【感想・ネタバレ】ダイヤモンドダストのレビュー

あらすじ

火の山を望む高原の病院。そこで看護士の和夫は、様々な過去を背負う人々の死に立ち会ってゆく。病癒えず逝く者と見送る者、双方がほほえみの陰に最期の思いの丈を交わすとき、時間は結晶し、キラキラと輝き出す……。絶賛された第100回芥川賞受賞作「ダイヤモンドダスト」の他、理想の医療に挫折し、タイ・カンボジア難民キャンプ地での特異な体験に活路をもとめる医師と末期癌の患者として彼の前に現れたかつての恋人との日々を描いた「冬への順応」など短篇四本を収録する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

第100回芥川賞受賞作。
「冬への順応」は浪人時代のぼくと千絵子の関係を描く。浪人時代から医学生時代、そして現在と、ぼくと千絵子の関係性が移ろうが、死期が迫ったからこその関係性が美しく描かれていた。死を目前にぼくに再開した千絵子は「生きてた」と思える最期を果たして送れたのだろうか。
「長い影」はカンボジア難民医療団時代のメンバーであった、ぼくとフランス語を話す看護婦(原文ママ)の女の物語。「役人」的な治療をしたぼくと、周りからたしなめられるほど難民に肩入れをしていた女とでは、人道的には女の方が善であるように見える。しかし、それらの出来事は事実として地の文に淡々と描き、善悪の視点は女のセリフに感情をこめて載せられているからか、作品全体としては中立に立っているように思えた。
「ワカサギを釣る」は看護士の種村と医療助手のミンの話。「ものごとを深く、だからどうしても暗く考えてしまう人間」という点で共通する「黙り助平」の種村とミンの命に対する畏敬は同等に深いのだと思う。
「ダイヤモンドダスト」は看護士の和夫を中心に、その家族、幼馴染の悦子、死期の近いアメリカ人宣教師のマイクの物語。特に、従軍経験もあるマイクの死生観は素朴ながらも、人間がある種本能的に持っている神の概念と自然に接続する等身大の感性だと思う。彼が宣教師であるという設定も、その補強になっているように思える。

初読で細部までは読み込めてないように思えるため、いつの機会かに再読をしたいと思う。

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2021年03月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

医療に携わる人々をテーマにした短編4本。

重い内容で気が進まなかったが、読後は不思議と心を鷲掴みにされていた。
何も対話だけが心を通わせる手段ではなく、また、それだけに価値があるわけでもない。皆あるがままに生きて死んでいくのだと腑に落ちるような感覚になる。
物語の中に浮かび上がる生と死が、命の煌めきとして昇華されていくようだった。
表題作はみるみる引き込まれて一気読み。

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2020年01月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

命との向き合い方がテーマなんでしょうか。

医師として、タイ・カンボジア国境に行っていたという著者の来歴と、作中の人物たちの設定が重なります。まさに私小説・純文学という趣で、イロイロ考察させられますが、正直よくわかりませんでした……

例えば、ワカサギ釣りがやけに象徴的に描かれているように感じたのですが、何の象徴かよくわからない、みたいなところ。国語のテストで題材に出されたら、確実に点がとれない自信があります(涙)

そんなこともあって、なんだか国語の教科書っぽい作品だなぁ、という印象が強く残りました。

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2021年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地方の山の中の病院 カンボジアの難民キャンプに行っていた医師、
ダイヤモンドダストは看護師、老父親と保育園児を抱えて病院勤務 肺がんの宣教師と父親との交流、水車造り

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2021年09月11日

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