あらすじ
わかるよ、みんないろいろあるけどさ――。
ほら、あたたかいごはんを食べれば、きっと元気になれるはず!
子ども食堂を舞台に、市井の人々の生きづらさと希望を描く、読んで「美味しい」老若男女群像劇の傑作。
営業時間は午後5時から8時まで。
亡き夫との思い出をきっかけに松井波子が開いた「クロード子ども食堂」。
スタッフは、夫とうまくいかない近所の主婦や、就活のアピール目的の大学生。
お客さまは、デートに向かうお母さんに置いていかれる小学生や、娘と絶縁し孤独に暮らすおじいさん。
子どもも大人もお年寄りも、みんなまとめていらっしゃい!
うまくて泣ける、心温まる絶品群像劇!
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
小野寺さんの作品は人と人との会話に人間味を感じて読んでいてほっこりします。
この本は子ども食堂が物語の中心になっていてそこでボランティアをする人や、利用する小学生、大人等色々な人の視点から書かれているので子ども食堂の雰囲気を想像しながら読めました。
波子さんが子ども食堂を立ち上げたのが亡き夫との会話がきっかけというのが凄く心に染みます。
最後に登場した高校生が亡き夫が話していたエイシン君だったというのが安心と感動の終わり方で良かったです。
Posted by ブクログ
子ども食堂をはじめた波子さんと、ボランティアや利用者さんのお話。
章ごとにそれぞれの目線から語られる形式になっている。
句点が多めで一文が短い独特な文体だなと思ったけど、慣れると話し声が聞こえてくるようで読みやすかった。
内容は切なくも心暖かくなるものだった。私自身、家族の死を数回経験していて、あの時ああしていればこうしていれば、と後悔の波が押し寄せてくる感情も知っているから、なんだかずっと泣きそうだった。
波子さんのキャラクター、いいなあ。波子さんも救われる暖かいラスト。電車のなかでちょっと泣いた。
【追記】仕事で同僚との関係がちょっとしたことで曇ったのだけど、モヤモヤとした気持ちでいる時にふと、この本の「ありがとう」の章が浮かんだ。
夫との関係でやきもきしている石上さんへ、波子さんがかけた言葉。
「ありがとうはね、言った方の負けじゃないですよ。言ったもん勝ちですよ」
シンプルだけどじんわりと広がってきて、私の言動を少し変えてくれた。
そうなのよ。結果物事が円滑に運ぶのなら、言ったもんがちなのよね。この本を読んでいてラッキーだったと思う。波子さんありがとう。
Posted by ブクログ
よむーくとちいかわのコラボ栞が欲しくてたまたま購入した本でしたが、思った以上に良かったし、好きなお話しでした。
こども食堂を始めて、そこにボランティアで来てるスタッフさんや来てくれる子供や親の視点でのお話しを短編でつづったものでした。
最初はこども食堂が題材だし、いい話風にして終わるのかなぁと思っていましたが、ちゃんと個人個人の気持ちが書かれていて、しかも現実的というか共感する部分が多くて、ただこども食堂を開いて子どもの為にやってます、良いことしてます!みたいな単純な話しではなかったから良かったのかなぁと思います。特に主人公?の松井さんの考え方や話し方に凄く好感がもてたのも良かった要因かと。
特に最後のシーンはホロリと泣いてしまいました。
この作者さんの作品はこれが初読みでしたが、他の作品も読んでみたくなりました。
好きな言葉があったので…
「ありがとうはね、言った方の負けじゃないですよ。言ったもん勝ちですよ。」
「汚いところをきれいにするのが掃除。きれいなとこをまたきれいにする掃除じゃ意味がないの。それはただの自己満足」
Posted by ブクログ
子ども食堂ってワードでほのぼの系ではないだろうなと身構えていましたが、そこまで大きな出来事がある訳でもなくだからと言って軽すぎる訳でもない、丁度いい重さの物語でした。それぞれ様々な事情があるけれど、全体的に最後はちょっとほっこりした気持ちになれました。
個人的に子ども食堂をするきっかけの子との再開シーンがあっさりし過ぎてるように感じて、え!?これで終わり!?続きは!!って思っちゃいました…
Posted by ブクログ
パートナーの死をきっかけに子供食堂を開く話。
さまざまな家庭事情を抱えてやってくる親子、運営の厳しさなど少し胸の痛い部分があったが、いい方向へ向かっていく終わり方でほっとした。
来る子がみんないい子で良かった。少し個性的なお母さんも気を許してくれて良かった。
最後のおじいさんの話は切なかった。孫でなく勘違いだったけど子供食堂を通じて活力が漲っていた。
そしてこの食堂を開いたもう一つのきっかけ、公園で一人ご飯を食べていた小学生の男の子が立派に育ち、食堂を利用していた子のお兄さんだったとは!
伏線も回収され、穏やかな余韻が残りました。