あらすじ
助産所を営む母に居候を決めこむ見知らぬオカマ。実家に帰省した私を包み込んだのは、そんな彼女たちのくふふふという温かな笑い声だった──。ヘッポコ助産所ではぐくまれる母とオカマと私の物語。第9回坊っちゃん文学賞大賞受賞。
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【あらすじ】
助産所を営む母に居候を決めこむ見知らぬオカマ。実家に帰省した私を包み込んだのは、そんな彼女たちのくふふふという温かな笑い声だった──。ヘッポコ助産所ではぐくまれる母とオカマと私の物語。
【感想】
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東京の大学に進学をしたトリコだが、目的を見失い留年が確定してしまう。その報告を含めての年末の帰省で、実家に帰るがそこには、母と仲良くコタツに入っているオカマのミカがトリコを迎える。何故オカマが居るのか説明をしない母と聞かない娘。掃除以外は家事がまったくだめな母と似た娘を前に、住み込みのミカがおせち料理を作り正月を迎える。オカマのミカを交えての出来事で、母に初めて聞いた自分の事。「長年の親子やし、似るんかもしれんわ」「そっか」「そうや」短い言葉のやり取りで通じる。母がいかに自分を信じ愛されているかを、、、
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入院生活の長かったこどもの頃、病院のベッドで
「願いをひとつだけ叶えよう」的な童話を読むたび、私だったら?と考えました。
「丈夫な子になれますように」にしたいけど、丈夫になったとしても
ある日突然事故とかで死んじゃったらいやだし、
結婚した人が実はものすごく意地悪な人だったりしたら困るしなぁ。。。
そこで思いついたのが、「幸せになれますように」!
うん、これはいい♪ だって何がどうあっても、幸せになれるんだもの♪
今考えると、体が弱っていたとはいえ、なんてものぐさなこどもだったことでしょう。
本を片手にほくほくしている小さな私に、「コラコラ!」と
デコピン(ちょっと手加減した、70%威力ダウンの)をくらわせたくなってしまいます。
『真夜中のパン屋さん』で人気沸騰の大沼紀子さんが、
坊ちゃん文学賞大賞を受賞した『ゆくとしくるとし』が収められた、この短編集。
もう一作の『僕らのパレード』で描かれる幸せのかたちが、素晴らしいのです!
「タンポポのわたぼうしを一度で吹き飛ばせたら、幸せになれる」
という、4人目のお父さん「よんちゃん」の言葉を信じ、無邪気に生きるサム。
娘にセピア、息子にはTRFが好きだったから、サム、とミーハーな名前をつけ
(韓流にはまった挙句、末息子の名前には「ペ」か「ヨン」か「ジュン」の
どれがいい?と言う始末。。。「ペ」はないでしょうにねぇ。。。)
ひっきりなしに新しいお父さんを連れてくるお母さんを恨みもせず
ある日突然ひと言も喋らなくなったお姉ちゃんのことも
喋らなくても、大好きなお姉ちゃんに変わりはないと受け入れ
自分は頭がいいし運動もできるけど、普通に優しいっていうのが出来ない
と悩む、反抗期真っ盛りの優等生紺野くんを、拙い言葉で慰め
東京で心を壊して故郷に戻り、方向感覚をすべて失って
家と自分を青い糸で繋いでいないと、近所へも出かけられないアヤエの
パン作りを手伝いながら、さりげなく外へと連れ出して。
周りのみんなをおおらかな優しさで救ったサムが
純粋なあまり心の森に閉じ込めていた、受け入れがたい悲劇の記憶を甦らせ
闇に沈みそうになったとき、「糸に繋がれた女の子」だったアヤエが差し伸べた手と
そのあとに続くささやかな幸せのパレードに、心が温められます。
世の中には平等なんてなくて、マイノリティーは排除されがちで、
小さな偏見、小さな悪意に満ちているけれど、それでも世界は回っている。
自分のところに幸せがあっても、それでも誰かのために、
幸せのわたぼうしを探して、吹き飛ばそうとする人がいる。
ハードルを上げ過ぎずに、目の前にある小さな幸せをそっと抱きしめ
身近にいる大切なひとの幸せのために、それがわたぼうしを飛ばすことでも、
初詣で配られる小さな干支の置物を、二度並びしてもらってくることでも
何かできることがある、それがまた幸せなことなのだと
気づかせてくれる、隠れた名作です。おすすめです!
