あらすじ
東大が転換期を迎えている。花形だった官僚志望が激減する一方、急増しているのが休学者数と起業件数だ。定型化された「エリート」のレールから外れる東大生たちの、周囲や社会の期待を背負うからこそのジレンマ。その実情と、背後で進行する社会の変容とが、現場の声から浮き彫りになる。休学・起業の当事者である現役東大生や卒業生はもちろん、変化する東大の「今」をよく知る教授陣へのインタビューも収録。
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Posted by ブクログ
学生さんの紹介では、個人的にはどのような過程を経て、東大にいるのか、というところの方が興味深かった。
入って何をしているか、というところに焦点を当てて書かれているけれども、ある人間を東大生にするものはなにかと言えば入るまでの生まれ育ちなので。
とくに東大に行くような子は、親の助けなくしてというか、親の意志なくしてなかなかないだろうし、それに反発せず従って取り組むような子でないと行けないので、やっぱ周りのおとなや環境の力が強いように思った。
その面で言うと後半に載っていた教授たちへのインタビューは、今の東大を映し出しているのかもと思い、興味深く読んだ。
東大は、学問的なところでは多く国内でも最先端を行っている中、制度的には保守性も強い部分もありそうで、でもそれが少しずつ変わってきている、という感じなのかなー。
もともとこんなに官僚を目指して入ってくる学生が多いなんて、よく知らなかったりしたので、まずそこが新鮮だった。
著者によると休学者が10年余りで2倍近くに急増したとのことですが、
かつての東大には、優秀な学生は早く結果を出して卒業するという風潮があったことについて触れられていて、
無駄と思える時間によってどれだけ自分が豊かになれるか、という社会の中で、日本は遅れているともいえる、と教授が答えていたり。
一般ルートではなく、起業をする学生が増えている、というのも本書で強調されていることのようだけれど、
アメリカの大学ではできる人は起業するという風潮においても日本が対比されていて、
_ひとまず研究したり、コンサルに入るが、人生のどこかで起業しようと思っているという学生が多いと思う、
_翻って東大生のことを考えると、もともと能力が高いので、起業しても成功する可能性があります。…キャリア上のリスクはないのだから、自由な発想で起業していいんじゃないかと、学生に話してきました。
_実際には戦略系のコンサルタントを数年やって起業する人も多いです。ビジネスとは何かを知り、人のネットワークを持ってから起業する。優秀な学生ほど、したたかに考えています。
と、
皆おっしゃられていて、
やっぱ選択肢がある、というところが東大生なんだなーと思ってしまった。
教授も男性人が多そうで、
2027年までに女性教授、准教授を300人採用、講師も含めた女性教員の比率25%を目指すことが2022年11月に発表された中、
多大でしていることをようやく東大も取り入れたということ、いう指摘もあるように、
やぱり保守的な部分はこの男性優位の面でも否めない。
女性起業家も当然少なく、欧米の大学とは異なる、とあるけれども、起業家に限らず、というかそれより重要な点として、政治家や官僚を輩出する学校の保守性、男性優位を引きずっている事実が、日本のジェンダー指数、制度改革での遅れに大きく貢献しているのでは、と思った。
でも東大以外の大学出身の官僚率が増えることは、
霞ヶ関の多様性にも変化を生んでいるのだろうか、、、