【感想・ネタバレ】伝わる・揺さぶる! 文章を書くのレビュー

あらすじ

お願い、お詫び、議事録など、私たちは日々、文章を書いている。どんな小さなメモにも、そこには読み手がいて、目指す結果がある。ではそのような場面で、どうしたら誤解されずに自分の思いを伝え、読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?著者は長年、高校生の小論文指導に携わり、現在は糸井重里氏のサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』で「大人のための小論文教室」を連載し人気を博している。本書では「意見」「望む結果」「論点」「読み手」「自分の立場」「論拠」「根本思想」の七つの視点から、よい文章を書くための戦略をアドバイス。「自分の意見が見つからないときは、小さな問いを立ててみる」「テーマと論点の違いを意識する」などのユニークなノウハウを、具体的な文例を紹介しながら、解説していく。単なる文章のテクニックをこえ、自分の頭で考え他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、コミュニケーションの本質に迫る一冊である。

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Posted by ブクログ

ネタバレ


中学や高校時代に、
授業中に思わず前のめりになるような、
おもしろい話しをする先生に出会った経験は、
誰にでもあると思う。

ズーニーさんの本を読んでると、
その感覚に近いものを呼び覚まされる。

久しぶりの感覚。

なんかの「心の奥のボタン」が押され、
新しい感覚が芽生えるというか…。


「なぜ」が小論文の核心。
小論文とか何か?の問いの答えの最大公約数。
「なぜ」は小論文のはじまり。
「なぜ」を考え、「なぜ」を書く。

小論文と書くから固く聞こえるが、
結局は、
文章を書くことは、発信すること。
意見を。考えを。
自分の根本思想。
「根本思想」を深く掘り下げ、
分け入って分け入って「自分の核」を見いだす。
これだ。
104ページの根本思想の章は、心に響く。

引用

想いに忠実であること
文章で大切なのは、自分の根っこにある気持ちや生き方にうそをつかないことだ。
嘘をつけばバレる。言い切れないから。
文章は、この点で甘くない。自分の生き方にうそのない文章を書くことは、実は最も有利な戦略なのだ。


「考える」
自分の頭で、本気で「考える」
これをやっていない人が多く、そう言う人の文章は、何も伝わって来ない。との事。
確かに。
この「考える」を、本気でやり切っているか?
出し切っているか?
迫ってくる。



多角的に考える、問題を多角的に見る方法
これも参考になったので、ここに書き留める。

1.自分の体験、見聞を洗い出す
2.必要な基礎知識を調べる
3.具体的事例を見る
4.別の立場から見る
5.海外と比較して見る
6.歴史を押さえる(背景)
7.スペシャリストの視点を知る

本書は、
生きる戦略の本でもある。ビジネス社会で、上司を説得するとか。部下を導くとか。

にしても、
ズーニーさんにすっかり魅了されてしまった。
小説も書いてみて欲しいなぁ。とも思った。
ちょっと探してみても見当たらない…。
あるのかなぁ?


僕らの人生は、常にリハーサルであり、本番だ。
本番ばかりを意識すると緊張したり、臆したりで前に進めない。
逆にリハーサル気分で、本気にならないと勝負にならない。

リハーサルの気持ちで、
バンバン練習のような挑戦をし、本番の生きる。

僕らは、どこまで行っても途中。
一瞬、「できた」完成、達成感を味わうこともある。でも、ほんの束の間。
やっぱり、基本、途中を生きている。

読んでいて、
そんなことを感じさせてもらいました。


その他、上司への説得文、お願い文、議事録、ビジネスメール、お詫びのメールの書き方など、
実践的な内容もわかりやすく書いてある。
とてもわかりやすい。さすが小論文のプロ。

生きる上で、
文章を書く場面は、誰にでもある。
SNSもそう、ビジネスもそう。
だから、誰もが、読んだ方が良い。

伝えることを学べるから、
上手に話すことにも繋がると思う。

0
2024年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 自分の言いたいことをきちんと伝えるにはどうすればよいのか?
 
