あらすじ
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早くに父を亡くし、母とも離れ離れになっ た、兄と弟。アンパンマンの作者やなせたか しが弟・千尋との思い出を綴った幼物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
朝ドラから、弟の人生について気になって選書。
やなせさんと弟の日常の思い出や、生死について深く考えさせられた。
当たり前だと思うことが当たり前ではないことを
感じながら生きなければならない。
Posted by ブクログ
先日高知県のやなせたかし記念館に行った時に 何冊か買った内の1冊で、近くの本屋で買えばいいのになんとなく高知県で買いたかった笑
NHKの朝ドラ「あんぱん」の内容と、当たり前ながらリンクする部分もあり、どハマり中の私は読みながら「千尋...」と悲しくなった。
「たら」は考えても仕方がないけど どうしたって考えてしまう。
もしもお父さんが生きていたら
もしも弟が生きていたら
もしも戦争がなかったら
ただそうなると、アンパンマンも生まれてなかったかもしれないな、となんとも複雑な気持ちになる。
Posted by ブクログ
朝ドラ「あんぱん」を観て、おとうととの詩集があることを知り、さっそく購入した。本の紹介には「18編の絶唱」とある。22歳で海に散った弟を、詩と絵で綴ったものだという。
まず表紙の絵に、胸が締め付けられる。弟がもういないことへの悲しみが伝わってきて、思わず涙が出る。兄弟って、小さいころは絶対的に年上の子が大きくて、下の子は頼りなく小さい。この表紙のように、はっきりとした身長差がある。下の子は、なんでもできるお兄ちゃんやお姉ちゃんを見上げて、絶対的な信頼を寄せ、頼りにしているものだ。やがて成長して、下の子が上の子の身長を追い越したり、立場が逆転することもあるけれど、この年齢差からくる身長差は、幼いころ特有のものだと思う。うちにも、姉が弟を抱っこしたり、おんぶしたり、ミルクをあげたりしている写真がたくさんある。でも、今では弟の方が大きくなって、そんなことはもうできない。小さいころだけに見られる、兄弟の貴重な光景だ。
この本には、弟とのかわいらしい思い出や、兄弟ならではのしがらみに対する悔恨も綴られている。
*「ぼくが妹だったら、兄ちゃんはよかったかな?」(子どもの頃、体が弱くて女の子の恰好をしていた千尋のことば)
*「兄ちゃんといっしょでなければいや。」(伯父夫婦の養子になった弟。兄の崇だけが独りぼっちにならないよう、いつも一緒を望んでいた)
*よく並んで川のそばでおしっこをしていて、弟の大事なところが腫れてしまったという、微笑ましくも不思議な幼い頃の思い出
*ちゃんばらごっこをしていて、外敵が襲ってきたら、弟は絶対に自分の味方だったという、二人の絶対的な信頼関係
*兄の劣等感から、ふざけ合いが狂気のようになり、弟を背負い投げしてしまったことへの後悔。やがて兄弟の差がなくなり、弟に追い抜かれるかもしれないという複雑な感情
*伯父夫婦の子どもとして違和感なく暮らしていると思っていた弟の本から出てきた、たった一枚の本当の父親の写真
*懸賞金を一度だけ分けてあげたこと、そして弟が「すまんな兄貴、また頼むよ」と言ったこと。またはもうなかったこと。もっと弟を喜ばせたかったという、消えない後悔
*弟が自慢だったけれど、心の底には嫉妬もあったこと
*戦争で、パシー海峡の珊瑚の海に散ってしまい、木札一枚になってしまった弟のこと
最後に、やなせたかしさんによる「おとうとものがたり」へのエッセイが載っている。心の奥の寂しい部分がぎゅっと締め付けられるような、やりきれなさ、やるせなさが綴られている。戦争で弟を失い、帰ってこなかったことへの無念が、ひしひしと伝わってきて苦しくなる。戦争は、絶対にあってはならない。それだけではなく、もし家族で仲たがいしている人がいれば、後悔のないように、日々の関係を大切にしてほしい。そんなことを、たくさん考えさせられる詩集だった。
絵がとても素敵なので、何度でも読み返したくなる。そして、読むたびに涙ぐんでしまう。
Posted by ブクログ
