あらすじ
ユーロマネー、ザ・バンカー、グローバルファイナンスが
世界のベストバンクに選出!
ハーバード・ビジネス・レビューが選ぶ
過去10年間のビジネストランスフォーメーション
トップ20ランクイン!
顧客満足度最下位だった
アジアの元政府系銀行、
DBS銀行(旧称The Development Bank of Singapore)は
いかにして最先端テック企業へと生まれ変わったのか?
その変革ジャーニーを完全解説!!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
世界最高のデジタル銀行となったDBSの変革についてまとめられた本。DBSは元々シンガポール開発銀行という政府系金融機関であり、シンガポールが金融都市として発展した後の役割は薄く顧客評判も良くなかった。しかし、2010年以降CEOピユシュ・グプタのもとで数々の改革を成し遂げていく。アジアウェーブ・デジタルウェーブ・サステナビリティウェーブと3つの戦略ウェーブを進め、シンガポール内のみならずアジア・世界でも戦える銀行へと生まれ変わった。DX推進の際、専門チームを作ってそこから広めるのではなく、全部署単位で徹底したデジタル変革を行った点は特に日本企業は見習うべきであると思う。
Posted by ブクログ
実務上学びになる点がたくさん。
顧客志向、カスタマージャーニー、データ分析、APIとこれまで散々聞いているテーマについて、具体的な事例を紹介してくれるので、これやってみようというアイデアがたくさん思いついた。テーマの概要をなぞるだけの本とか会社のPR本とかは溢れているが、これはなかなかの良作。これをケーススタディにしてチームディスカッションしたら色々アイデア生まれそう。
「バリューチェーン全体で生じるすべての作業を認識し計測し、その作業を排除、移動、最適化して生産性向上、コスト低減、そして顧客満足向上につなげる」(p87)
データ分析と何年も言われているけどなかなか分析切り口が出せずにいたのだが、バリューチェーン全体、というのは新しい視点だった。これまで顧客の利用についてフォーカスしていたが、運用面の実績を計測して顧客により良い利用方法を還元・提案するのもありだと思った。
「リバース・メンタリング施策が創り出したのは、リーダーたちが普段ならあえて尋ねないような、つまりアジアで言えば「面子を失う」とみられそうな質問ができるような安全な環境だった。」
リバースメンタリングって初めて知ったのだけど、たしかに専門外領域について超初歩的なことも気兼ねなく聞きやすくて助かるかも。メンターを差し出す側の上司は気が気じゃないだろうけど笑
「個々の職員は顧客の立場にどっぷり浸かり、他の部門やカスタマージャーニー中に登場するステークホルダーとの連携を深めることになる。その結果コラボレーションが生まれて、従来型の組織のサイロを壊して、職員が社内志向ではなく顧客志向となることが可能となった。」
サイロありますよね。どこにあるかというと自部署内で、これまでの経緯からあの部は何もできないしてくれないと決めつけて会話を拒否してしまうケースが頻発。そういう場合にも顧客を中心に据えればコラボレーションに消極的な人の反対を防げる理由にできる、っていうのは、当たり前だけど大事な気づきだった。実践実践。
「導入当初、チームはユーザーがログアウトする都度フィードバックを求めた。その回答率は高いものだった。というのは、顧客が自分たちが頻繁に利用するアプリの改善を手伝うことに強い利害関係を持っていたからだ。」(p135)
これ!実践したい!顧客とのインタラクティブなコミュニケーション。フロントの声を聞くのももちろんなんだけど、機能上で直接声を拾えるのは良い。聞いた声をどう消化するか問題はあるものの、それはリソースの問題で、声を拾うのをやらない理由にはならない。
「APIは事業成長の重要な推進力となり、2つの理由でビジネス「新たな価値を生み出した。「①顧客に対してより組込み型の経験を提供すること」と「②より多くの分析データがもたらさらること」である。」(p157)
②はAPIで接続が増えるほど顧客の利用業務のカバー範囲が広がり分析データが幅広くなるものと理解。まずはAPIなんだけども、データ分析を顧客に還元するっていうことをそもそもしてないから、これを実践したい。
「すべての報告の発信をストップし、誰かがそのことを尋ねてくるかを待ってみたのだ」(p252)
やりたい(太字)
「よくチャレンジしたで賞(Dare to Fail Award)」(p282)
これいい。目標管理で実現不可能なことでも良いので設定しましょうとか言われて実質達成しないとねちねち言われてるので、前向きに評価する文化を作りたい。
Posted by ブクログ
DBSはすごい。MVVを掲げて、いまいちだった2010年から2015年には世界随一のデジタルバンクになった。
事例もいろいろ載っている。
ただ、MVVを掲げて施策を打つだけならどこの経営でもできる。だが、日本の金融機関はそうではない。
だから、この本に欠けているのは実効性を持たせた要因の分析であると感じた。
年功序列も残る日本で、若手がベテランの1on1をすることを、どういうインセンティブ設計や文化があれば成り立たせうるのか?
ベテラン層をリストラせず、いかに新しいことを学んでもらったのか?これはなぜ成り立ったのか?
せめて、訳者あとがきで触れて欲しい。
とはいえ、ここに触れるとコンサル業的には仕事に繋がらないので書いてないのはやむなしなのかもしれない。