あらすじ
東京から遁走して着いた四万十川の辺は、生死の境を越えた聖なる空間だった。――流される日々の中でみた夢。祖父が晩酌の時間にこぼす愚痴。母の洗濯物を干す音。父の風呂場から聞こえてくる音痴な歌。十数年の生死の記憶が詩的な言葉で鮮やかに蘇る。青山真治が「最後の映画作家」と激賞した逸材が放つ心を揺さぶる世界!
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Posted by ブクログ
渋谷SPBSでのイベントにて購入。その場で甫木元さんに名前入りサイン頂けてとても嬉しかった…!
序盤、突然始まる空想シーンが多くてやや読みづらかったけど、何とか進めた。甫木元ワールド全開。所々ビアリの曲の歌詞も。
綺麗な曲を作る人なので何となくお上品なイメージを抱いてしまっていたけど、意外とカジュアルな表現も多くて面白かった。(そういえばWinterの修正前の歌詞はアレか笑)
「自分の物ばっか。自分の事ばっか」とか言われちゃうのも、なんだか想像ついて笑ってしまった←
表現者というのはそんな人が多い気がする、何より自分の世界が重要な職業なので(偏見)
自然の描写が豊かで、風景を想像しながら読むのが楽しかった。土佐弁や四万十川周辺の様子、植物についてたくさん知れた。
あと、カタカナがよく出てきて昔の小説みたいな読み心地だった。
お母様の18年前のお手紙が素敵。
読み終わったこのタイミングでちょうど、映画の配信(期間限定)が始まって嬉しかった。映像や音楽が本当に良くて、スマホやテレビじゃ勿体無いなと思った…いつか映画館でも観てみたい。
かなり抽象的な作りになっているので、小説版を読んだ後で良かった。
Quicksandの曲たちに対する理解が少し深まった、気がする。(何周も聴きながらのんびり書いてたら長くなっちゃった)
Posted by ブクログ
誰かに届けよう、伝えようが1番じゃない本。
ほきもとさんの感覚と生活がするりと伝わってくるような、不思議と夢心地になる本。
最初はなにを言ってるのやらさっぱり、って思ってたけど、だんだんと言葉を頭で理解するんじゃなくて、言葉が感覚的に伝染してくるような感覚になって、ページを捲る手が止まらなくなった。
読むというより、見て、捲って、浸った、みたいな。
Bialystocksの曲を聴きながら読むと、最高に最高にしあわせ。ガラガラの電車で立っていたいって思うくらいに、
Posted by ブクログ
小説の一部が著者の所属するバンド
Bialystocks の歌詞にも出てきます。
同じ言葉の並びでも
音から受け取る言葉と
小説の中で受け取る言葉は違っていて
なんとも不思議な感覚です。
わたしの場合は言葉が音にのることで
より情景が思いうかんだりします。
音楽も一緒に聴くとさらに楽しめますし
音楽も小説もどちらもとても愛しく思えてきます。
自分も同じような時期に
同じような状況で母親を亡くしました。
余命宣告を聞いたとき終わりの始まりに向き合うのがとにかくおそろしかった。
近しい誰かの死への期限が
目視できる状況にあってもその別れがきても
お腹は空くし雨は降るし花は咲き生活が続きます。生きるものがある限りそれは終わらないのだと。
そういうあたりまえのことが見えなくなって明日が来ることがただただこわくて背中を向けていた自分があの時期この本に出会えていたらもう少し深く呼吸ができていたかもと思います。
抗えないものと一緒に
自分のペースで人生を歩んでいるじいちゃんは
わたしの生き方のお手本です。