扉に書かれた「弟よ 君の青春はいったいなんだったのだろう」という言葉が、じわじわと心に染みていく感じがしました。
淡々と綴られた詩のなかに、やなせたかしの生い立ちが書かれ、弟への思いがあふれていました。
事実があまりにも悲しくて、余計な言葉はなくてもその思いが伝わってきました。
「戦争は大嫌い」と公言していた理由が、よくわかりました。小さくてかわいい弟、大きくなってからの弟。どちらもやなせたかしにとっては、大切な弟だということが、すごく伝わってきました。
カラフルなアンパンマンも大好きですが、この本の白黒のイラストも、とてもよかったです。
〈目次〉
父の死
母とのわかれ
夏の川で
赤い着物
坊ちゃんの兄
朝やの星
シーソー
はれたオチンコ
道信山の夕やけ
背負い投げ
父の写真
ただ一度の小づかい
スケッチボックス
風の中
小さな木札
珊瑚
海彦・山彦
墓前で
僕と弟
初出一覧
やなせたかし年譜
Posted by ブクログ
やなせたかしさんの絵と詩は、子供の頃から好きだったけれど、この詩集の存在は初めて知った。
弟さんへの愛情、思慕、悔いがヒシヒシと伝わってくる。
やなせさんの詩と絵が、細かな憧憬を思い起こす。
弟さんが亡くなってからの長い、70年弱の時を辛い思い、温かな思い出を心にしまいながら生きてきたのか。
今、あちらで再会出来ているだろうか。
どうか、そう思う。
Posted by ブクログ
うっかり電車の中で読み始め、涙が溢れて困りました。
やなせたかしさんの、素直な気持ちがそのまま言葉に。弟と交わした時間。苦しいけれども、そのストレートな愛に、どこか寂しく、どこか心あたたまる詩集でした。
Posted by ブクログ
朝ドラ『あんぱん』にどはまりしてしまい、購入しました。
弟の千尋さんとの幼い頃の思い出。
二人にしか分からない寂しさとそれを乗り越えた兄弟の絆。
涙無くしては読めませんでした。
やなせたかしさんの人生がギュッと詰まった一冊だと思いました。
ドラマもより深いものにしてくれるなと感じました。
Posted by ブクログ
アンパンマンが子ども達を魅了するのが不思議でした。アンパンマンを生み出したやなせ先生はどんな人なのだろうかと思って読んでみました。悲しいことやつらいことや寂しいこと…幼少の時からいろんな体験をされたから優しい世界が創れたのかなぁと思いました。
戦争がなければ、弟さんが生きていれば…どうしようもないことだとわかっていても、思わず考えてしまいました。
Posted by ブクログ
大好きなやなせたかし先生と弟さんとのエピソード。生い立ちと戦争と今と。
私の祖父の今際の言葉によく似た一文、驚いた。
「過ぎてしまえば人生も夢と同じだ。どこまでが夢で、どこまでが現実なのかわかりにくい。」
どうしようもなく先生の言葉に惹かれるのは、幼い頃遠くに行ってしまった祖父と似たものを感じるからなのか。
Posted by ブクログ
人生に「たら」はない
過ぎてしまえば人生も夢と同じ
過去は自分の主観でしか振り返れない。
弟への想い、周りへの想い
後からじんわり沁みてくる。
柳瀬さんの悲しみに
柳瀬さんの愛の深さに
朝やになったような気持ち。
アンパンマンの世界を描く人が
見た世界を知りたくて
軽い気持ちで手に取ったのに
読み終わって本を胸に抱きしめた。
R.I.P
Posted by ブクログ
白黒でかかれた やなせ先生の温かい絵
弟を思った 詩には鎮魂と反戦の響きがあります
やなせ先生は 生前は出版するつもりはなく
これは 没後本にされたものだそうで
大事な大事な思い出だったんでしょうね
Posted by ブクログ
朝ドラの「あんぱん」に出てきた
幼少期の嵩と千尋の場面が浮かんできました。
複雑な家庭環境の中、戦争も体験し
眩しかった弟への愛と、ちょっぴり複雑な思いとが赤裸々に綴られていました。
Posted by ブクログ
「アンパンマン」の作者で有名なやなせたかしが弟を回想してつづった短いエッセイ。わかりやすく簡潔な言葉の中に彼自身の壮絶な生い立ちや亡き弟への思いがあふれている。
Posted by ブクログ
著者は多分、死ぬまでずっと父と母の思慕(特に5歳の時に外国で亡くなった新聞記者だったという父親)と弟、千尋のことが胸にあったんだね。
あの戦争で亡くなったしまった優秀だった弟。
