あらすじ
わずか三歳でロスアンジェルスから一人、日本へ送られた恵里子は、実の母に捨てられたショックで失語症に陥る。家にいるのは気性のはっきりした叔母と口さがない祖母のふたり。隣家には「ネコババ」と祖母が呼ぶ女性。ネコババの家にはやさしいおじさんと「ネコバン」。行き場のない幼い少女の心をなぐさめるのはネコたち。生みの親が不在の家庭で、恵理子は人間のきずなというものを学んで成長していくが……。芥川賞受賞の表題作ほか二篇を収録。
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Posted by ブクログ
ちょっとしたことで人生が大きく変わる。
まして親から離れたり、離婚などあれば尚更だ。
人はそれぞれ固有の原理に基づき生きている。
出会い、別れでお互いに影響しあっているのだ。
3つの短編がそのことを如実に表していた。
芥川賞受賞の本作はそのことをしっかりしたストーリーの中で表現し、心に残る一冊となった。
Posted by ブクログ
面白くてささーっと読んでしまった。
タイトルと芥川賞ってのを見ただけの知らない作家のジャケ買い本。
ネコババも神の落とし子も、クズい女が周囲を振り回す話で、読むのがつらいくらい気が滅入る。最後の話の直美は何考えてるのかよく分からんかったけど。
ネコババはまだ平和やったけど、神の落とし子は本当に読むのが辛かった。どろどろしてて気持ち悪いし。不憫なおっさんの話が好きなもんだからめいっぱい楽しんでしまったけど。
Posted by ブクログ
「ネコババ・・・」は、産みの母親が外国人と再婚をしたため、日本へ一人帰国させられた少女の話である。一時的に失語症になるが、隣の家で猫と共に生活をするネコババの家に遊びに行く事で、普通の暮らしが出来るようになる。
「神の落し子」は、妻に裏切られた男が、金持ちから貧乏になってしまう話である。
「リリスの長い髪」は、数年の結婚生活の後、妻が急に別れを告げ離婚となり、その後、再婚をしてはみたものの前妻との思い出が忘れられない男の話である。
Posted by ブクログ
母親に荷物のように放り出され、失語症になるほどのダメージ受ける。
けれどそれを悲劇的に嘆き続けるでもなく、かといって肩を怒らせて突き進むでもなく、
そのまま日常の中に取り込みつつ成長してゆく。
まだ小さくてそうするしかなかったかな。
戸惑う祖母や叔母の繕わない言葉は、時に辛辣である意味正直。
そんなふたりと、気づかぬうちに徐々に築かれてきたのであろうつながりが最期のシーンからもじんわり。
全体に落ち着いた文章で、先に向かう余韻を感じながら読み終えました。
他2編。
「神の落とし子」ではちょっとした仕草の色っぽい表現が印象的。