あらすじ
ワインバーグは「テストとは、製品の品質についての情報を収集し提供することである」と説いています。テストの結果は幾通りもの解釈が可能であり、とかく人は置かれた立場によって、自分の都合の良いように考えてしまいがちです。
そうした「人間の甘さ」にくぎを刺しながらも、テストの難しさを自らが一番良く知るワインバーグの、エンジニアへの愛情が感じられる一冊です。
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Posted by ブクログ
現在も闘病生活が続く G.M.ワインバーグの、日本最新刊。例によって邦題は意味不明だが、原題は "Perfect Software and other illusions about testing"。
テストは(ソフトウェアに関する)情報を得るため手段であると定義し、ワインバーグらしく、情報を受けとる側の「人間の問題」にまで踏み込んで、テストにまつわる様々な問題や誤謬をあきらかにしていく。もちろん、システム開発をやっている人間には判りきった話なのだが、それを「判っていない人」に説明するためにはワインバーグの助けが必要だ。
特に日本のソフトウェア業界は高い品質が求められ、金融機関や交通機関がシステムトラブルで機能停止するたびに、システム屋は非難の矢面に立たされてきた。台風で電車が止まるのは仕方がないが、システムのバグで電車が遅れるのは勘弁ならんというわけだ。そして、その度にもの知り顔で、ソフトウェア開発のプロセスに問題をがなかったかどうかを語る輩があらわれ、やがて過剰なコストを払って、過剰な品質のシステムを作るハメになる。もちろん、障害を起こしてはならないし、そういうことがないように最善の努力を払うのはもちろんだが、もうそろそろ、一定の確率でシステム障害は起きるものだ(ので、リカバリー手段を考えて行動した方がいい)という認識を世間が持ってもいいころだと思う。