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Posted by ブクログ
宗教2世をテーマにした物語。
ばななさんの本は登場人物がとにかくとても良くてめちゃくちゃ好きになってしまう。
ひばりちゃんが自分の人生を再スタートすることができてほんとうによかった。
Posted by ブクログ
読後、しばらくたっても感想が表現できないけれど、私も宗教2世で、団体や宗教についてずっとどこか考えていた事が、あとがきに書いて下さった事で1つ腑におちた、理解できたのがありがたかったです。つばさのお母さんが、僕だけがいない街のアニメのお母さんを何だか思い出しました。
ひばりが団体から抜けて、つばさのお母さんが夕飯を作ってくれるシーンでは涙が出ました。
みかん様のことはきらいにはなれなかった、絵を書いていて、それも嫌いな感じじゃなかったということが、すごくよく分かって、リアルでした。
もし100年後などに自分が生まれ変わって、日本以外の韓国など生まれて、宗教団体の事で悩んでいて、この本を何気なく手にとったら、こんな事を書いてくれた作家さんがいたなんて、とすごく救われるだろうなと感じました。
Posted by ブクログ
2023年に発売された吉本ばななさんの新作。完全書き下ろし。
装画はお姉様であるハルノ宵子さんが担当し、伊豆の港町を描いている。
主人公は青年・つばさ。
「人生になんか足りない」と考えるつばさは、その原因が幼なじみ・ひばりが居なくなったからだと気がつく。
「そうか、ひばりか。ひばりがいなくて僕は淋しいのか。こんなにもか。え? こんなに? だって人生これからなのに? なにも楽しみに思えないなんて」
そう独白するつばさは、「ひばりを好きだったのかもしれないな」と初めて本気で思う。
ひばりは中学卒業と同時に、両親がいる共同生活をおこなうコミュニティーに移り住んだのだった。
そんなある日、ひばりから一通の手紙が届き、「助けて」と書かれていた。
———あらすじ(公式より)———
信仰と自由、初恋と友情、訣別と回復。
淡々と歌うように生きるさまが誰かを救う、完全書き下ろし小説。
———感想———
吉本ばななさんの文体は明るくて、読むといつもげんきになる。この物語自体は壮絶な部分もあるのに、なぜかぬくもりに包まれる。優しさと力強さを内包しているし、登場人物が本当に身近に存在するのではないかと思わせてくれる。
ひばりは「みかん様」が長をつとめる新興宗教のもとで暮らし始め、生活が全て変わってしまう。宗教の独自の常識に適応して生きていくのは難しい。大好きだった両親が知らない人間になっていく恐怖は計り知れない。そしてひばりの心の叫びは、両親に届かない。
そんなひばりをどうにか助け出そうとするつばさの覚悟と、つばさの母の力強さを自然と応援していた。
そして事件が終わってから、物語が終わるまでの描写がすごい。一般的なエンタメ小説や映画、漫才・コントならば、その後が少し描かれて、サッと終わる。ところが『はーばーらいと』の余韻は、物語をさらに厚く温もりあるものにしてくれた。ひばりとつばさのこれからが気になって仕方ない。