あらすじ
東三河~浜松で展開するローカルスーパー「クックマート」は、1店当たり平均年商が約27億円と大手を凌ぐほど支持を得ている。同社は2代目社長の白井健太郎氏のもと、業界の常識を覆すローカルスーパーの新たな成長の道を描く。そのユニークな競争戦略とそれが生まれた背景、これからめざす姿を社長自らが綴る。
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Posted by ブクログ
これはまごうことなき楠木建本です。楠木論理がどこまでも息づいている経営を知らず知らずのうちに行っている。で、結構言語化が上手く読み手を飽きさせない。
Posted by ブクログ
同業界に身を置く者として、考えさせられる一冊でした。
小売業の中でも、食品スーパーは寡占化が最も進んでいない業態であるが、それは遅れているのではなく、向いていないのではないか、という問題提起。
その理由は三重のナマモノを扱っているからか。
①売上構成比の過半数が生鮮食品というナマモノである「生鮮」
②生鮮食品というナマモノはローカル性を強くはらむ「ローカル」
③それを扱う人も客もまたナマモノである「人間」
だからこそ、チェーンストアにて規模・合理化を追っていくと、一店一店が弱くなるという矛盾。
クックマートの商圏である、浜松と豊橋という車で30分しか離れていない場所でも食文化が異なることに驚いた。この距離でそうであれば、全国統一してなんてことは無理だろう。
PEファンドのマーキュリアと組んで、どのような成果が出るのか楽しみ。
Posted by ブクログ
楠木建イズムが根付いたスーパーマーケットチェーンの話(と言っていいと思う)。こういう良い企業の事例を読むと、経営とは突き詰めると組織作りなのだと実感する。人事配置、評価基準、社内イベント、ミッションやビジョンの策定。これらの重要性を白井社長はとてもよく認識している。逆に、それができない組織のトップがいかに多いことか。
ただ、気になったのはマーキュリア(PEファンド)との提携に関する記述の薄さで、この箇所については白井社長は本音を書いていないように思う。買収時にマーキュリアのディレクターは「将来的に売上高を500億円規模まで伸ばせる」と極めてビジネスライクなことを言っている(そもそも、そのような目算がなければPEファンドは投資できない)。この提携について、白井社長は越境だとかコラボレーションだとかブレイクするーだとか、きれいな言葉ばかり言っているが、現実の経営判断とうまく整合していないように思う。
(ただ、PEから「投資される」側の体験談というのはほとんど読んだことがなかったので、DDやインタビューをする側の人間として、その記述は面白かった。)