 ブログ等のSNSで物事を伝える、海外で日本語以外の言語を使う、あるいは物分かりの良くない上司や社内関係者を説得したい等々、思いを理解してもらえないフラストレーションは、日本語でも外国語で多く存在すると思います。

 ましてやこのコロナ禍の下、対面的な接触が減り、メッセンジャーやメールなど、文字での伝達が非常に増えたと感じています。
 メール返信に費やす時間の膨大な増加、終わらないチェーンメールを見るにつけ、文章力を鍛えるべきだとの判断から手にしたのが本作です。


 さて、本作ですが、めちゃくちゃ為になりました。非常に参考になったし面白かった。
 文章を上手に書くというと、表面づらをととのえるテクニック的なものを想定していました。しかし、本作はそこにとどまらず、書く人の胸にズーンと突き刺さるものを持っていたと思います。筆者は「あなたはどうなのか」というあなたの意見を徹底的に問いただす方向へと論を持っていくのです。

 さらにこの自分の意見だが、実はこの意見は何らかの問いに対する答えであるという。この示唆は目からうろこが落ちかの気分でした。我々が常に感じそして表現している言明は大概はQ&Aの体をなしており、そのQが何かを自覚することで自分の言明について構造的にとらえることができる。この問いは自分が常日頃から抱いている問題意識と言い換えることも出来ると思います。その問いを自覚的に理解することは、恥ずかしながら私にはこれまであまりありませんでした。
 更にはこうしたQ&Aの言明構造に対し、「他人ならどう思うか」「他人にとって意味はあるのか」という視点は、文章を洗練させ人に伝わるためには非常に役に立つと思います。

 上記以外にも多くのノウハウが語られます。例えば、最後に実践編として、上司の説得、依頼文、議事録、志望理由、お詫び文、メールについて例と解説を自身の経験をふんだんに取り入れて説明しています。どの修正ポイントも指摘点もなるほどと思わせるものばかりでした。

 私が感じたところだと、筆者が書き手に要求したいのは、自分の立ち位置の明確化、相手の立ち位置の想定、そしてお互いが見ている方向の想定、だと考えています。これらのことを線でつないだものこそが伝わる文章なのだと感じました。
 (これだけ素晴らしい教えを授かったのに、その書籍を紹介する文章が全く上手でなくて申し訳ないです笑)

・・・

 実は本作を知ったのは、東大の先生の哲学関連の一般本の中ででした(梶谷真司『考えるということはどういうことか』)。<リンク>
 その繋がりからも思いましたが、書くこととは畢竟、自分を見つめることであると思いました。良く書けている文は、そこに必ず良く省察的な筆者がいるのだと思います。さもなくば、よく伝わる文章は生まれえない、そう感じました。

 良い文章を書きたいと願い方は、是非一度読んでみて頂きたいと思います。私も時間をおいて再読したいと思います。

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2021年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【感想】
・論点だけでなく「論拠」を意識することによって、自分がなぜそのことについて述べたいのかをを意識することができそう。人と話す時にブログを書くときなど、自分でも何の為に話したり書いたりしているのかわからなくなる、というようなことがなくなり、目的を持った会話ができたり、文章が書けそう。 

・大人になると、自分の感情や意識を押し殺すような場面が多いけれど、自分に正直に、自分の考えで人と関わっていくためにも、表現力を磨いていこう。
言葉でしか人と考えを共有できない以上、この不自由な道具の中で、自分にあった言葉を探し、関わる人と考えや感情を共有したいという思いは、非常に共感できる内容だった。

【その他メモ】
・何かをメモるとき
 なぜ自分がそのことに対して興味を持ったのか、結論は何なのか。
 このあたりを意識してメモしていきたい。

・文章の7つの要件
 意見、望む結果、論点、読み手、自分の立場、論拠、根本思想

・読み手からどんな反応をもらいたいのか、相手を意識して文章を書こう。

・意見を出すには良い問が必要。
 思考停止ポイントが自分にはあるはず。そこから抜け出すためにも以下を参考に考えを深める。
 問いの広げ方参考
 →時間軸 過去、今、未来
  空間軸 自分、自分の身の回り、会社、社会、世界

・問題を多角的に見る
 自分の体験、基礎知識、具体事例、別の立場から見る、海外と比較、歴史を抑える、専門家の視点を知る。

・文章には根本思想が出る!思いに忠実に、自分の生き方にあった言葉を探す!

