あらすじ
新時代の才能が炸裂! 松本清張賞受賞作
“クソ田舎”からおさらばするため、3人の女子高生は学校の屋上で大麻の栽培を始める――。選考委員満場一致、規格外のデビュー作。
※この電子書籍は2021年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
人間は、育った環境によって成る。成ったその姿が醜いなら、育った環境ごとぶっ壊せばいいだけだ。
それぞれが生きづらさを抱えている田舎の底辺工業高校の女子3人が、この世界から抜け出すために、高校の屋上で大麻栽培を始める。そこにあるものはとてつもなく濁った青春だ。
音楽、映画、漫画などのカルチャーにどっぷりと浸かった本作は、まるで往年のカルト的人気を博す映画の如く、読者の脳天をガッシリ掴んで離してはくれない。
ラストシーンは衝撃もので、「旅立ちの日に」が流れるなか、学校の屋上で燃え盛る大麻と、それをバックにマチェーテを持った主人公の朴と、鉄パイプを持った因縁の男、佐藤が血まみれで対峙するシーンはその光景があまりにも、あまりにも鮮明に浮かんできて、来年やる映画を必ず見ようと心に決めさせるには十分すぎた。
Posted by ブクログ
くそ田舎で育ったティーンエイジャーは、ヤンキーになるか映画を見たり本を読みまくるしかない。映画の引用が多くて嬉しい!楽しい!大好き!
朴と矢口が先に意気投合してから、口調がめちゃくちゃ暴力的になるのがツボにハマった。
こんなやり取りを妄想してたけどまさかやってくれる人がいるとは!それだけで最高!!
クリント・イーストウッドの映画みたいにくそボケ殺すを言い合いながら金を稼いでいく。
ラストの青春小説真っ只中な感じの先に破滅が待ってるんだろうけど、何故かさわやかに感じる(笑)
めっちゃ面白かった〜( ;ᯅ; )!
Posted by ブクログ
選択肢が出るとパラレルワールドのことを考えてしまう。突き詰めると国語の文章問題テストの4択問題は嫌い。作者の気持ちが分からないのに回答1つで最悪合否が決まる時がある。その正解がないバージョンで普段でも至る所に選択肢が出てくる。点滅してる横断歩道を渡るか否か。渡った選択肢を選んだ自分は今幸せですか?
犯罪を除いて選択肢の結果に正解はないと思う。ただ選択肢の数は環境によって違う。多くの選択肢を持てる人もいれば少ない人もいる。ただその中から1つ選ばないといけないことは共通してる。その結果で大きく人生が変わることもあるけど、不正解では決してない。ただ、正解にしていくしかない。何しても、どうやっても。自分で決めたルートだから。
Posted by ブクログ
青春に内包された狂気を味わえる作品だった。
それぞれが持つ目標に向かって突き進む、狂気的なまでの推進力が見ていて清々しかった。
前半部分で、田舎で過ごす女子高生の閉鎖的な日々を見せられていたため、大麻を手にれてからの行動ひとつひとつが開放感に溢れていて気持ちよかった。最後はその開放感のまま、ビニールハウスの爆発と、大麻でブリった人達が大騒ぎするという、スーパーカオスな感じで終わったのも良かった。読後感が映画の「ジョーカー」を見終わった時に少し似ていると思った。というか朴秀美の弟は、家族がいるという点で孤独では無いが、ほぼジョーカーだと思った。ジョーカーの続編のように、オールグリーンズのメンバーや弟が罪を償わされる未来が待っているのかなと思うと少し悲しくなった。
作中ずっと出てくる、映画や本などのカルチャーに関してはほぼ分からないものばかりだったので、これらの知識があればもっと楽しめるのだろうなと思った。