あらすじ
やれるか、やるべきか、じゃない。やるしかないときがある。2014年にロンドンで実際に起きた占拠運動をモデルとした小説。ホームレス・シェルターに住んでいたシングルマザーたちが、地方自治体の予算削減のために退去を迫られる。人種や世代を超えて女性たちが連帯して立ち上がり、公営住宅を占拠。一方、日本の新聞社ロンドン支局記者の史奈子がふと占拠地を訪れ、元恋人でアナキストの幸太もロンドンに来て現地の人々とどんどん交流し……。「自分たちでやってやれ」という精神(DIY)と、相互扶助(助け合い)と、シスターフッドの物語。
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Posted by ブクログ
久しぶりにこんなに胸が熱くなりました。
日本で暮らしていて、この国では政治に対して自分が関われることなんてほとんどないという感覚に陥りやすいますが
世界でも同じような状況になっていて、そこで戦う女性たちがいたんだということに勇気づけられます。
緊縮財政で労働者階級の人々の暮らしがどんどん苦しくなっているなんて、今の私たちと同じじゃないか…と。
これからも選挙に行くのは当然のこと、周りとも政治についてもっと話せる環境ができればと思います。
女性たちの方が相互扶助、シスターフッドの精神が育ちやすい一因として
「女性は出産して子どもができると、自由に働くことができなくなるからです。だから女性の方が国の制度に頼らねばならないことが多い。」
「一人一人で壁にぶつかって苦しむ中で、構造的な貧困は1人ではどうにもできない問題なんだと気づき、一緒になんとかしようとするから、このような運動になっていくのだと思います。」
というジェイドの言葉が腑に落ちました。
また運動の当事者であるジェイドたちだけでなく、幸太と史奈子という、日本人(比較的恵まれた環境で育った)の登場人物からの視点を入れてくれたのも良かったです。
最初に「主な登場人物」がまとめられていたので、こんなに沢山のキャラたち、覚えられるかな…と不安に思ったのですが笑、みんな魅力的で杞憂でした。
そこで「本作のラスボス」としてシルビア・パンクハーストが書かれているのも、読み終わった今となっては粋だ!!と感じます。
面白くて3日でスルスルと読めました。
Posted by ブクログ
違う環境にいてもマインドで繋がる女性たちの嘆きや人生経験、受けてきた理不尽、そういった力強い抵抗の力で少しづつ変わっていく政府の動き、前に進んだと思ったらまだまだ問題は山積みで…
難しい話でしたが、言葉を調べたりしながら読み進めました。読み終わりに近づくにつれて、彼女たちが求めたrespectへの解像度が上がっていく感じが堪らなく面白かったです。
Posted by ブクログ
2025.3 感情移入できない部分もあるけれどテンポとノリがよくて、そしてちょっと考えさせられるところもあって、なかなか気に入った小説でした。