てる、現代をリアルに見てる感じだった。そして、藍子の優しさ、子供の純粋な優しさ。素敵だった。
はぁ。すっごく良い本に出会えて幸せ。
Posted by ブクログ
一見理想的に見える『ミライの学校』は、大人たちの理想に巻き込まれ、犠牲となった子供たちの生活だったのか、と恐ろしさを感じた。
今、問題となっている時事とも深く関係があると思い、とても興味深く読めました。
ミカやノリコの心情の変化が丁寧に描写されていて引き込まれました。
Posted by ブクログ
小さい頃のミカやノリコの心情の動きを見て、人の顔色を気にしすぎてたり、人間関係が自分の全てかのように考えてたりで初めはなんでそんなにと不思議に思ったけれど、それは自分が大人になったからそう思うのであって、自分も小さい頃は周りの人の顔色を伺ったり、誰々ちゃんに嫌われたかもと思うだけで世界の終わりのように思っていたなあと思い出した。自分の懐かしい記憶も呼び覚まされるような感覚があった。溌剌としていて、とても良い子で、でも泉に絵の具を全色流すほど両親に会いたいと強く願っていたような少女だったから、田中がミカだと知った時は衝撃が走った。誰が彼女をこんな大人に変えてしまったのか…あのときミライの学校の大人たちが、両親が、ミカの気持ちに真正面から向き合ってくれたなら。隠蔽などせずに本当の意味で守ってくれていたのなら。その上で法子のように「あなたは悪くない」と言ってくれたのなら。彼女のミライはまた違っていたんじゃないのかなと悲しいし虚しくならずにはいられなかった。ミライの学校の子供達のことには熱心な大人たちが、じゃあ一番身近な自分の子供のことについてはどうだったのか?という作中で何度か子供達が自分の親に繰り返す問いが辛くて痛かった。一方で、一度は途切れてしまったしもう友達という関係には戻れないかもしれないけれど、時を経てもう一度交わる美夏と法子の物語に胸が熱くなり、後半頁を捲る手が止まらなかった。夜の泉に寄り添い佇む幼い二人の後ろ姿が、読み終えた今も瞼の裏に浮かんでいる。
Posted by ブクログ
学生同士のちょっとした会話のやりとりが苦しいぐらいリアル。辻村深月さんの作品は中学生の頃に読んだ「ツナグ」以来だが、心動かされる描写が多く改めて好きな作家さんだなと感じた。
宗教団体であると分かる前は私もこの学校の人たちの考えに賛同する部分もあったので、それぐらい現実世界でも知らないうちにそういった問題に巻き込まれる可能性はあるなとヒヤッとした。
Posted by ブクログ
この本を読んだ感想について、正直自分の中では上手く言語化できませんでした。
それは「未知の世界の物語を見たから」ではなく、この物語が「単に嬉しいとか悲しいとかで表現できないから」だと思ってます。
それはつまりこの物語には、嬉しさや悲しさ、その他の感情が重層的に凝縮されているように思えたからです。
例えば
まず、ノリコ側として
ミライの学校で過ごしたことを楽しかったとする輝かしい思い出
シゲルへの淡い恋心
自分の思い出の地を、一様に怪しいカルト集団と差別する周囲の人間に対する不愉快な気持ち
白骨死体が、ミカじゃないことを祈る気持ち
そして、記憶の中で美化されたミカと現実のミカを比較したときの絶望感
それでもなお、現実のミカを受け入れて、手を差しのべたい。一度は放置してしまったミカともう一度向き合いたいという感情
ミカ側として
親と離ればなれに暮らす特異な環境で過ごしていたことで、愛情に飢えていたこと
麓の子ども達に対する憧れや嫉妬のような感情
シゲルへの恋心と、友達だと思っていたノリコがシゲルへ思いを寄せていると知ったときの複雑な感情
ヒサノに対する後悔
大人になって再会したノリコに対する感情
それぞれの感情が時系列ごとにものすごい勢いで脳内に流れ込んでくる感じで、掴みどころのない作品でした。
なので、結果的にはハッピーエンドですが、スッキリとした読後感ではなく、ノリコとミカ二人の濃密な人生を体験できる一種のアトラクション(?)を彷彿とさせる作品だと感じました。
Posted by ブクログ
辻村作品2作目。辻村さんの心理描写は本当に細かくて驚かされる。結構分厚い本だったが3日で読めた。ミライの学校は、大人の理想郷なのだと思った。賢くて空気が読める人はどんどん洗脳されていく。子どもなんてあっという間だろう。ひさのはそんな中でも、それに抗う存在なのだろう。妙に染まれないのも損だと思ったり。誰かにどう期待されているか感じとり、それを演じてしまうことはわかるなと思いつつ、なかなかショッキングな流れだった。子どもが何も言わないことをいいことに、甘えてはいけない。多感な時期で、きっと子どもにたちの「ミライ」影響するのだから。
Posted by ブクログ
信じ切っていたものを土足で踏みにじられ、必死で無意識な防衛反応により起きてしまった事件。何が正しいのか、どうするべきだったのかは本人の中にすら答えはなく、介入の余地がないように思えた。
Posted by ブクログ
主人公の法子にとって〈ミライの学校〉は、幼少期と大人になってからで大きく見え方が変わるところが面白いと感じた。側から見てカルト集団として揶揄されているかと思えば、高い理想の元、良い学び屋として受け取れる面もあり…と、物事には二面性があるなと考えさせられた。
また、法子の母親として子供と一緒にいたいが、預け先の保育園が見つかった際、心から安堵したという点に、人間の二面性を感じた。
原因や理由は一つだけではなく、様々な感情が混ざり合って一言では語れないというのが人間だよなぁと思った。
総じてお話は面白かったが、分量が多く、少し中弛みしてしまっているように感じた。