あらすじ
今夜、ひとりでキッチンに立ちたくなる一冊。
第一話 カレーの混沌
旅先での出来事をきっかけに、人生の「迷子」になってしまった大学院生。
ひと皿:スパイスと「ある物」を使って作るカレー
第二話 完璧なパフェ
家事と仕事と子育てに追われ、自分の好きなものを忘れてしまった母親。
ひと皿:「彼女にとって」一点の曇りもなく完璧なマンゴーパフェ
第三話 肉を焼く
キャリアを地道に積み上げるも、周りとのライフステージの変化に思い悩む医師。
ひと皿:生きる力を取り戻すための肉
最終話 レスト・イン・ビーンズ
町田診療所の主、モネの過去が明らかに。いま、豆を愛したある人のことを偲ぶ。
ひと皿:持ち寄った、それぞれの大切な料理
「どうして私たちは、大切なことから真っ先に忘れるようにできているのだろう」
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Posted by ブクログ
【あらすじ】
今夜、ひとりでキッチンに立ちたくなる一冊。
第一話 カレーの混沌
旅先での出来事をきっかけに、人生の「迷子」になってしまった大学院生。
ひと皿:スパイスと「ある物」を使って作るカレー
第二話 完璧なパフェ
家事と仕事と子育てに追われ、自分の好きなものを忘れてしまった母親。
ひと皿:「彼女にとって」一点の曇りもなく完璧なマンゴーパフェ
第三話 肉を焼く
キャリアを地道に積み上げるも、周りとのライフステージの変化に思い悩む医師。
ひと皿:生きる力を取り戻すための肉
最終話 レスト・イン・ビーンズ
町田診療所の主、モネの過去が明らかに。いま、豆を愛したある人のことを偲ぶ。
ひと皿:持ち寄った、それぞれの大切な料理
「どうして私たちは、大切なことから真っ先に忘れるようにできているのだろう」
『選択肢が多すぎて苦痛になる。どれかを選ぶと、どれかを逃して損をしているような気になる。』
【個人的な感想】
自分で自分の食べたい料理を作って食べることは生きることだなと思った。
Posted by ブクログ
心が疲れてしんどくなった人たちがモネと料理を通じて自分を取り戻す物語。
それぞれが疲れていく過程はわりとどこにでもありそうな感じで、だからこそ本人たちが囚われている状態にも「そうじゃない、そうじゃないよー」と違う処し方があることが分かるからもどかしくもあり、抜け出せるだろう確信から読みやすくもあった。
鍋の絵のエミさんは、モネの語り口からもういなそうと予想はしたけど思った以上の重苦しい過去話が最終話にきてさすがにちょっと読んでるだけでもしんどかった。
あの話読むと無責任な他人への呪詛が止まらなくなりそう。
ただ李青のことも私は好きじゃなかったから遺灰独り占めして葬式も拒んだシーンは「おいモネさっさとぶん殴れそいつ」って一人憤慨した。
最終話以外はとても好みだった。
宇野碧さんが書く料理が出てくる作品もっと読んでみたいなと思った。
余談だけど、モネはゴボウが嫌いなんだろうか。
生で齧らせとけばいいって二回言うシーンあったからなんとなくだけど。
Posted by ブクログ
☆5に近い☆4です。
甘すぎず、無骨ではなく
漂う空気感が合っていると感じる作品でした。
作品の中の人々の心が傷ついてしまうきっかけ、タイミングが自分自身と驚くほど似ていたところ、
また料理に対する考え方、姿勢にも共感する部分が多く
そんなところも作品に入り込めた理由だと思います。
P264
ふつふつと音を立てている鍋に顔を近づけると、ふんわりと熱気をはらんだ風が舞い上がった。火で温められた空気は上昇するんだなと、当たり前のことを思う。最初は鍋の半分ほどあった水がほぼなくなっている。蒸発して、空気とともにどこかに行った水たちはまだ、この部屋のなかにいるのだろうか。
この恋人の料理を思い出しながら作る場面の描写がとくに心に残っています。
おそらくこの部屋の中に
亡くした恋人の気配も感じているのでしょう。
不本意な形で最愛の人を亡くした彼が、彼女と再会した場面だと私は捉えています。
私も今後
蒸発した水たちを大切に思い、そしてこの作品を思い出す
そんな日々になることでしょう。
Posted by ブクログ
読み終わったら、ほっこり心が温かくなるお話かと思ったら、違った。
仕事と子育てと家事で自分がすり減っていくのを感じている真琴さん
昔の友だちに久しぶりに会ったけど、昔のようにただ楽しく話ができないことをさみしく思うましろさん
とても共感できたから、読んでて苦しかった。
最後のモネとエミのお話も苦しかった。
コロナ禍ではこういうことが実際に起こってたのかも、と想像すると苦しかった。
全然ほっこりしなーい!
Posted by ブクログ
キッチンで料理する診療所の話。
1話目の自分で決められなくなってしまった院生が、家にある材料を全て入れてカレーを作る話が好き。
今まであったこと、自分にとってなければよかったと思うようなことも受け入れられてよかったなあと思う。
育児に仕事に疲れてしまったパフェ作りの真琴さんの話は腑に落ちなかった。
多分私は意地悪な性格なので、自分が映画を観に行くために真琴さんが出かけるのを嫌がる夫が、育児の大変さを理解したとは思えない終わり方がなんだかなあ。
しゃべらないパーティーをする最終話での「エミの形をした空白と生きる」という言葉がきれいだと感じた。癒されたり回復するのが辛いのも共感した。