あらすじ
精霊王、オルフェンによって作られたこの世界では誰もが精霊の加護を授かり、その力で生活を豊かにしていた。
どんな者でも加護を授からない者はいないはずだった。……ただ、一人を除いては。
父は英雄と呼ばれるギルド長。妹は精霊に嫁ぐ名誉を賜った乙女。その息子であるディアンは、誰からも嗤われる落ちこぼれ。
騎士になるように言われ続け、努力し、それでも実力は伴わず。『精霊の花嫁』になるのだからと甘やかされる妹の態度に不安を募らせ、苦言すれば父に怒られる日々。
本当にこのままでいいのかと葛藤するディアンはある日、父によって自分の成績が改ざんされていた事を知ってしまう。
全てはディアンを騎士にするためだった、とは納得できず。反抗したディアンは家を出ることを決意する。
その晩、魔物に襲われた彼を助けたのは……不審点しかない男と一匹の狼だった。
これは、他者の欲望に振り回され続けていた青年と、彼と旅を続けることになったおっさんが結ばれるまでの物語である。
感情タグBEST3
理不尽な境遇からの脱却
ディアンが意地悪されまくるシーンが長すぎて、途中でくじけそうになりました。理不尽が過ぎます。
厳しすぎる父、我が儘放題の妹、冷たい幼馴染み。周囲から見下され蔑まれる中で傍目には優しそうに映るであろうサリアナの行動は自己中心的な同情でしかなく、ディアンにとっては直接的ないじめよりももっと堪えたのではないかと思います。
後半になってようやく理不尽な仕打ちに抗う気持ちになれたディアンですが、この作品はものすごく長い物語の序章なのですね。ようやく僅かな光明が見えてきたところで終わってます。
物語の続きは気になるもののなんだか重たい物語なように思えてしまい、続刊に期待する気持ちはあまり大きくないです。