あらすじ
信仰と自由、初恋と友情、訣別と回復。
淡々と歌うように生きるさまが誰かを救う、完全書き下ろし小説。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
つばさのお母さんみたいな、軽やかで柔らかな強さを持つ人ってめちゃくちゃかっこいいな。
着替えたあとのつばさくんの描写も好き。かっこよくなりすぎないところがリアルで愛おしい。
Posted by ブクログ
ポテトチップスのうすしお味ですら、ひばりにとってはエリアビーチの潮の匂いを感じされられたのだろうと思った。
ずっと読むのがしんどかったし、施設を出る前によくないことが起きるだろうと思っていた。けどひばりはずっと踏ん張っていて笑顔の別れで勝ち逃げした。自分は逃げ出したかったところから笑顔で去る事ができなかった事を思い出す時があるけど、これができたひばりは本当にすごい。いちばん印象に残ったシーンだった。
また、作者あとがきでトイレで着替えるシーンについて「人が人を救う決定的な瞬間はああいうささやかな事だ」と言及しており、自分もふとしたことで救われたなあと重ねていた。友人、ありがとう。
自分自身、しんどかった時期を思い出して苦しくなる日が波のようにきて消えることはないけど、最近生きていて少しずつ本を読んだり人と話をして救われていってる実感がある。少しずつでいいのだと、この本を読んで再確認できた。
Posted by ブクログ
あっという間ではなかったかもしれないが、あっという間に読んでしまった感…!
つばさとひばりの物語。
10代の2人がピュアで眩しい!
「みかんの会」というコミュニティの中に放り込まれてしまったひばりを、つばさが助けに行く…というお話。
こうやって簡単にあらすじにしてしまうと、何だか少女漫画的なロマンスめいたものを感じるかもしれない。
でも、この物語はちょっと違う。
…色々あっさりしている!
そう思うのはこのさっぱりとした読みやすい文章だからなんだろう…が、冷静に考えると(いや、全然冷静に考えなくても)この物語にはメチャクチャ残酷なことがたくさん起こっている。
つばさの父の死と、父の死によってマスコミに追い回されるつばさ達、両親によってみかんの会に入れられてしまうひばり、班長に指の骨を折られるひばり、フジ(もう1人の班長)にレイプされるひばり…等。
ひ、ひばりぃ〜〜〜!!!!!
彼女はあまりに可哀想な役回りだった…。
なのに、強かった。
酷い目に遭ったばかりで興奮状態になっていても、後できっとガクッと落ち込む時が来るんだろうな…その時やっと、本当に辛い気持ちになるんだろうか……
…とか、色々考えさせられた。
本を読み終わって物語が終わってしまっても、この子達の葛藤はまだまだ続いていくんだろうなと思った。
物語に触れてそういう風に思ったのは何だか久しぶりだった。
ちなみに「みかんの会」からひばりを助け出すとなったとき、つばさは1人で行動を起こさず、母親を従えていた。
何だかそこだけリアルに感じた。
つばさ1人だけでひばりを助けに行く!
…だと本当にロマンス全開だったかもしれないが、そうするとあまりに物語物語し過ぎるよな…。
そうしなかったその絶妙な塩梅がこの著者っぽい!
ひばりの言葉
「雑味こそが人生かもしれないのに」
Posted by ブクログ
ずっと読みたいなと思っててやっと読めました!
扱ってるテーマは重いけど、会話中心に展開されているのでスラスラと読み進めることができました
親を信じたい、好きだった頃に戻って欲しいけど、
自分を捨てたくないというひばりの葛藤が
親子や家族の切れない縁というか難しい部分だと思いました(さっさと捨てればいいと第三者は思っても、簡単にそう出来ない理屈があるというか…
あとがきにもあるように安倍総理の射殺事件の犯人もそう出来たらあんなことは起こらなかった訳で。)
だけどひばりの根底の強さは、他人であるつばさやその家族との関わりから作られているというのが大事な気がしていて、、
私も周りの人だけでも、逃げたいと思った時に手を差し伸べたいし、SOSに出来れば気づきたい、と思った。
Posted by ブクログ
宗教二世が宗教施設から抜け出そうとする話。
信仰ってなんだろうな。幸せになるために信仰するはずなのに段々壊れていって、不幸せになる人もいて。
人間はお互いに影響与え合ってて、一つの判断で環境が大きく変わってしまうこともあって、この相互作用を完全に消し去るのはとても難しいんだろうな。それでも生きていくんだな。と思った。
とりあえず宗教施設を抜け出せて「これからは自由に生きていくんだ!」という雰囲気で終わるけど、このままハッピーエンドとはならないだろうし、つらいこともあるんだろうなと思うと……テーマが……重い……!となった。
主人公家族がとてもいい人たちで強い絆で結ばれていて、それが救い。
本筋とはあまり関係ないけど、「子どもが小さい頃の夫婦って、魔法がかかってるみたいにいい感じなんだよね。(中略)でも大きくなって余裕ができてきちゃうとまたそれぞれの現実が見えてきちゃうっていうか。」ってところにドキッとした。うちも子供が小さいから魔法にかかってるんかな。子は自立してくれれば自由に暮らしてくれ〜私たちは夫婦で楽しく過ごすからね〜と思ってるんだけど、子が大きくなったら考え方変わるんやろか。子にそばにいてほしい、一人にしないでとか考えちゃうんやろか、と怖くなった。
作家さんがあとがきを書いてくれるのすごく好き。解釈を少しだけ導いてくれて安心する。