あらすじ
幼い頃に母を亡くし、父が再婚した継母とうまくいかず不登校になった岸本聡里。愛犬だけが支えだった聡里は、祖母に引き取られペットと暮らすうちに獣医師を志す。北農大学獣医学類に入学すると、面倒見のよい先輩、志をともにする同級生らに囲まれ、学業やアルバイトに奮闘する日々。伴侶動物の専門医を目指していた聡里だが、馬や牛など経済動物の医師のあり方を目の当たりにし、「生きること」について考えさせられることに――
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Posted by ブクログ
主人公 岸本聡里(さとり) は母を早くに亡くし、父の再婚によって新しい家庭に居場所を失う。再婚相手の新しい母親が飼っている犬を捨ててしまうのではないかという不安で中学校へ行けなくなり、ほぼ引きこもり状態で過ごす。
さとりの誕生日に、チドリ が亡くなった母の手紙を渡そうと久しぶりに家に行くと、父母と妹に置いて行かれて1人で家にいる聡里を発見する。チドリは父に対し怒り、こんな状態なら自分が引き取ると聡里を家に連れて行く。自由な校風の高校と塾に通わせ、成績がよく、特に生物が得意な聡里に塾の先生は獣医を勧める。
この経験から聡里は「動物を助ける獣医になりたい」と決意する。
大学編
北海道の獣医学部に入学。厳しい勉強と実習、寮生活に最初は戸惑うが、少しずつ仲間や教授と心を通わせていく。牛や馬、犬などの治療に携わるうちに、「生きることと死ぬこと」 の重みを知り、命と向き合う姿勢を身につけていく。先輩の勧めで一年生の夏休みに実習に参加した聡里。実習が終わった後、先輩に先輩の実家の牧場で馬の赤ちゃんが生まれるので一緒に見に行かないかと誘われる。一緒に名前も考えて楽しみにしていたのに、難産となってしまい、結局母体を守るために馬の赤ちゃんの足を切断し、馬の赤ちゃんはそのまま亡くなってしまう。獣医とは病気になった動物を助ける仕事だと思っていたのに、助けられないという判断も下さないといけないことにショックを受けて聡里は逃げるように東京に戻ってしまう。
東京に帰ると、チドリが病気をしたことを知り、このまま休学をしてチドリの看病をしたいと申し出る。しかしチドリはなるべく早く聡里が獣医になってほしい、獣医になった姿やその先の結婚した姿を自分は見たいのに自分にはもう時間が残されていないと伝える。聡里はその気持ちを聞き、北海道に戻ることを決意する。
それからしばらく東京には帰らず実習やテストに追われる聡里。実習中に大学に電話が来て、祖母が危ないから東京に帰ってくるよう連絡を受ける。なるべく急いで帰るが、間に合わず会えないまま一番の支えだった祖母チドリが病で亡くなる。深い喪失感に沈むが、「自分を信じて生きろ」という祖母の言葉が心の支えとなる。祖母の死をきっかけに、聡里は「過去に縛られるのではなく、自分の道を歩む」覚悟を決める。
終盤
•実習や現場での経験を重ね、苦しむ動物や飼い主に向き合えるようになる。
•自分と同じように傷つき孤独を抱えた人々とも関わり、「誰かを救うには、まず自分が生き抜くこと」と学ぶ。
•聡里は正式に獣医師として歩み始め、「リラの花が咲くけもの道」=困難な道でも自分を信じて進む道 を進んでいく。
Posted by ブクログ
27年間の人生の中で、初めてこの本に出会えてよかったと思った作品。心がホクホクしたし今後の人生において大事な事を思い出させてくれた。
初めは右も左も分からない弱々しい印象の聡里が、実習や学校での体験、チドリとの思い出を通して大きく成長していく姿が、花言葉や北海道の自然を含めて表現力豊かに書き表されていた。苦手な事から逃げていても何も成長できない、初めは上手くいかなくても、体験と経験が何よりも自分を成長させるのだと改めて感じた。
1年生の実習で挫折を味わい学校を辞めるまで考えた事、それでも自分で決めた事を貫き通した事、チドリの死に打ちのめされたが立ち上がり前を向いた事、挫折を乗り越え最終的には大動物の獣医師を選んだ事。主人公の感情の変化と、それに伴う心の大きな成長に感動した。
Posted by ブクログ
佳代ちゃんからのおススメ。一気に読んだ。動物は運命に従って生きるしかないから。ほんとだね。ヒトみたいに選択できない。どうかみんな幸せであってほしい。
Posted by ブクログ
全然悪い話じゃないんだけど...このサイズと厚みの本に求めるのは少女漫画じゃないんだな〜。登場人物の若者全員のファンタジーが過ぎるなと感じてしまった...
あと最後のエピソードいらん
Posted by ブクログ
獣医を目指す聡里の成長とともに読むのが楽しくなっていく。祖母のチドリみたいな人が身近にいて前向きに生きていると、自分も救われるんだろうな。前向きな言葉を口に出して誰かに伝えることってすごく大事だ。
Posted by ブクログ
聡里が獣医学部に入学し、獣医になるまでの話。
中学で母親が亡くなり、父親が再婚相手が家にきたことから引きこもりになった聡里は、祖母チドリに引き取られ、祖母と周りの助けもあり、北海道の獣医学部に進学した。
寮に入り、学生生活をスタートする聡里と学費工面のために自宅を売却し、一人暮らしを始めるチドリ。話は聡里の獣医学部での学生生活の苦労が中心だが、暖かく孫を見守るチドリや周りの友人、先輩が聡里を助ける。
獣医の大変さも伝わってよかったが、(立ち直った方がいいのだが)聡里の引きこもりからの立ち直りの速さは、少しあれっという感じがした。周りによいキャラがいるので、もう少し登場させてもらってもよかったかな。
評価が高かったので、期待値が高くなりすぎたかもしれない。