あらすじ
ワタミ会長 渡邉美樹氏、推薦。「歴史をヒントに、日本経済・復活を予測するユニークな書」
ドリームインキュベータ会長 堀紘一氏、推薦。「日本史の教訓―お金とは『幸せの缶詰』?」
日本経済は1,200年以上前から、内向きな「ヤマヒコ」的価値観と、外向きな「ウミヒコ」的価値観のあいだを行き来してきた。この歴史のリズムから読み解ける、未来の繁栄法則とは何か。著者は、「中国経済の膨張は大チャンス!」と喝破する。「遣唐使、日宋貿易、大航海時代」のお金の動きと現代のそれを比較し、お金の向かう先=繁栄する場を予測し、日本経済を活性化させるためのヒントを導き出していく。その他、大岡越前はケインズだった、信長は天才アントレプレナー、瀬戸内海は「海の高速道路」など、アッと驚く歴史解釈が満載!マネーの動きで日本史を読み解く画期的な書。
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Posted by ブクログ
@fu4 さんの著書。大学受験の時に学んだ日本史の中の経済・金融史の通読をした感じ。面白かった。これからの時代はヤマヒコの時代からウミヒコの時代にスイングするのだろうなぁ。
歴史に学ぶ経済法則として
海の向こうから新しい経済の動きがやってくる
政策の効果が予定通りになっていることは少ない
お金の流れの方向を見極めよ
負のエネルギーが経済を動かすリスクに気をつける
人気取り政策は政権が弱ったときに登場し経済を混乱させる(亀井。。。)
ヤマヒコの時代は東、ウミヒコの時代は西が栄える
見えない資産の力を理解する
政治がらみのビジネスには危うさがある
リーダーが組織、時には歴史を動かす
日本人のDNAには冒険者の血が流れている
ヤマヒコ、ウミヒコそれぞれの時代で成長産業は違う
自分のお金が社会を動かすことを意識する
赤字は組織をおかしくする
ビジネスを傷つける政策リスクを警戒すべし
政府を信じてはいけない
禍福は糾える縄の如し、混乱のあとの発展に注目
相場の怖さを認識する
株取引に真面目に向きあえば利益を出せる
公共財のマーケットを正しく使う
集権、分権のプラスとマイナスを見極める
僕が一番気になったのは、221ページで紹介されている村口和孝さんというかたがやってらっしゃる模擬店で小中学生に擬似会社を経営させるという金融教育。ちょっとしらべてみようかな。
Posted by ブクログ
ひふみ投信の藤野氏の著作。
純粋な歴史学ではないことを最初に頭に入れておかないと、かなり違和感があるかもしれない。
しかし、経済・経営・金融の視点で日本史を概観する試みはとても面白く、日本の歴史を外向きな「ウミヒコ」の時代と内向きな「ヤマヒコ」の時代がスイングするものとして捉える考え方も、少々乱暴ではあるが(歴史学として賛同できるかは別だが)主張の展開としては興味深い。
純粋な歴史本というよりは、著者自体も注目するように(著者がファンドマネージャーなだけに)マネーに関わる本といえる。その意味で史論ではなく試論、史観ではなく私観の本。
単純に知識として知らなかったことも多く、ずいぶんタメになったと思う。また日本人は歴史上ずっとコツコツ農耕型の民族であったわけではないとの主張や、中国との関係など納得できるところが多かった。
後半部分は歴史というより投資本の主張になっているが、日本人の商売意識について触れられ、われわれ日本人は何のために働くのかなど共感できる部分も多かった。
クセはあるが、よい試みの本だと思う。
Posted by ブクログ
ホリエモンブログで紹介されていたし、日本史を多面的に勉強しようと思っていたので読んでみた
どんな本か
金融や経済の視点から日本史を解釈しなおしてみるとどうなるか、という趣旨の本
専門家ではないので解釈重視とし、著者は投資上の指針として「大局観」を持つべき、としており、そのために日本史を参考にしている
その参考にするときの、著者の解釈を紹介しようというんだ
解釈の特徴
よって本書の特徴=解釈の特徴ということになる
では本書の解釈の特徴とは何か
「日本の歴史は以下の2つの時期の間をスイングしていると解釈する」
ところにある
・「ウミヒコ」的(=冒険的、開放、自由、経済・金融に積極的、海外を志向する)の人々が力を持つ時期(遣唐使、平家、戦国時代、明治維新、中国の力が強いときに力を持つ)
・「ヤマヒコ」的(=保守的、規制強化、経済・金融を忌避する傾向、国内を志向する、中国の力が弱い時に力を持つ)性格の人々が力を持った時期(源氏、江戸時代、昭和~現在)
翻って、現在、日本では、
「日本人は元来、農耕民族だから保守的で内向き志向が強い」
よって
「それは良くないから外に出よう」
とかもしくは
「だから日本人はダメなんだ」
とかいう言論を良く聞く
だが、長期的な視野に立って日本を見てみると保守的で内向きな「ヤマヒコ」的人間ばかりではなく、冒険的で自由な「ウミヒコ」的人間も多かったことが分かると言うんだ
本書の結論
本書は以上のような解釈を、実例(「遣唐使」や「戦国時代」、「明治維新」など)を紐解いて説得力を増すことに成功している
そして、その解釈を元にして、「ウミヒコ」「ヤマヒコ」のどちらが良い悪いと言うことではなく、ただ
「そういう流れが日本史にはあるんじゃないの?そう考えると投資に使えるんじゃないの?」
と言っているんだ
つまり、
「そういった流れの中で現在がどういう状況で次がどうなるのかを見極めるべきだ」
と言っているんだ
まとめ
日本史解釈から離れた最後の章では、現状は「ヤマヒコ」的政権であり、しかもその弊害が大きく出てしまっている
だからこそ、
「グローバル化の波が押し寄せている現在の日本は海外を志向し経済・金融に積極的な「ウミヒコ」的政策を打ち出していくべきだ」
という、著者の意見が前面に出ている
しかし、著者は悲観論者ではなく、「ヤマヒコ」的政権からの揺り返しが起き、「ウミヒコ」的政権に移っていくだろうと楽観視しており
その変化を早めるために本書を書いた、と著者は述べている
感想
実は
「日本人は元来、農耕民族だから保守的で内向き志向が強い」
よって
「それは良くないから外に出よう」
とかもしくは
「だから日本人はダメなんだ」
ということを考えているのは他ならない自分だったりしたのだけど、この本を読んで悲観することは無いのかもしれない、と思い直すことができた
だからといって現状の日本を楽観視することは僕にはできないが、それでも長期的視点で見ればまだまだ希望があるのかもしれない(もしかしたら一旦破綻するのかもだけど)、とそう思わせてくれる本だった