あらすじ
「日本一感動する講演会」と呼ばれている講演が本になりました。
北海道赤平市という小さな町で小さな工場を営みつつ、宇宙ロケット開発に情熱を注ぐ著者が、
本業もロケット開発も成功させている自らの体験を通して「みんなが夢を持ち、工夫をして『よりよく』を求める社会をつくること」を提唱します。
感動と勇気を与えてくれる一冊です。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
若いパパとママに読んでいただきたいと思います。子供の夢を摘まないように…子供の可能性を伸ばせるように…パパやママも、一度はあきらめた夢を取り戻すために、自分たちの可能性にも再チャレンジできるように…
植松氏は北海道赤平市で(株)植松電機を経営し、バッテリー式マグネット装置を製造する傍ら、ロケットの製造をしています。池井戸潤さんの『下町ロケット』のように、ロケットの部品を造っているのかと思ったら、ロケットそのものを造っているそうです。ロケットって、国を挙げて開発するモノじゃないの?って思いますよね?植松氏は、自分の価値観に従って興味が持てることを突き詰めていたら、志の高い人と出会い、追求すべき信念に到達し、行動し続けていたら、夢が叶ったという話です。先人の知恵をまとめた啓発本とは一線を画する内容です。
この本は、上司から借りた本で、既に他のメンバーにリレーしてしまったので、手元にないのですが、身近に置いておきたいので、Getしたいと思います。文字も大きく、とても平易な言葉で書かれており、内容も分かりやすいので、読書に慣れていない方にもお薦めできます。「世の中から“どうせ無理…”という言葉を廃絶したい」という植松努さんの思いを伝える一人になりたいと思います。
植松努さんは「自信が大切だ」と何度も繰り返し書いています。自分の夢を叶えられなかった大人(親や教師)の言葉は、全ての子供たちが持っている夢の芽を摘んでしまいます。大人たちは古い価値観を子供たちに押し付け、既成の価値観の中で得する人(親にとって都合の良い子供)になることが人生の目的になるように指導しようとします。その結果、新しい価値観を創造したり、未知を切り拓くことが出来るような子供たちがいなくなってしまうのです。
この本は、まだ子供が小さい、若いパパとママに読んでいただきたいと思います。子供の夢を摘まないように…子供の可能性を伸ばせるように…パパやママも、一度はあきらめた夢を取り戻すために、自分たちの可能性にも再チャレンジできるように…
Posted by ブクログ
他人に勧めたい本で個人的No1に推薦したいのがこの本。現代社会を生きていると、様々な理想と現実のギャップに悩むことがあるが、この本はそうした悩みに対して明確なアドバイスをくれる本だ。
今世界中の人が、労働の意義や企業の存在価値について疑問を抱いていると感じる。その疑問とは、終わることのない大量生産・大量消費社会のについてである。似たような商品やサービスを次々に提供し、膨大な広告宣伝によって購買を勧める社会のあり方だ。次々と登場する商品やサービスを買うために人生の大半を労働に費やし、ローンを払う暮らし。
定期的に利益を出し続けるために、メーカーはわざと壊れやすい製品を作る。商品やサービスを買わせるために、心理的効果の強い広告宣伝で消費者を煽る。価格競争に勝つために人件費を削り、一人当たりの労働量を増やし、ブラック化していく企業。枯渇する資源。
こんな世の中に辟易している人たちが増えているように感じるのだ。「草食系」や「ミニマリスト」などの言葉がそれを象徴している。元ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカ氏のスピーチや本がヒットしたのも、氏の主張がこうした疑問に1つのヒントを示すものだったからだろう。
本書もこうした疑問にヒントをくれるものだ。著者の植松努さんは故郷の北海道の小さな町で宇宙開発の会社を運営している。過疎化が進み、雇用も少ない地域で敢えて宇宙開発をすることで「どうせ無理」という言葉を世の中からなくしたいというのが筆者の主張だ。
しかも、国の補助金や外部からの援助に頼らず、リサイクル事業で稼いだ利益を主な原資として宇宙開発を行っている。これも、「国に頼らずとも、民間の力で宇宙開発は出来る」ことを示したいからだと言う。その結果、無重力実験施設を独自に作ったりしてしまった。
植松さんは「誰もやったことがないこと」に挑戦するべきだと主張する。たとえ失敗したとしても「だったら次はこうしてみよう」と考えてやり直せばいいだけだと。その過程で分からないことがあったら調べればいいし、知らないことは「本」から人類の積み上げてきた叡智をいくらでも学べると言う。確かに、その通りだ!
誰かと同じことばかりやっているから価格競争に陥るのであって、それなら真似のできないものを作れば良い。
もちろん「それは理想論に過ぎない」「ヒト・モノ・カネのある大手に勝てるわけがない」という意見もあるだろう。そこで自分達が宇宙開発を進めることで、そうした「どうせ無理」という意見をなくしていくことが、植松さんの目標だ。
本書を読んで、これからの社会もそうあるべきだと感じた。すなわち、アイデアのある個人や小規模組織が前例のない価値のある商品やサービスを次々に作り出していく世の中。そしてその中から環境に優しい商品やサービスが現れ、社会を良い方向に変えていく。
現状そうなっていないのは「他社の模倣」や「二匹目のドジョウ」でリスクを冒さず利益を得たいという企業が多すぎるからだと思う。未踏の領域に踏み出すことは確かにリスクも伴うが、それをやることこそが社会的な労働の意義であり、企業の価値ではないだろうか。本書を読んでいるとつくづくそう感じる。