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家族は血のつながりではなく、心の繋がりでは無かろうか?時には繋がりの紐が絡まる事もあるし、離れてしまう事もあるだろう。心が寒い時に暖めてくれるのは家族なのだ。とてもよい本だった。
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心が温かくなった。
書き方は軽いのだけど、内容は結構心にくる。
擬音が多くてかわいい書き方だな、と思った。
大沼さんの作品はこれが初めて読んだ物だけど、他の作品も是非読みたいと思った。
「ゆくとしくるとし」のオカマのミカさんも母親も素敵な性格だと思った。
「僕らのパレード」は小学生なのに、考え方がすごいなと思った。
やっぱり大人の影響ってあるんだな…。
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ミカさんの笑顔は、美しくはないけれどほんわりと心地好い
もっと、信じてしまえばいいのかも知れない。色んなコトを、もっと単純に。
でも、言わなきゃいけないと思ったのだ。ちゃんと、立ち上がって。
苦しそうな彼を見て、僕はキモイと言われてもいいと心に決めた。僕は僕がキモくない。それでじゅうぶん。それでいい。
僕らの気持ちっていうのは、動物。心は、その動物がすむ森。心には、色んな動物がおる。優しいも、ちゃんとおるよ。
大丈夫。きっと愛しか入ってないから
Posted by ブクログ
久々に、「良い本だ〜・・・」と、しみじみ思いました。。。 表題作もすごく良いけど、同時収録された「僕らのパレード」という話が更に良かった!! よんちゃんが主人公の姉に宛てた手紙の内容に、胸が詰まりました。 ・・・そこ、この話の中心というワケでは無いんですけどね。 表紙の絵が若干ライトノベル風なので、それだけでスルーしてしまっている人もいるかも。 ちょっと勿体ない・・・。 この表紙、私は結構好きなんですけどねぇ。
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大学生の主人公が久しぶりに故郷へ戻ると家に居るのは母親と「オカマ」。表紙の絵にも引かれましたが、そんな冒頭部にも興味を抱いて読んでみるととても面白かったです。もう一つのお話、「僕らのパレード」ではサムとアヤエのやり取りが可愛らしく、最後の展開には切なくて胸が締め付けられそうでした。
Posted by ブクログ
一編は…不器用な母娘関係の仲を取り持つミカ姉さん。ヘタクソな自己表現のトリちゃんも新年とともに、やっと"母親の中の母親"の懐に飛び込めた。もう一編は… 田舎に溶け込むサムくんの奮闘ぶりと軽~いミステリー色の結末。ピュアな天然酵母ぶりを発散する。二編を通じて、"真夜パン"キャラの原点が詰まった様な感じのホンワリと温かい作品♪
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最初2ページくらい読んで「きっといい話だ」と確信して一気読み。作者らしい、ほんわかした気分で終わることができた。 好きな一冊。後半の「僕らのパレード」よりも「ゆくとしくるとし」の方が好き。 オカマちゃん=ムロツヨシ・・・ まよパンドラマの印象が抜けないわ。
Posted by ブクログ
「ゆくとし くるとし」「僕らのパレード」の2本立て。
生きるって難しいことだし、自分の気持ちを伝えるっていうのも本当に難しい。ほんのちょっと間違っただけで、大きな亀裂が入ったりする。
だから、真剣に誰かに向き合うって怖いことでもあるけど、どんなに拙い言葉でも、本心から伝えようとしたら、必ず伝わる気がする。
そうして、なんとか伝えて、受け取って、伝えて、受け取っての積み重ねて、なんとかやれていくんじゃないかな。
Posted by ブクログ
重くて深いテーマを軽く、さりげなく。
悩んでいたり、苦しかったり、悲しかったり、辛かったり、色んな負の感情もまあるく暖かく包まれている。
‘わるいひと’はひとりもいない。
甘いと言われるかもしれないけれど、私はそういうのが好きだ。
Posted by ブクログ
脚本家出身というだけあって
映像が頭に浮かぶような文章の流れ。
「・・・だけれども。」という
言い方がいかしてると思いました。
ちょっと重たいけど、
悪くない読後感。
みんな頑張ろう、って元気をもらえる感じの一冊です。