弟は伯父の養子として伯父夫婦の部屋で3人で寝て、著者は玄関脇の部屋に親戚筋の書生と一緒に寝てたとか、
それを不憫に思った若いお手伝いさんの朝やがみんなが寝静まった夜更けにおんぶして駄菓子屋さんに連れて行ってくれたこと、その朝やの背中で見た空いっぱいの星のこと、
このエピソードを読むと胸がきゅんとなるよ。
今ごろは天国でお父さんや千尋と再会して、アンパンマンが大人気で朝ドラにもなったことなど話してるかな。
Posted by ブクログ
6年生のやなせたかしの教科書に載っていた話を機に読んでみました。教科書の内容よりも詳しく、弟への愛情が伝わってきました。子どもには読んでないけど、自分の理解が深まりました。
Posted by ブクログ
切ない。
でも、切ないだけじゃなくて、弟を思いやる気持ちや、いつまでも仲良く一緒にいたかったと慕う気持ちが伝わってきて、じんわりあたたかい気持ちにもなった。
大切な人を、きちんと大切に思って生きていこうと思わさせられた。
Posted by ブクログ
朝ドラのあんぱんを見て読んでみました。たったひとりの弟への愛情が感じられました。あんぱんまんにでてくるキャラクターのなかにも千尋さんが反映されているのかもしれませんね。やさしさを分けあいながら生きてきた2人。戦争がなければおじいさんになるまで語り合えたのかもしれないと思ったら、やっぱりくやしいです。
Posted by ブクログ
やなせ先生が亡き弟さんへのレクイエムとして書かれた詩集。
朝ドラ『あんぱん』がきっかけで、こちらの作品に出逢えた。
「母とのわかれ」「シーソー」は朝ドラそっくりの内容。ドラマ制作者の方がこの作品を参考にしたのだろう。
幼い頃のやなせ先生と弟さんの姿はとても儚げで心細そうで、見ているだけで切なくなってくる。
やなせ先生の弟さんへの複雑な想いが文面から伝わってくる。お兄ちゃんって色々ツラいんだね。
きっと今頃、あちらの世界で弟さんと再会できましたよね。アンパンマンをヒットさせて有名になれたことを弟さんに自慢してほしい。
久しぶりにあの頃に戻って、2人でシーソーをギッコンバッタンさせているかな。
Posted by ブクログ
たまに戦争を体験した方の体験を学ばなければと思うことがある。
何と言えない気持ちにはなるんだけど。。
気がついたらやなせたかしさんがお亡くなりになってもう10年も経つんですね……
時の流れはあっという間です。。
色々なもの、よいものも悲しいかこも風化させたくないですね。
Posted by ブクログ
アンパンマンのマーチ
作詞:やなせたかし
作曲:三木たかし
歌:ドリーミング
そうだ!嬉しいんだ生きる喜び
たとえ胸の傷が痛んでも
何の為に生まれて 何をして生きるのか
答えられないなんて そんなのは嫌だ!
今を生きることで 熱いこころ燃える
だから君は行くんだ微笑んで。
そうだ!嬉しいんだ生きる喜び
たとえ胸の傷が痛んでも。
嗚呼アンパンマン優しい君は
行け!皆の夢守る為
何が君の幸せ 何をして喜ぶ
解らないまま終わる そんなのは嫌だ!
忘れないで夢を 零さないで涙
だから君は飛ぶんだ何処までも
そうだ!恐れないでみんなの為に
愛と勇気だけが友達さ
嗚呼アンパンマン優しい君は
行け!皆の夢守る為
時は早く過ぎる 光る星は消える
だから君は行くんだ微笑んで
そうだ!嬉しいんだ生きる喜び
たとえどんな敵が相手でも
嗚呼アンパンマン優しい君は
行け!皆の夢守る為
またこの歌が頭をぐるぐるする。
「アンパンマンのマーチ」は弟に向けて作ったんじゃないかと一部で言われているが、やなせさんは別の著書で、"ぼくはそんなつもりはなかった"と言っているそうです。
『おとうとものがたり』を読むと、この歌詞は、やなせさんご自身を励ます歌だったんじゃないかと思いました。
壮絶な幼少期を過ごし、父も弟も早くに亡くしたが、やなせさんは94歳没と長命だった。おとうとものがたりにある思いを持ちながら、これほど長く真摯に人生に向き合って生きたことを思うと胸が締め付けられる。ますますアンパンマンのテーマはやなせたかしさんご自身を鼓舞する詩だったんだろうと思わずにはいられない。
嵩さんは、弟の千尋さんと天国で出会えただろうか。
海彦山彦の新たな神話となるような兄弟の実話でした。