あらすじ
消えた向日葵、連続する不穏な事件――
多感な少女の感情を繊細に描く、慟哭必至の傑作青春ミステリ
父親が亡くなり、山形の集落に引っ越した小6の高橋みのり。
初めての夏、「向日葵流し」のために育てられていた向日葵の花が、何者かによってすべて切り落とされる事件が起きる。
みのりの周囲ではさらに不穏な事件が続き――。彼女の4年間の成長と事件の行方を瑞々しい筆致で描く、感動の長編青春ミステリ。
第74回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門ノミネート作品。
「これほど自然の中に多感な思いがこめられた小説も珍しいのではないか。
自然描写をしなくなった(いや出来なくなったといったほうがいい)作家が多いなかで、
彩坂美月は、丁寧に一人の少女の内面と、過ぎていく季節の流れを追っていき、嫋々たる余韻を残す」
――池上冬樹氏の解説より抜粋
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Posted by ブクログ
思春期の複雑な心理描写がとても自然に表現されており田舎特有自然描写、同級生たちの関係性、異性との距離感全て主人公と一緒に共有し成長していくような気持ちになった。あらすじに書かれていた青春ミステリーというジャンルには読む前はピンとこなかったが読み終わったあとは納得した。これこそまさに王道の青春ミステリーです。
Posted by ブクログ
自然や心理描写がとても緻密で、みのりたちと時間を共にしているような気持ちだった。
この小説を読みながら、苦しさ、やるせなさ、悲しさ、感動、様々な感情の涙が流れた。子供ながらに、子供だからこそ誰にも言えない感情を抱えている。
「土に埋めたら綺麗なものが生えてくるんじゃないか。」
この言葉に子供の切実な願いがこめられていて、読みながら苦しくて涙が止まらなかった。
向日葵を手折ったのは誰なのか、何故そうしなければならなかったのか。最後はそれぞれ前に進み、再会出来て本当によかった。
Posted by ブクログ
向日葵男を怖れる小学生たちの話。
色々な事件が起こる青春ミステリー。
次が気になりどんどん読んでいけた。
描写が細かく書かれていて、すごい。
Posted by ブクログ
山形県の田舎を舞台に主人公・みのりと怜と隼人という二人の少年との青春ミステリー。みのりが桜沢に引っ越してからの4年間を四季折々の描写と向日葵男の影が軸となり進んで行く。500ページ越えと少し長めながらもテンポがダレることなく進んでいくためスイスイと読むことが出来た。
“向日葵男”の正体はなんとなく想像はつくもののその原因はとても悲しいなぁと感じた。田舎特有の“疎外感”や無意識な“差別意識”は人を静かに狂わせていく。助けを求めることを自分からためらってしまう空気感は時間をかけて“向日葵男”という怪物を生み出していく。人には裏の顔を持っている。優しい先生やおとなしい親友は実はとんでもない本性を持っていたりする。一見、無愛想に見える男の子や先生が実は熱い思いを持っている事もある。そんな人々と出会いながらみのりは恋を知り、人同士の暖かさや残酷さを知り、成長していく。この小説は“向日葵男”の正体を暴くというミステリーの側面よりも一人の少女の成長物語であるのだ。この4年間の成長を見守った読者が最後にたどり着くあまりにも綺麗な結末を目撃することになる。是非読んでいただきたい。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
高橋みのり:関根明良
藤崎怜:山下大輝/佐倉綾音
西野隼人:岡本信彦/伊瀬茉莉也
犬飼雛子:水瀬いのり
倉田由紀子:黒沢ともよ
阿部小百合:上田麗奈
今井先生:中田譲治
佐古真嗣:石川界人
橋本大輝:木村昴
大島夏希:潘めぐみ
田浦恭子:斎賀みつき
藤崎春美:能登麻美子
藤崎茂:小西克幸