Posted by ブクログ
話の設定は、同時期に読んだ「ふがいない僕は空を見た」と似てる。
けど話は全く違う。
ライトノベルの雰囲気のあるような。が、とっても良かった。
何にもしたくなくて、親には悪いと思いつつ動けない、という気持ちはとっても分かるし、
そこを責めずに方向転換させる親の理解ってすごいよなぁと思った。
Posted by ブクログ
不思議な家族の形、温かな世界は、瀬尾まいこ的な味わい。
表題作も良かったけど、「僕らのパレード」の柔らかな、けれど芯のしっかりした物語が心に残る。
Posted by ブクログ
ゆくとしくるとし』が良かった。自分の感覚にピッタリくる感じがした。
『ぼくらのパレード』もまずます。
この作家の本は初めて読んだが「みんないろいろあるけどなんとか生きていこうね」という気になれる。そこがいい。
作成日時 2007年02月24日 13:12
Posted by ブクログ
一年ぶりに実家に帰ると、オカマがいた。
強烈な一文から物語りは始まる。
大学三年生のトリコは、進級が危ぶまれており、くすぶる思いのまま実家に帰省する。そこには見たこともないオカマのミカが待っていた。
母と子、そしてオカマ。「家族」とは何かを教えてくれる心温まるストーリー。
同時収録「僕らのパレード」(書き下ろし)も◎
Posted by ブクログ
ゆくとしくるとしは、ミカ姉さんが素敵でした。私も大学生だからトリコの気持ちがなんとなくわかりました。僕たちのパレードはあたたかいお話でした。やっぱり森は大切にしないとだめですよね。
Posted by ブクログ
「ヘッポコ助産所ではぐくまれる
母とオカマと私の物語」
おもいがけず、おもしろかった。
収録されているもう一編の短編
「僕らのパレード」が掘り出し物。
登場人物があたたかい。
ストーリーのテンポもいいし、映像化しやすそうだなと思っていたら、筆者は脚本家もしているとのこと。なるほどね。
どちらもさらっと読めます。
息抜きにはいいかもね。
装丁がマンガみたいな絵なのがやめてほしいけど。
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普通に生きるという事がどういうことかは分からないが、普通に生きられなくて思い悩み逃げたくなることもある。
だけど見回せばちゃんと見守ってくれる人達がいるよ!と心温まる2話。
タイトル「ゆくとしくるとし」は突然現れたおかまさん、「僕らのパレード」は心のよんちゃんの存在にホッとする。
Posted by ブクログ
「真夜中のパン屋さん」が近頃話題の大沼さん。瀬尾まいこさんも受賞されている坊ちゃん文学賞受賞、ということで読んでみました。
表題作の「ゆくとしくるとし」よりも「僕らのパレード」の方が好きでした。ちょっと他の子よりも純粋な小学生男子のお話は他にも読んだことありますが、あまりにも全うなことばかり言われると感動できない悲しい大人。でもそうならなかったのは、紺野くんの存在がピリッと効いていたからかなぁ。先生の「これが正しい道やと、疑わんで歩ける人間なんておらんのや」「道なんて、間違っとっていいんや・・・・」という心からの叫びも胸にしみました。「どうか、愛されることに慣れて欲しい」「大丈夫、要は慣れだ。怯えるな」ってお姉ちゃんに伝えたよんちゃんもかっこいい。でも、じゃあ、なんでよんちゃんは怯えたの、と言いたくなるけど。
「ゆくとしくるとし」の方は、その前に読んだ「つるかめ助産院」と設定や流れやキャラクターがまるかぶりで。助産院を基盤にすると、こういうお話になってしまうんだろうか…。ミカさんの
「世の中には平等なんてなくて、マイノリティーは排除されがちで、小さな偏見、小さな悪意で満ちてて。でもぉ、それで回ってんだからいいと思うの。アタシを産んで育ててくれて人たちも、アタシがとっても愛した男性も、その世間の一員なんだから、アタシはその世間の偏見やら悪意やらを受け入れようってね。」「偏見も悪意もない、清く正しく愛に満ちた世の中なんて、アタシ、そういうのこそノーサンキューって感じ」
という言葉には考えさせられてしまいました。
★3.5
短かった〜
なんだろなー内容はいい話だったし、二児の母としてうるっとくる場面もあった、けど、しっかりした小説を読んでばかりだったからか、ゆるい文体が最初受け付けなかったなー(-_-;)
読んでるうちになれたけど、文章がゆるくて、話し言葉だらけ?
そしてなにより、15分もかからずに読み終わってしまった、、、