・人に思いを伝える。
相手と自分が関わる中、自分にしか言えないこと、その相手だからこそ言いたいこと、というのにもっと忠実になっていい。

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2020年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・この本、単に「伝わる・揺さぶる!文章を書く」ことを目指しているにとどまらず。ズーニーさんご自身が羽化する過程をたどることによって、読者が眠りから目覚める効能効果を秘めた自己啓発書でもあります。2010/9/28に購入し、読み終えるまでに7年!かかってしまったのは、決して面白くなかったということではなく、私の準備ができていなかったからだと思います。

 この本を読んで思ったことは、伝わる・揺さぶる!文章とは、相手を説得しようとする文章ではなく、相手が自ら納得する文章なのだということです。相手が自ら納得する文章を書くためには、書く者が、先ず自分自身に問いを投げ、次に問いに応える意見を持ち、更に意見を支える論拠を構築しなければならないということです。そうすることで、相手と自分との間に納得が拡がるのです。

 私が初めて山田ズーニーさんの本に出逢ったのは、2010/10『おとなの小論文教室』でした。ズーニーさんは、ベネッセの小論文編集長として高校生の考える力・書く力の育成に尽力し、2000年独立後、表現力・考える力・コミュニケーション力の育成に幅広く活躍されています。ズーニーさんの本には、ご自身が必死に考え、交わった人たちに真摯に接することによって確立された哲学があり、どの作品も多くの方々に安心してお薦めできる良書です。

 小論文のゴールは説得とのことですが、私たちが仕事で文章を書かなければならない時のゴールは、理解と納得なのはないでしょうか?理解と納得を得るために、先ず事実を客観的に分析し、そこから問題(課題)を抽出する。次に、その問題(課題)を解決するための手段を提案し、更に論拠を示して、その手段の妥当性を裏付ける。この本は道筋だけではなく、心構えについても言及しています。

 小論文のゴールは説得とのことですが、私たちが仕事で文章を書かなければならない時のゴールは、理解と納得なのはないでしょうか?理解と納得を得るために、先ず事実を客観的に分析し、そこから問題(課題)を抽出する。次に、その問題(課題)を解決するための手段を提案し、更に論拠を示して、その手段の妥当性を裏付ける。この本は道筋だけではなく、心構えについても言及しています。

 伝わる・揺さぶる!文章を書くためには、先ず、その文章を伝える相手、揺さぶる相手のことを知らなければなりません。相手に分かる言葉で、相手にとって興味の持てる内容を、相手のメリットも考えて伝えなければなりません。自分の文章が伝われらないと思った時、自分の都合だけを相手に押し付けていないか?考えてみる必要がありそうです。

 相手のことも大切なのですが、もちろん自分も大切です。そして、相手と自分が同じ部署や組織の所属しているのなら、その組織の方針も大切ですし、延いては社会との関係も大切です。伝わる・揺さぶる!文章を書くためには、個人から社会まで、背景の把握と共有が必要なのです。

 山田ズーニーさんは、他の著書で「私たちは、会社(組織)を通じて(間接的に)社会と係わっている。」というような意味のことを書かれています。この本を読むと、その社会と上手く通じる手段が、『伝わる・揺さぶる!文章を書く』ことなのだということが良く分かります。

 私は、品質保証という仕事がら、毎日、お得意先様やお客様にお読みいただく文章を書いているのですが、うっかりすると、自分で読んだ時に納得できないような文章を書いてしまっている時があります。ズーニーさんのように、自分から社会へ、過去から未来へと視野を広げ、視点を高めて、繋がりが分かるような文章を心掛けないとダメですね^^;

 ズーニーさんは、「自分の根っこの想いに忠実か?根本思想は、短い文章にも、ごまかしようなく立ち表われてしまう。人に対して温かい思いを持っている人の文章は、さりげない書き方をしていても温かさが伝わってくる。また、生き方が後ろ向きな人は、何を書いても、どう書いても、やはり後ろ向きな印象が伝わってしまう。“根本思想”を変えないかぎり、話題を変えても、読み手への印象を変えることはできない。」と書いています。怖いですね^^;

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2020年05月02日

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