あらすじ
元関取が愛宕(おたぎ)市内で突然暴れて多くの死傷者を出し、精神科の入院歴が問題にされた。他にも事件を起こした元患者たちが揃って直前に行方不明になっており、精神科医の鷲谷真梨子は患者の話から監禁に使われた小屋を探しあてた。が、事件の鍵を握る医療ブローカーと小屋を監視していた刑事2人が殺される。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
映画化もされた首藤瓜於による「脳男」の続編上巻。
本作は全3章に分かれているが、第1章は前作「脳男」の主役ともいえる鈴木一郎は出てこない。準主役級の土屋もそれほどの活躍もせず、どちらかというと真梨子が主役的な扱いを受けている。一方で、謎の人物によるモノローグが随所に差し込まれ、物語に奥行きを与えつつ、一方で読者を混乱に陥れる。
精神病院に通院記録のある人物による事件が頻発するようになったことで、そこから事件の裏にある背景を探ろうとする茶屋と真梨子。しかし、あと少しで届きそうなところですべての鍵を握っていそうな人物が殺され、捜査は混迷を極めていく。
上巻を読み終えた段階ではまだまだ謎は謎のままで、第2章から鈴木一郎も登場するが、その目的もその行動が意味するものも全くの謎のままだ。続きが気になりながらもその重量級のページ数に圧倒されつつ、読むことになる。それもまた楽しみの一つかも。