あらすじ
学生はワンコインで食べられる夜食専門店。痩せて可愛くなりたい若葉、何を食べてもおいしくない学年トップの小春、オーガニック料理だけで育った凌真......。悲しみや寂しさを少しずつ消化できるように、店主の朝日さんは愛情を込めた一皿をつくる。孤独な心に力が満ちて、止まっていた時間が動き出す。世界一優しいお夜食で再生していく感動作。
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Posted by ブクログ
この世で一番あったかい料理は「夜食」。なるほど、朝昼夕食の習慣的なご飯と違って、夜食は相手を慮ってつくるもの。
作中に何度か出てくる「食べることは生きること」ということばは、食べるという行為が、単に胃を満たすだけでなく、心や人生を豊かにするもの、という意味合いで用いられているのだけれど、それはつくり手の思い、愛情がちゃんと食べる者に伝わってこそのこと。完全無添加自然派の手作りおやつ、罪悪感からの冷蔵庫いっぱいのお菓子や子供が好きな高カロリーメニュー。誰かのために良かれと思ってやっていることは、自分よがりになりがちで、とかく裏目に出やすい。対話の重要性。
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とても心温まる優しいお話でした。
所々に出てくるお料理のレシピのようなくだりも実際に匂いが漂ってきそうな描写に空腹感を掻き立てられました。
人は様々な思いを抱えて生きていることを良い意味で改めて思い知るキッカケになった作品でした。
朝日さんのような人が身近にいたなら幸せだろうな…とそんなことを染み染み考えました。
どんなことも笑って吹き飛ばしてしまうような大きな愛ある人に私もなりたいな、と純粋に思いました。
匿名
続きも購入します
心があたたかくなるお話でした。
様々な事情や環境で心身共にくたびれた人たちが足を止めてしまうお夜食屋さんがあって、主人公が様々なお客さんを通して自身の辛い経験を乗り越えるための準備をしたり成長して前進したりしていく姿が良かったです。あとは、心を一息つかせるようなご飯を食べたくなりました。
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食に関する(親問題も含めて)トラウマ?なお話をやさしく解きほぐしていく作品。本書は私にとって親関係でとてもとても共感してしまいました。泣きたくなるくらいに。最後のひと文でもうないてしまっていましたが…。これは最後の一文ではないですが、″この世でいちばんあったかくて優しい食事は『夜食』だと思うから″この言葉にすごく救われた私がいます。
やっぱり、何か抱えてる時には少しでもいいから何か口にしてみるのがいいのかもしれませんね…。悲しみは、悲しみの塊のままじゃ、いつまで経っても消えない。そのままじゃ消化できないんだ、のくだりの文章はとても納得してとても心に響きました。
食べると生きるはイコールなのですね…。
とても共感して読めました。
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つらくて、悲しくて、優しいご飯を求めている人がふと誘われる、あたたかい『お夜食』を出してくれる料理屋さんと、そのお店に誘われた女の子の物語です。
主人公は、志望校に合格できず、受験を失敗したことを引け目に感じている高校一年生の女の子。自分のせいで家の中はぎくしゃくし、せめて大学受験はがんばらなければと必死に勉強をするも、学校の部活や友人関係はうまくいかず、家族との関係も悪くなっていくばかりで、毎日の塾通いも嫌になっていってしまう。段々食べるごはんまで味を感じなくなってしまっていったある夜、『お夜食処あさひ』に誘われて、自分のためのお夜食を作ってもらうことに。
そのお店にやってくるのは、常連さんの他に、特別に『誘われた』人。ダイエットのために「食べたくない」女の子、健康志向の親に普通のお菓子を「食べさせてもらえない」男の子、愛犬を亡くした悲しみで「食べられなくなった」男の人。さまざまな人の気持ちにそっと寄り添う、優しくてあたたかいその人のためのお夜食を通して、ほっとお腹の中が温まるような話が続く。
作中で、『本当の夜はこれから始まる』というようなフレーズが何度かあるのだけれど、この言葉だけを見ると『本当の夜』⇒『辛くて苦しい暗いもの』というイメージを思い描いてしまいそうなところ、この作品では『ぽっと灯りがともるような優しく包み込んでくれるもの』という位置づけで描かれているのが印象的です。
寒い夜、眠れない時に誰かが作ってくれた優しい味を思い出します。
