【感想・ネタバレ】ジェンダー格差 実証経済学は何を語るかのレビュー

あらすじ

歴史・文化・社会的に形成される男女の差異=ジェンダー。その差別には近年批判が強く集まる。本書は、実証経済学の成果から就業、教育、歴史、結婚、出産など様々な事柄を取り上げ、格差による影響、解消後の可能性について、国際的視点から描く。議員の女性枠導入=クォータ制が、質の低下より無能な男性議員排除に繫がる、女性への規範が弱い国ほど高学歴女性が出産するなどエビデンスを提示。旧来の慣習や制度を問う。

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Posted by ブクログ

一番ガツンときた情報は、育休をとった男性は、未婚の男女、育休をとらなかった男性、育休をとった女性の誰よりも育休後の資格合格等がみられるという部分(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

育児名目で自分のスキルアップに時間使ってるっていう…

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2025年09月13日

Posted by ブクログ

実証経済学の著者が、研究者の視点で、ジェンダー格差を、平易な言葉で語っている本です。
物事というのは、見方を変えると、新たな発見等、別な見方が出来ることを証明している本書でした。
多くの方に読んで頂きたく思いました。

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2025年01月18日

Posted by ブクログ

分かりやすく、その上ジェンダー関連の実証論文の紹介としても価値ある新書だった。シンクタンク内で開催している勉強会で扱った論文の一般向けの紹介、というバックグラウンドがあるとあとがきで知って納得。本文はもちろん、148項に及ぶ参考文献をぜひ参考にしたいと思う。
経済学を学ぶ人にとっては、ミクロ経済学や計量経済学によってどのように現実世界を描写できるのかの力強い例になるし、そうでない人にとっても、社会問題を考えるにあたって経済学のモデルや考え方を用いることの有用性を感じられるはず。ジェンダーをはじめとして、労働や家族などに関心があるすべての人に、ぜひとも手に取ってほしい本だとおもった。
個人的には、ベッカーの家庭内生産財の考え方に関心を持ったので、関連書籍や論文に当たりたいと思う。

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2024年10月10日

Posted by ブクログ

ジェンダー格差、女性のほうが所得が低いとかエンパワーメントが低いとかの原因を探る実証経済学の事例をわかりやすく紹介する本です。
因果関係と相関関係の違いを判断するのは、自然科学の実験とは違い難しいようです。
女性のために良かれと思って実施した政策でも、結果は意図したことと逆になってしまうということも在るそうです。例えば、インドで家庭で家事をしていた主婦が仕事などで家庭の外に行くようにする政策が、結果としてその家の女児が家事をしなければならなくなり、その女児の教育水準が下がり、長期的には女性の地位が低下してしまったという事例などです。
ジェンダー格差は、根本的には、男性は仕事、女性は家事というような人々のジェンダー規範を払拭しなければなくならないようです。ただこのジェンダー規範の払拭は決して不可能なことではなくて、時間はかかるけれども可能なことだと感じました。

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2024年02月02日

Posted by ブクログ

経済学的視点とデータを駆使した的確な分析に唸るものがあった。慣習によるバイアスは男女共にあり、そのしがらみは意識的に取り払わないと抜け出せない。日本が先進国の中で立ち遅れているのは意識改革の遅れでもあるのだろう。

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2023年12月30日

Posted by ブクログ

議論内容はもちろん興味深かったのだが、エビデンスベースの論文の書き方やアイデアを見つける部分により興味がわいた

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2025年01月10日

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淡々とした記述だと感じたけれども、それゆえに小気味よく、ジェンダー格差のありようについて伝えてくれている。
実証経済学については学んではいないけれども、大事な論点は把握できた。
ここで紹介された先行研究の知見について、その解釈のあり方について、ディスカッションしてみるのも面白いかもしれない。