お話自体は淡々と進むため、起伏は少なく感じるかもしれませんが、とても優しく染み入る作品でした。
作中で出てくるお夜食レシピ、私も真似したいと思ってしまいます。
誰かに優しくしてほしい時、誰かに優しくできなかった時、そっと読み返してみたい一冊です。
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「ごはん」という文字を見てから気になっていた作品。
表紙の絵が可愛らしくて、また帯には青春物語とあって、手に取るのを躊躇していたのですが買ってしまった。
でも、買って読んで良かったと思っています。
ネタバレになるので詳しくは書けませんが。
舞台は、「お食事処あさひ」お夜食を出してくれます。
そこに各々の事情で「食べたくない」「食べちゃだめ」「食べてみたい」「食べられない」そんな思いを抱えた人がやって来ます。
辛く、心の奥で凝り固まった気持ちを店主の差し出すお夜食で優しく解いていきます。
似たような設定の作品はあるかもしれませんが、描かれている店主の人柄が良いです。私は好きですね。
また、作られるお夜食も、真似したくなるくらい簡単に作られるものが多くて勉強になります。
読み終わる頃には、簡単でも良いので、義務感ではなくて食べてくれる相手を思って楽しく料理をしたいな~と思いました。
来年の春に続巻が出るようなので楽しみです。
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電車遅延して、本もってなくて買った本。
こんなにあたたかい気持ちになるとはおもわなかった。
「手作りで、できたてのあたたかい料理だけが人を救うわけじゃない。そのとき、その人によっていちばん必要な食べ物こそが人を救う」
この表現が、料理できなくても冷凍とかお菓子でも
いいんだって思える。
人のためにつくるごはんってどうしてこんなにあったかいんだろう‥
自分のためにつくるごはんもあったかく思えたらいいな。
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読み終わったと言うより
聴き終わった。
オーディブルで聴きました。
色んな家庭の色んな状況。
人から見ると良さそうでも
本人にとっては苦しいこと。
隣の芝は青く見えるに近いのかな。
家族でもやっぱりお互い気持ちは伝えないと
伝わらない。
食を通じて色んな物語が広がっている
そんなお話しです。
Posted by ブクログ
食べることは生きること。それを出来なかったり、味がしなくてただの作業になったりなどとても辛いと思う。
店長さんも過去に色々ありそうだから気持ち分かるんだろうな。だから受け入れて手を差し伸べられるのだろうな。
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オーディブル
『何か困っていますか』
本文より、心に残った言葉。
「大丈夫ですか?」と聞かれたら大丈夫ではなくても「大丈夫です」と答える。
条件反射的に答えてしまうけど助けてあげたい時役に立ちたい時は何か困ってますか、ですね
Posted by ブクログ
飯テロ小説かと思いきやストレスからの味覚障害、過剰なダイエット、自然食盲信、拒食症と割と重いテーマだったけどそれぞれを解きほぐすのが良い感じ(*´ω`*)
最後小春が親と分かりあえて大団円なのは感動したなぁ…
最後の続刊予告が嬉しいです(*´ω`*)
Posted by ブクログ
小学生の男の子にふかし芋とおからクッキーはちょっとねぇ〜、ダイエット中の女性ならいいかもしれないけど。小学生男児が身体に良いからとそんなものばっかり出されても。子供が可愛いからこその親の愛だとは思うけどそれで歪んだ欲望ができて万引き未遂になっては本末転倒。
小春のお父さんでモラハラ夫だね。典型的な仕事第一の人だったみたいだけど「家族の枠からお父さんが外れる」なんて表現されちゃう家族観を作り出してどうなのよ。
Audibleで聞きました。最近観た映画に出てた河合優実さんがナレーターで楽しめた。
Posted by ブクログ
料理には人をあたためる素敵な力があることを実感した。「生きることは食べること、食べることは生きること。」食事は人を救う。これから食事は大事にしていこうと思った。
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食に対してそれぞれの悩みを持つひとたちが、食べることで一歩踏み出す物語。
料理に対する悩みへの答えが、人生の悩みに背中を押してくれる言葉にも感じて何度かはっとされられた。
疲れたときはこの本をひらいて、何度でもお夜食処あさひへ行こうと思います!