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2025年01月06日

Posted by ブクログ

書いてある内容は、ほぼほぼ納得、ジェンダーに関する議論は、ともすれば、あるべき論や心情論に陥ってしまいがちではないかと思うところ、データできちんと示しているところが本書の特徴、なのかな。
「はじめに」で中絶の論議が代表例としてあげられているように、主義や心情で議論するのではなく、中絶が非合法の地域・時期と合法化された地域・時期を比較したデータから、誰が不利益を受けて、社会にどのような影響があったのかを明らかにしたうえで、その是非を問う、という視点をもたらしてくれる。
途上国の「婚資」について、その習慣がある場合の方が、女性の教育水準が高い、とか、男性の育休が女性の昇進競争力を下げている場合がある、などについては、特に後者は制度の趣旨を外れた運用が悪い、と言ってしまえばそうなんだけど、現実にそう運用されることもあるという事実をちゃんと認識した上で、どう変えるべきか議論しないと、頭でっかちで誰も幸せにならない結論になってしまいそう。

ジェンダー格差による一方の性の不利益は解消するに越したことはないけれど、その目的は、今不利益で不幸せと感じている人がより幸せを感じられること、そのためには、このようなエビデンスを通じた議論が大切だと感じます。
(うーん、なんだか幼い学生さんが書くような結論で、少々恥ずかしい、、、でも、当たり前のことが大切。うん。)

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2024年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ジェンダーとは、社会文化的に意味づけされた性別、名物学的な性別はセックス。
ジェンダー格差を測る指標=世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数。日本は146国中125位。東アジアの中でも最下位。
OECD諸国のうち、4大卒以上の割合が女性より男性が高い国は日本だけ。他の国は、女性のほうが高い。STEM分野(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マス)は特に男性が高い。
政治と経済の分野でさらに順位が低い。

格差があることを好都合と思っている女性もいる。専業主婦は奢侈財で根強い人気がある。

国連開発計画のジェンダー不平等指数だと170か国中22位。

インド農村で、女性の賃金上昇があったため働く女性が増えた。その結果、家事の担い手が女の子に写って教育が減った=将来の男女差を生む原因になる。
賃金上昇は不平等解消の結果、原因ではない。相関関係はあるが因果関係はない。
ランダム化比較試験は人為的に起こすのは倫理的に難しい。外部の要因でおきた区別を利用する。
RCTの限界=倫理的に許されない場合と、介入の内容が小さなことに限られる場合。

女性の労働参加と経済成長貧困削減には正の関係があるが、因果関係とは限らない。経済が発展すると女性の労働参加が増える。
男性は力仕事に比較優位、女性は頭脳労働に比較優位がある。比較優位の言葉を誤用しないこと。
経済が成長すると、頭脳労働が成長する。教育の収益性が高いため女性の教育水準が高くなる。
インドの低カーストでは、しがらみがないため女性のほうがオペレーターなどの新しい職業に就きやすい。その結果女性のほうが教育水準が高くなった。少なくともカースト下位の中では、比較的高賃金。

家電の価格が安くなる(普及する)と女性の労働参加が増える。因果関係があるとは限らない。家庭の豊かさや先進性が第三因子である可能性がある。単に経済の発展に伴って同時に起こっていることかもしれない。
水インフラの発展が女性の労働参加を促したか。これもエビデンスはない。DID(差分の差分法)による分析。

所得と女性の労働参加率はU字構造。所得が高くなると、家庭にいられるようになり、そのうち代替効果から、働くほうが有利になる。日本の高度成長時代に専業主婦が家庭を支えたのと同じ構造。
女性が男性なみに働くとGDPが7%増加するという試算がある。

STEM分野のほうが、給料が高い=女性が就きにくい職業。
衝立を立てて、オーケストラのオーディションをすると、女性の採用が増えた。

クォーター制は政治家では130カ国以上で法的に定めている。ノルウェーでは、経営陣の40%を義務づけた。
有能でない男性議員の排除に繋がる。
女性村長のもとで育つと、抵抗がなくなる=ロールモデル。
リケジョ、イクメン、という言葉が存在することがステレオタイプがある証拠。

アメリカの結婚退職制度の廃止は、公民権法1964年まで待たなければならなかった。アイルランドでも1973年に禁止されるまで存続していた。
先進国では、大卒女性ほど結婚して子どもを産む。離婚しても元の職場に戻れる環境がある。
夫よりも妻が稼ぐようになると、自主的に労働を抑制する。または離婚率が上がる。