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商店街に佇む夜食専門店の「お夜食処あさひ」
ここに吸い込まれるのは、食にまつわる様々な悩みを抱える人々。
「食べたくない」「食べちゃだめ」「食べてみたい」「食べられない」「食べてほしい」
食べることに様々な想いを抱え、悲しみや寂しさを抱えて寒く固まった心に、お夜食処で作られた心のこもった一皿が深く染み入る。
食べることは生きることにつながるからこそ、そして自分の心も食べたい食べたくないという気持ちと結びつくからこそ、食に対して様々な悩みを抱える人が多くいる。
そんな中、自分のために考えられた温かいごはんを食べることで、止まっていた時が動き出す。そして一歩踏み出すことで、闇に染まった夜から温かみのある灯火が灯り、前を進む活力を得られる。そして自分の進みたい道へと足を踏み出していくのだ。
あたたかな未来へ進む、希望あふれる小説だった。
Posted by ブクログ
私が大好きな作家さんの一人、汐見夏衛さんの作品。
料理の描写が読んでるだけなのに凄く美味しそうで私もついついお腹がすいてしまいそうになりました(笑)
「食」にも、食べたくない、食べちゃだめ、食べてみたい、食べられない、食べてほしいと色々ありその度に出てくる料理と朝日さんの言葉にホッコリしました。
暖かい作品です。良かったらみなさんも。
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Audibleで。これって虐待なんだろうなあ、と思って聴いた。冒頭は暗すぎて、疲れた帰宅時に聞くのが辛かった。もう再生を止めようと思ったところにあさひさんが登場してくれたので聞き続けられた。『ごはんを最後まで食べきるまで家に入れない』とベランダに出されたことも描かれていたが、最後のお母さんとの和解では取りあげられてなかった。ここはどう説明するのだろうか。更年期のせいにしてほしくないなあと思ってしまった。今はいい治療もあると思うけど。。面白かったです。
Posted by ブクログ
読み始めてすぐに読みやすい文章というのが真っ先に感じました。そして情景も伝わりやすいです。
各章でそれぞれの登場人物の物語が展開されるという構成でどの話も良いのですが、個人的には第二章の話が好きです。食べ物を扱う場面でのザワザワ感から心の辛さを打ち明ける場面に思わず頑張ったねと思ってしまいます。
私も料理が好きなので料理の参考になる内容があるのも嬉しいところでした。続編も出るとのことで楽しみです。
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お母さんに失望されたくなくて頑張る勉強。高める成績。テストの点数。体型で嫌われたくなくて我慢する食事。人との会話。自分の心を殺すせいで上手くいかない人生。自分と重なることが多くてすごくグッときた。辛い時いつも救ってくれるのは自分を想って作ってくれたおばあちゃんやお母さんの優しいごはんだったなって思った。
Posted by ブクログ
泣いた。
ジブリの猫の恩返しのような、繁華街にひっそりと佇む一食100円の夜食食堂には、今夜も「呼ばれた」人たちが温かい優しさに包み込まれにやってくる。どれもじんわりと心に沁みるストーリーばかりで涙腺が緩んだ。予想外で嬉しい誤算だ。
── 食べ物と同じように、悲しみも咀嚼して、反芻して、消化して、吸収しないと自分の中に取り込めない。
あぁ、うまい言い方だなと思う。
たとえ逃げ続けて時間が経ったとしたも、月日は悲しみを癒やしてくれない。噛んで噛んで、少しずつ消化するんだね。たぶんそれが、成長と呼べるもののひとつなのかもしれないな、と思った。
食べることは生きることだとしたら、悲しむことまた、生きることか。嬉しいことは…デザートかな?
さよならごはんという妙なタイトルの響きが、読み終わった時にはスッと入ってくるような心地よさだった。
いま見ると表紙の絵までがジブリっぽい。ややダサくもあるが。
思わず周囲にも勧めたくなる一冊。
Posted by ブクログ
恋愛小説で有名な汐見さんの新作。いつもとは違った視点のお話で面白かった。しかも直筆サイン入り!!こんな夜食屋が近くにあったら、毎日通って癒されたい。
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神谷小春
高校受験で志望校に落ちた。一年生から塾に通っている。何を食べてもおいしいと思えない。食べ物の味が分からなくなった。陸上部を辞め、塾も休み、朝日の店でバイトを始める。
田辺
若い女性の英語講師。
秋奈
姉。幼いころから優秀。
朝日
学生はワンコインで食べられるお夜食処あさひの店主。
青木若葉
物心ついたころからずっと、太っている。
小林りりか
若葉の隣の席。
結衣
若葉とクラスでいちばん仲良し。
早川
若葉と同じクラス。野球部のキャプテン。
若葉の母
看護師。
凌真
オーガニック料理だけで育った。
凌真の母
陽太
凌真と同じマンションに住み同じ小学校に通っている同い年の友達。
琉斗
マンションの近くに住んでいる同じクラスの友達。
チャッピー
ミニチュアダックスフント。
笹森
大切な家族(チャッピー)を亡くし、食事が喉をとおらない
小春の母
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温かい話だった。
私は、もともと食が細い。子どもの頃は本当に食事が苦痛だった。
年頃になると過度なダイエットと勘違いされて面倒なので必死に食べた。中高生の頃はそれなりに食べれるようになったが、それは努力の上にあった。
痩せてるけどちゃんと食べる…は好感度高い。が、痩せてて食が細い…はみんな必死に食べさせようとする。食が細い悩みは、ほとんどの人に羨ましい悩み、贅沢な悩みに変換されてしまう。
食べることは生きること。
でも、食べれないことも受け入れてくれる、そんな温かい本だった。
いつも給食を半分以上残していた私にとって、今この瞬間も餓死しているアフリカの子どもたち…と学校での授業やテレビ番組は私を苦しめた。食べられない罪悪感。恵まれているのに罰当たり。完食することの美学に反するマナー違反。わがまま。
第5回公認心理師の国家試験で出た、「痩せたい」から食べないわけではない摂食障害に関する出題。専門家の中でも摂食障害は痩せたい人のもの…と思われがちだが、そこに一石を投じる良問だった。
食に対する意識が少しずつ変わってきているように感じる。それとも生きやすくなったのは大人になったからだろうか?