結婚持参金(ダウリー)と婚資。
ダウリーは、生計費の持参というよりも、生前贈与の性格もある。インドでは男性の性比が高い。ダウリーの高騰もある。中絶を勧める産婦人科医の広告もある。
ダウリーは禁止されているが実態はある。相続権の補償や就業機会の創出、労働参加などが揃わないと禁止は女性に不利になる。

婚資は離婚への障害、人身売買に近いとして批判がある。が婚資が女性の教育水準を引き上げる=教育を与えれば結婚市場での価値が上がる。アメリカでも1970年代まで、女性の教育は就業のためではなく結婚のためだった。

ピルの合法化は、女性の教育水準を引き上げる。大学進学率が上がり格差是正にもなる。
中絶の合法化で黒人女性の進学率が上がった。犯罪率が下がった。

一夫多妻制のほうが、女性同士の競争があるため多産になる。アフリカの出生率が下がらない原因。子どものコントロールが男性側にある場合は、出生率は低下するはず。
男性が好まれる地域では、教育が高い女性ほど男性の性比が高い=出生前診断で女の子を避ける。
HIVは教育水準が低い方が感染率が高い。

育児休業は女性の負担を減らすか。
男性が育児休業を利用してキャリアを伸ばす、資格を取るなどの例があって、ジェンダー格差の解消には繋がらない例がある。

母になることによる賃金ペナルティー=4%ほどだが、教育水準が低いほど大きい。
三歳児神話は否定されている。

男女間の所得格差は、学歴、キャリアの中断、差別から生まれている。
すでに先進国では学歴の差はない(女性の方が高い)。
セクハラで、賃金水準が下がった職場に移ることがある。男性が多い職場の方が賃金が高いが、セクハラに遭うとそれを避けるため賃金水準が下がる。
通勤時間と賃金の代替水準が、じょせいのほうが低い。
自己評価が低く、賃金の交渉をしない。

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2023年11月28日

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ネタバレ

実証研究のエビデンスをふまえないと、良かれとおもってやった政策が思ってもみないマイナスの効果を生み出すというのは勉強になりました。
ジェンダー規範が女性のエンパワーメントを阻む要因になってるというのが、著書の主張のひとつかな?幸せ=エンパワーメント?人が輝いているのはエンパワーメントを行使しているとき?それだけではないかもとおもったり。専業主婦願望というネガティブなニュアンスをつかったりも。

女性の労働参加が少子化にはつながるわけでも無さそうというのも勉強になった。北欧の統計の例など。

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2024年12月13日

Posted by ブクログ

エンパワーメントとは、自身の人生をコントロールできること。
女性が進路、就職、結婚、出産など、人生の大きな分岐点だけでなく、日常生活のあらゆることに対して、自由に決められ、自己実現を感じられることがメントが実現した状態と言える。女性の意思決定権、自律性、行動の自由、強要からの自由などの指標を上げることができる。自律性とは、他者からの支配を受けず、自己の立てた規律に従って、意思決定・行動することを指す。

男女間の賃金格差は学歴の差だけでなく、好みの問題も入ってくるんだなー。女性は高い賃金より通勤時間が短い方を好んだり、柔軟な働き方を好んだりするんだって。

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2024年02月11日

Posted by ブクログ

ジェンダーによる格差のエビデンスを提示してくれた本。
エビデンスの提示とはこんなに大変なのかと改めて思う。相関関係と因果関係は違う。他の要素を排除した因果関係の証明は難しい。
私たち一般人は、さほど根拠がなくとも、簡単に統計に惑わされるのだが。
研究者たちの努力に頭が下がる。

こんな困難な検証を経て導き出されたいくつかのエビデンスを積み重ね、出てきた最小限の結論、「クオータ制が質の低い女性議員を当選させるのではなく、無能な男性議員排除に繋がる」というのは、大事にしたいし、この結論に胸がすくようだ。

男性も取れる育児休暇制度導入が男性研究者のキャリアにとってのみ有利に働いたというのも、男性が育児休暇中にいかにちゃんと育児をしていないかがわかり、なるほどとおもった。
岸田首相がリスキリングを勧めたのもこういうカラクリなのね。
お父さんたち、育児休暇中は真面目に育児に専念してねー(笑)

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2024年02月05日

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